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◆悲しみに、こんにちは

繊細に描かれる、母の死に向き合う少女と少女の母になる決意をした女性の葛藤
  ジャック・ドワイヨン監督の「ポネット」と同様、母の死と向き合う少女の葛藤と成長を題材にした映画だ。主人公のフリダ(ライア・アルティガス)は6歳。4歳のポネットより死の意味を理解しているように見えるが、同じように復活の奇跡が起きることを期待している。なぜなら、フリダには母に聞きたいことがたくさんあるから。母はなぜ死んだのか、どうして自分は死の床に呼ばれなかったのか、母の話をするときなぜ祖母は声をひそめるのか。その謎を解き明かせないモヤモヤを抱えたまま叔父夫妻に引き取られたフリダは、バルセロナからカタルーニャの田舎に移り住む。

  隣人に生みたての卵をもらったり、ウサギがさばかれる過程を見物したり。フリダの初めての田舎暮らしの描写は「フランスの思い出」を彷彿させる牧歌的な味わいだ。が、当のフリダに夏休みを満喫する余裕はない。母との生活という居場所を失った彼女は、カタルーニャが新しい居場所になりえるのかを手探りし、叔父夫婦の愛情の深さを試す。そんなフリダのアクションとリアクションをカルラ・シモン監督は実に繊細にとらえ、居場所を求めて揺れ続けるフリダの胸中を鮮明にフィルムに焼き付ける。叔父を「パパ」と呼んだからといって家族に溶け込んだわけじゃない。順応と反発の間を激しく行き来する少女の葛藤を、「あるある」と思わせるエピソードの積み重ねで描く演出が見事だ。

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  さらに特筆すべきは、シモン監督が叔父の妻マルガ(ブルーナ・クッシ)の葛藤にも光を当てている点だ。夫の姉の子(=血縁がない)フリダを育てることになったマルガは、フリダが自分の娘に悪影響を与えることを案じ、大勢で押し掛けて来てはフリダを甘やかす夫の家族に苦々しい思いを抱く。それでも「フリダの母になる」ことに揺るぎない覚悟で挑むマルガを、シモン監督は観客の共感と称賛を集めるキャラクターとして描いている。おそらくそれは、フリダと同じ境遇にあった少女時代の自分を育ててくれた現実のマルガに対する感謝があるからではないか。母の死の謎をめぐる会話を通して、フリダがマルガの娘になっていく場面は、死と生と愛のテーマが凝縮された名場面だ。

(矢崎由紀子)


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