劇場公開日 2019年5月18日

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ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリスのレビュー・感想・評価

全45件中、41~45件目を表示

3.5あとワンカットあれば

2019年6月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

長い、長すぎ。
面白いのはいいとして、映画終わったら腰フラフラはいかがなものかと。

鑑賞後、西漸運動が盛んだったころのセツルメント活動がそのまま生き残っていたの感あり。
ただ、まだやっていたのか、というより未来永劫続けていきそうな気配には、もう脱帽する以外なし、です。

またドーキンス・ミーム卿を冒頭にもってきたのは、NYPLは住民のQOL支援だけではなく、知見の拡大再生産の拠点であることも示唆しているのかと。

そうだとすると、映像的にもの足りない点が一つ。
研究図書館機能については理工系分野での活動ぶりを入れてほしかった。
NYPL知のサイクル、その全体像をみたかった。

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NY生

5.0Inclusive Community

2019年6月1日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

知的

一番好きだったところは、私の個人的な思想とこの図書館のミッションが同じだということでとても共感が持てたところ。
2019年のニューヨークの市の公立図書館の現状とこれから先の展望と課題という面でこのドキュメンターリーは作られている。いくつか気に入ったこととこれから考慮点すべき点について個人的な意見を書きたい。あくまでも個人の感想。

Inclusive Community (多種多様な人々のコミュニティー)という観点で、人々は平等で、それぞれのニーズに合わせて、図書館が運営されているということは素晴らしい。たとえば、身障者(点字)ホームレス、英語ができない人、移民のコミュニティー、など。それに、各界の講師陣は音楽、詩、政治 などの生涯勉強の場。そのほかに、テクノロジー、無料の放課後のプログラム、宿題ができる場所、仕事をするためにスキルを磨く場、黒人の文化のリサーチのセンターや観光客の受け入れや演劇/舞台の場や。赤ちゃんが泣いていても締め出さない寛大さもある。利用者との対話も怠らず、利用者はなにが必要かに耳を傾ける姿勢がある。

将来の課題とゴールについても幹部は話し合っているが、それは各図書館からのリサーチや意見をベースにしている。それを取り締まり役会議に持っていっている。
ヨーロッパ人の女性の言葉で図書館というのは本があるだけ場所ではない(本の倉庫)。もっと、コミュニーティーに入っていき、利用者にとっての生涯教育の場だと。十何年か前、ヨーロッパでは図書館はもういらないという人々がいたけど、図書館は人々に投資する場だと。最低の目的として、community engagement (社会貢献) を挙げて、図書館は寝るところではなくものごとを探求するところ。ポジティブな将来展望として、inclusive City を考えている。

これからの課題ではE-Books (電子本)の貸し出しが300%に増えて、需要が高まっているが、Physical books (紙でできている本)とのバランスを考えている。でも、一番力を入れたいのか family Literacy (家族が本をよめるようにすること)。特に、学校に上がる前の子供の英語での読書に力を入れたいと。

どこでも図書館はリベラルなところでなければならないが、この図書館の幹部はほとんどが白人で成り立っている。特に中心人物の何人かは白人男性。取締役会議はほとんど白人が占めている。ニューヨークは多種多様な人々が住んでいる。公立の図書館はその縮図であるべきだ。そして、不思議なのは黒人男性は黒人の社会や歴史についてだけを話しているのを映している。もし、このことが広範囲にわたり現実ならば、もっと黒人の図書館の幹部やボードを雇うべきだ。不幸にもアジア系の幹部はいなかったように(?)思えるが。チャイナタウンを抱えているのに、アジア系の存在は皆無に等しい。まだまだ、リベラルとはいうがこれからだと思った。

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Socialjustice

NY公共図書館の在り方について

2019年5月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

評価は、他の方に任せます。
作品上映時間が、2時間以上で途中休憩を挟むという、わたしにとっては異例の長さの作品、というかドキュメンタリーであった。一番驚いたのは、日米においての「図書館」の在り方の違いである。色んな分館の館内の説明がなされていたが、それぞれの分館が、千差万別に特色が違っている。日本では、児童館のようなところ。ではあるが、アメリカの図書館は一つの小劇場みたいで、市民の生活と非常に密着している。さらに、常に進化し続けている。ざっとあげれば、点字・読書会・著者との作品についての語り合い・プログラミング教室・ライブ等々。パソコンを貸すという場面もあった。(「わたしは、ダニエル・ブレイク」(17’)の作品中にもあった。)日本の永田町の国会図書館にも、点字図書館はあったかな?アメリカという国の大きさからしてもあまり蔵書の多さには驚く。黒人文化機関というカテゴリがあるのも興味深い。作品中に議論になった各図書館とのネットワークによる繋がり。このことについては、日本でもあらゆる図書館とのネットワークによる繋がりは、今後重要視されるべき課題である。本の形態も電子本の取り扱いについての議論もされている。さらに、「創作物」を大変貴重に扱っていることを見逃してはならない。今後の図書館の運営については、白熱した議論展開であった。何よりも、この公共図書館の素晴らしい所は、誰でも利用できるということ。

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突貫小僧

5.0米国と日本の違い

2019年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

難しい

「図書館」の運営を通して、民主主義、資本主義、イノベーションも
理解できる良い映画です。

「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」は、映画を表した
良いタイトルです。

「ニューヨーク」は、米国ニューヨーク州ニューヨーク市という
意味です。

「公共」は、独立法人が市民の税金と民間の寄付で運営しているという
意味です。
自由に使用できる民間の寄付で図書館の価値を高め、価値の高い図書館に
市民の税金が投入されるという好循環があるということです。

「図書館」は、ウィキペディアで紹介されている「出版物を中心に収集、
保管し、利用者への提供等を行う施設」だけではなく、全世代の人々が
知識、情報や教育を得るために集い、イノベーションが生まれる場所と
いう意味です。

「エクス・リブリス」は、「~の蔵書より」という意味です。

「ニューヨーク公共図書館」は、「The New York Public Library:NYPL」
と呼ばれています。

「ニューヨーク公共図書館」は、ニューヨークを文化的な都市にする
ためには、市民一人ひとりが自由に学ぶことを通して自らを高めること
が必要だと考えた篤志家が、アスター図書館とレノックス図書館を設立し、
鉄鋼王で篤志家のアンドリュー・カーネギーが大口の寄付をして、大きな
図書館にしました。

「ニューヨーク公共図書館」の本館は、マンハッタン区ミッドタウンにある
5番街と42丁目の交差点にあり、正面玄関前には、アスターとレノックスと
名図けられた2つのライオン像があり、4つの研究図書館と地域に密着した
88の分館で構成されています。

「ニューヨーク公共図書館」のスタッフが、税金の金額を決める市長、市議
会議員という政治家や寄付をしてくれる民間人の意向を尊重することで、
「ニューヨーク公共図書館」の存在価値を高めていることが分かりました。

「ニューヨーク公共図書館」は、過去も、現在も、未来においても重要な施設
であり続けます。

登場人物は、「ニューヨーク公共図書館」のスタッフ、クリエイター、
利用者です。
登場人物は多く、知らない人ばかりで、説明はなく、話通しで、字幕を
追うのも大変なうえに、途中休憩がありますが上映時間は3時間25分と
長いです。
物語を通して、何かを理解するという通常の映画ではありません。
登場人物を通して、「ニューヨーク公共図書館」は社会に貢献し、税金と寄付
を集めて、どのように運営しているのかを理解するという映画です。

登場人物が語るドキュメンタリー映画で、ドラマ性も、エンターテイメント性
も全くありません。

日本には、「国立図書館」、「公立図書館」と「私立図書館」は
ありますが、「公共図書館」はありません。
国立図書館は、国が設立し、税金で運営する図書館です。
公立図書館は、地方自治体が設立し、税金で運営する図書館です。
私立図書館は、民間団体あるいは個人が設立し、運営する図書館です。

税金で運営している日本の図書館には、図書館のスタッフが努力しようと、
努力しなくても、毎年一定額の税金が入るということです。
努力をしないスタッフにより日本の図書館は、少子高齢化、インターネット、
アマゾン、グーグル、スマートフォンにより、存在意義を失い、税金も
入らなくなり、閉館し始めています。
日本でイノベーションが生まれない理由は、日本の図書館の運営にもある
ということです。

日本にも成功した人々はいますが、日本の図書館のおかげで成功したのでは
ないので、日本の図書館に寄付が集まらないということです。

決定は密室で行われるので、日本の「会議」は経費を浪費するだけです。
米国の「ミーティング」は、議論を行い、決定し、実行し、検証し、
資金を得る手段として機能し、生産性があります。

「一億総活躍社会」に関する、有識者から意見を聴く「会議」が行われて
いますが、決定は密室で行われ、「会議」の意味は無いことが分かります。

パンフレットは、よくできているので、映画を理解したい人には
お勧めできます。

「ニューヨーク公共図書館」についてもっとよく知りたいという人には
「未来をつくる図書館ーニューヨークからの報告ー」(菅谷明子著、
岩波新書)をお勧めします。

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ノリック007

5.0知の泉

2019年5月23日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

ナレーションやテッロプ満載で多くの人が容易に理解できるドキュメンタリーを欲している人は見る前に気をつけてほしい、これはフレデリック・ワイズマンの作品だということを。かく言う自分も200分超のワイズマンを覚悟して臨んだ。決して眠るまいと決意して。果たして…
予想外のカットの多さとそのテンポの良さに戸惑うと同時に、うまく乗れた気がする。しかも映し出される出来事や主張が非常に興味深くて、まさに知の源泉たる図書館を表現し尽くした作品だった。
その上、図書館は時とともに変化しつつあるというのがよく分かる(まぁこの巨大図書館が特別なのかもしれないが…)。そこはもはや書庫とか本を借りるだけの場所だけではない。教育の場、コミュニティーの場、ネットを提供する場、そして時に講演があり演奏会がある。
コープランドやバルトークの生演奏があったり、パティー・スミスやエルビス・コステロがゲストで来たり、朗読会やガルシア・マルケスの本についてディベートしたり、演劇における手話についての講演とか点字の教育とか、興味が尽きることなく長い時間が流れていった。
途中5分の休憩、個人的には集中力が切れてしまって余計なものだったが…
内容は興味深かったとはいえ、説明的なものはほとんど無いので、あらかじめニューヨーク公共図書館の構成やマップなどを見ておいた方がいい気がした。そうすれば一層豊かな作品に見えるように思う。
ラストもワイズマンらしくなくて…、それでもなんだか良かった。

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SH