フジコ・ヘミングの時間

劇場公開日:

フジコ・ヘミングの時間

解説

60代になってから世界に見いだされたピアニスト、フジコ・ヘミングのドキュメンタリー。日本人ピアニストの母とロシア系スウェーデン人のデザイナーである父との間に生まれ、母の手ほどきによって5歳からピアノを習いはじめたフジコ。やがて演奏家として高い評価を受けるようになるが、大事なリサイタルの前に聴力を失うという大きなアクシデントに見舞われるなど、数奇な人生を歩んできた。1999年にNHKで放送されたドキュメント番組によって日本でも広く知られるようになったフジコの、初のドキュメンタリー映画となる今作では、ワールドツアーで世界を巡って演奏する姿や、自宅で愛する猫に囲まれて過ごす時間など、公私にわたるフジコの素顔に密着。父との別離、厳しい母のレッスン、ハーフへの差別、貧しい留学生活や聴力喪失など、数々の苦難に見舞われても、夢をあきらめずに進んだフジコの人間性と音楽に迫る。

2018年製作/115分/G/日本
配給:日活
劇場公開日:2018年6月16日

スタッフ・キャスト

監督
企画
小松莊一良
エグゼクティブプロデューサー
新井重人
企画プロデュース
千葉広二
プロデューサー
小室直子
構成
小松莊一良
撮影監督
青木正
撮影
小松莊一良
編集
小松莊一良
サウンドトラックプロデューサー
西尾勇哉
ミキシングエンジニア
坂元達也
ラインプロデューサー
佐藤裕武
小松上花
ナレーション
三浦透子
全てのスタッフ・キャストを見る

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(C)018「フジコ・ヘミングの時間」フィルムパートナーズ

映画レビュー

5.0フジコ おばあちゃま

2023年9月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

僕は、特別養護老人ホームに勤めていました。
その経験からお年寄りの晩年と、円熟期の生き方、その存在の在り方にはとても興味があります。

その頃、僕は音楽をやりながら特養ホームに勤務していましたので、人生の最終盤で奏でられた老音楽家たちの「遺作」など、僕は楽譜を取り寄せてはずいぶんと鍵盤に向かって練習をしたものです。それは仕事の中身と相まってのことでした。

メロディは当然のこと、その楽曲の構造と、隅々から聴こえてくる作曲家たちの“老いた姿”と “しわがれた声”が、僕はなんとも好まれて、興味が尽きません。

パイプオルガンを弾きながらホームで介護をし、一日一日お年寄りのお世話をして、そうして彼ら彼女らをお見送りしながら、帰宅してまた楽器と楽譜に向かう。
命を確かめる演奏を見つけたい ― そういう生活を続けていました。

・・・・・・・・・・・・・

鬼滅の刃
煉獄杏寿郎の言葉
「老いることも 死ぬことも 人間という儚い生き物の美しさだ 老いるからこそ 死ぬからこそ 堪らなく 愛おしく尊いのだ」

・・・・・・・・・・・・・

輝ける3老人の3つの曲をご紹介しましょう ―――――――――
◆ バッハの最後の曲と、
◆ ブラームスの最晩年の曲と、そして
◆ フジコ・ヘミング!!!
(当サイトの規則により残念ながらURLが貼れませんので、以下語句検索でYouTubeにヒットさせてご試聴下さい)

◆まずはイングリット・フジコ・ヘミングから、
ご存じ、フジコの演奏はリストの「ラ・カンパネラ」が大変有名なのですが、僕が最も愛する演奏はこれですね。彼女にこれ以上の演奏はありません。
リスト作曲「consolation コンソレーション」です。
親友ショパンの死の報に接し、悼む心でショパンのために書いた「コンソレーション(=慰め)」。リストの五線譜にショパンの魂が溶け込みます。
清らかさと悲痛の極致。
リストとショパンとフジコが、まるで三人で、魂で連弾しているかのようです。
⇒YouTube動画 語句コピー検索↓
[ フジ子•ヘミング リスト コンソレーション ]
注:薔薇の写真の動画がオススメです。

・・・・・・・・・・・・・

本作品「フジコ・ヘミングの時間」は、
フジコ・ヘミングの残り時間と、彼女が生きてきた時間と、
それらに出会わせてもらえた僕の今日という時間にとって、素敵なドキュメンタリーだった。
フジコおばあちゃま!そのお姿は、もうほとんど猫になってきているじゃない!?(笑)
そのまま四季の「キャッツ」に出られます。

たくさんの人を見送ってきただろう。
フジコ・ヘミング、どうか長生きして。

・・・・・・・・・・・・・

追記:
エンドロールが特別重たい。
家族の元を去った 行方不明の父親の作品 (=日本郵船のためにデザインしたポスター) の実物と対面をし、
「こういうものを作れた父はそんなに悪い人ではなかったようだ」とつぶやく娘フジコ。
どれだけの苦労をしてきたか、
父親への想い=帰って来なかった父親への、積った想いが、
娘の口からこぼれた瞬間でもあったなぁ。

・・・・・・・・・・・・・

以下、
《人生を閉じる日の音楽》にご興味のある方は動画検索なさってください

【バッハ】
1750年7月28日没。
白内障の手術が失敗。目が見えなくなっていたバッハが65歳の時、
臨終の床において、枕辺に呼んだ弟子に口述筆記で書き取らせたのがBWV668=
オルガン曲「汝の御座の前に われは今進み出で」Vor dinen Thron tret' ich hiermit
⇒YouTube動画 語句コピー検索↓
[ J.S.Bach - Choral Prelude, BWV668 (A.Shweitzer) ]
シュヴァイツァー博士の演奏でどうぞ。
5'45 モノラル録音
メール(大海)だ!とベートーヴェンはバッハを語ったけれど、バッハは死んで、静かなせせらぎ(Bach=小川)に戻りました。
特養ホームでの僕の上司=野村実ドクターは、あのシュヴァイツァー博士と一緒にアフリカの病院で働いた人でした。

【ブラームス】
1897年4月3日没。
盟友シューマンの死後に、その妻クララをひたすら愛し、クララに認められるべく圧倒的大曲を発表し続けたヨハネス・ブラームス。
寡婦と子らの生活を物心両面でずっと支えたが、しかしプロポーズに破れて生涯独身を通す。
晩年、クララの葬儀に間に合わず、失意のブラームスはそこから残された最後の1年に=死の前年に、がんの闘病中、彼が最後に書いたオルガンの小曲。
その悟りと、素朴さ。そこにあるのは最早かつての大樹の様ではなく、自叙伝の最後のページに押しはさまれて、思い出の“押し花”になった彼。
作品118、「11のオルガンコラール前奏曲」から第11=
終曲「おお、この世よ、われ去らねばならず」
⇒YouTube動画 語句コピー検索↓
[ 11 Chrale Preludes, Op.122: No11, O Wert, ich muss dich lassen /ROBERT BAITES ]
3'51

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共感した! 3件)
きりん

5.0『ルービンシュタインもバケツ一杯間違える』

2023年2月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする 2件)
共感した! 3件)
マサシ

3.0フジコヘミングがとても魅力的だった

2020年11月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

楽しい

可愛いお部屋と動物に囲まれて、時々出てくる絵日記もとても可愛い。
少女のような所があり、シビアな考え方もする。そのミスマッチが良いと思った。

興味を持って調べてみたら、ミスタッチも多く、技巧については評価が低いとのこと。
けれど彼女の感情を揺さぶる弾き方に観終わった後も余韻が残った。日本の童謡のような叙情感があって、どこか懐かしいと思った。

映像については、あまり盛り上がりもなく淡々と進むので、途中は中だるみしてしまう。

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共感した! 0件)
ユピィ

4.0美しい映画

2020年4月13日
PCから投稿

美しい映画でした

映像 音楽
そしてフジコさんご自身の生き方

本当に自分を生きた人
こんな風に生きたいけれど
私には敵わない

ピアノと音楽と美しいものを愛して信じた人の物語

すごいですね

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しろ