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◆終わった人
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[ネタバレ!]
“始まった人”に、幸呼来(サッコラ)!
印象:
鑑賞方法:DVD/BD
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評価:[3.5]

見る前はまるで期待してなかったけど、見てみたら、これがなかなか!
ご都合主義と良く描かれ過ぎてはいるけど、思ってた以上の好編。
ジャパニーズ・ホラー・マスター、中田秀夫がこういう作品を撮るとはねぇ~。
でも最たるは、
モントリオール世界映画祭や今日発表されたばかりのブルーリボン賞で、長いキャリアに於いて初の映画賞に輝いたという舘ひろし。おめでとうございます!

定年退職。
人生のほとんどを捧げてきたと言ってもいい会社を勤め上げ、盛大の労いと感謝と尊敬の中、見送られる。
そのまま、家族にも迎え入れられる。
これからは自分の為に、自分の好きな事を贅沢に。
充実のセカンド・ライフ♪

…が、これはあくまで理想。
実際は…、

出世争いに敗れ、子会社で迎えた定年。
一応皆形式的に見送り、何だか会社から追い払われたよう。
家族も一応迎えてくれるが、ご馳走の方が楽しみ。
大変なのは翌日から。
な・に・も・す・る・こ・と・が・な・い・!
一日中、ボケ~ッと…。
あれ、まだこんな時間…。一日って、こんなに長かったんだ…。
仕事してる時は分からなかった…。
そしてまた、ボケ~ッ…。
その姿、廃人。
定年退職って生前葬だな、とは何とも痛烈な例え。

…いや、幾ら何でも舘ひろしがそんなしょぼくれ初老親父になる筈がない!
…いやいや、なってるんだな、これが。
スターオーラを封印し、悲哀とコミカルとペーソスたっぷりのしょぼくれ初老親父に。
好演もさることながら、これがかなりハマってるのが面白い。

でも、舘ひろしがただ2時間ボケ~ッとしてるだけだったら話にならない。
そこは映画。劇的な転機が起きる。

主人公・壮介は、習い事を始めようとカルチャー・スクールへ。
そこで、受付女性の久里と知り合う。文学好きで、同郷・岩手出身という事もあり、意気投合。
この胸のトキメキ!
これって、恋…!?
家に帰っても、「恋だ、恋!」と浮かれまくる。
奥さんや娘の前で堂々と浮気宣言!
最も、奥さんも娘も本気にしてないだけ。
当の本人はマジ。
デートしたりもする。
デート中、「サングラス、似合いますね」と言われるが、そりゃあ似合うでしょう、ダンディー○山だもん(笑)
ある時、絶好のチャンスが。
熱海でお泊まり。
この時は年上の大人の男や色男ぶりを発揮して、何だかセルフパロディー。
しかし、この恋の結末は…。
ま、これでいいんだよ。

スポーツジムにも通い始めた壮介。
そこで、IT企業の青年社長と知り合う。
東大卒や一流企業勤務のキャリアを買われ、顧問になって欲しいと頼まれる。
承諾。
やっぱり俺はまだまだ仕事がしたいんだ。
根っからの“サラリーマン”なんだ。
妻も言う、スーツが呼吸してる、と。
ITの事なんて全然分からないけど、穏やかな性格と年の功で絶大な信頼を得る。
やっと見つけたやりがい。
ところが…
社長が急死。
社員に、次の社長になって欲しいと頼まれる。
これには妻は猛反対。顧問と社長じゃ責任がまるで違う、と。
妻の心配をよそに、自分の独断を優先。
社長になり、暫くは上手くいくが…、
ある時、大トラブルが…!
会社は倒産となり、1億円近い負債を背負う事になる。
何もする事が無かったセカンド・ライフが、まさかの借金地獄に。
妻の心配が現実に。
それがきっかけと言うか、壮介が独断で決めた事が許せず、険悪に。壮介は家を追い出される。
仕事も家庭も何もかも“終わった”壮介。
カプセルホテルに泊まり、広げたスポーツ新聞から目に飛び込んで来たのは…
故郷・盛岡の母校のラグビー部の記事…。

壮介は度々、故郷の事や若い頃を回想する。
あの頃は、全てが輝いていた。将来も何もかも、夢と希望に満ち溢れていた。
でも、今は…
思えば、故郷に長らく帰ってなかった。
自分の見栄。
地元から初の東大卒で一流企業勤務。
それが冴えない定年となり、“終わった人”に。
そんな自分でも、故郷は迎え入れてくれる。
旧友たちも皆歳を取った。
でも皆まだ、終わっていない。
岩手は東日本大震災の被災地。旧友の一人が故郷復興支援のNPO法人で働き、その仕事を誘われる。
壮介も故郷を思う気持ちは強い。
が、まだ独断で決めれば…。
妻は夢だったヘアサロンの店をオープンさせたばかり。
自分が故郷に戻るという事は、妻の選択肢は2つ。
始めたばかりの夢を断つか、それとも離婚か…。
出した答えは…
“卒婚”。
離婚ではない。が、結婚生活や同居を解消し、卒業するという事…。
安直なハッピーエンドになるかと思いきや、何処か侘しく…。

壮介は故郷に戻り、故郷の為に働く。
そんな壮介の前に、妻が。
時々髪を染めに来てあげるという。
そう、離婚したんじゃない。別れてそれぞれ暮らしているが、終わった訳じゃないのだ。
こういうセカンド・ライフもある、と思わせる。

妻と歩く桜道。
その選んだ“始まった”セカンド・ライフに、幸呼来(サッコラ)。

2019/01/21 近大さん

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