劇場公開日 2018年9月7日

「光るモノはあるけど見せ方が惜しい」フリクリ オルタナ finokさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5光るモノはあるけど見せ方が惜しい

2018年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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減点主義か加点主義かで大きく評価が別れる作品。6話ほどのエピソードから構成されており、1話20分強。地上波アニメとしての放映を意識していたのか?毎週やるなら続きが楽しみになるが、映画館で半クール分をまとめて見せられるのは少々辛い。各エピソードの主要キャラは変わらないため、ストーリーはもちろん違うが、後半は集中力が切れてくる。

ヒロインやその友人ごとにいろんな青春時代特有の葛藤があって、それを乗り越えていく話が基本だが、無理矢理20分の枠に収めようとしてるので、結構アラが目立つ。映画という2時間の枠の中で、テーマをもう少し絞って丁寧に描写して欲しかったということに尽きる。ストーリーによってはロボットが出て来ずに終わってしまうものもあったので、なんだか中途半端な印象が拭えない。

ただ、テーマや設定、キャラ自体は非常に魅力的で、悪い評価も多いが、いい評価をつけている人もそれなりに見受けられるように、光るモノはあるのだが、上で述べたように、見せ方でだいぶ損していると感じる。

プログレと2部構成?が決まっているのだし、フリクリも最初のOVA公開からもう20年近く経っていて、前作も大ヒットという訳ではないのだから、初見の人にももっととっつきやすいような構成にすれば、良い評価も増えただろう。例えばオルタナは1時間半程度とやや短くして、ストーリーも完結させずにちょっと謎を残すような感じで終えて、プログレで伏線を回収していくとか。あるいはオルタナの話は地上波で流してある程度ファンを作っておいて、映画はプログレ1本ということもできたかもしれない。

まあフリクリ自体、そんな王道のパターンのアンチテーゼみたいなところがあるので優等生的なマーケティングを期待するのが野暮というのも一つの意見かもしれない。しかし個人的にフリクリのストーリーは好きだし、今作も音楽やSEは非常に良いので、ちょっと見せ方を変えるだけでもっとファンを作ることができたんじゃないかなって少し残念に感じてしまう。比較するものではないかもしれないけど、同時期に見たペンギン・ハイウェイはその点、きちんと王道の構成を取っているので見やすいし、良い評価を付けやすい。

映画館では2時間超も上映時間があったのでダレてしまったけど、見終わって少し経って、やっぱりもう1回見たいと思ってしまう魅力はある。それだけにもっと見やすさに配慮してくれていたら、文句なく高評価付けられたのになあ、と。でもプログレもおんなじ感じなんだろうなと思いつつ、結局見に行ってしまうんだろうな。

もしフリクリのさらに新作が今後作られることがあれば、ぜひ今のテンポは保ったまま、なんとか見やすさにも配慮した作品に仕上げてもらうことを願う。

finok