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◆終わった人
平均評価[3.1]

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「生きること」「人生」を問う良作!!
印象:
鑑賞方法:映画館
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評価:[5.0]

シニア層の男性1人客、ご夫婦、ご婦人のグループが多く、笑いの絶えない館内であった。

特に、舘ひろし演じる主人公 田代壮介が久里(広末涼子)に翻弄される恋の場面、壮介が妻の千草(黒木瞳)に◯を出されるシーンでは、未だかつて映画館で聞いたことのない爆笑が起こっていた。

私のおススメは自宅ソファで恋を妻子に報告する場面、独りうどんを食べる場面、再就職の面接で出された物を見た時の顔!

鈍感で爪の甘い田代壮介が、舘ひろしの細やかでリズム感の良い演技により、チャーミングで憎めない人物像に仕上がっている。
コメディ部分は思い切り楽しめ、シリアス部分は暗くなり過ぎず、鑑賞後の後味が良い。

しかし、コメディとして宣伝されていた映画ではあるが、『終わった人』の真骨頂は「人間が生きるということ」、「人生とは何か?」と云う骨太な問いを観客に突きつけ、行動を促すところにある。

現役会社員、働き盛りの人々の感想ツイートでは、人生に対して奮起する声が数多く見られた。「新入社員に見せるべき」との声も。

コメディ部分でくすくす笑っているうちに見落としがちだが、この作品は、壮介、久里、鈴木社長(今井翼)、二宮(笹野高史)、16番(渡辺哲)、千草、夢を追う人々の群像劇にもなっている。
年齢や学歴、能力関係なく、避けられない運命、親の介護等の理由で夢潰える人。他人に言われて夢を諦める人。夢叶える人。

人生は、自分の決断と運命が渾然一体となって展開する。
私達は、登場人物達の様々な夢の行く末を客観的に見ることにより、改めてそれを知る。残念ながら、どんなに努力しても『抗えないことが起きるのも人生』だと再認識する。

そして、主人公 田代壮介が、作中2度呟く良寛の辞世の句「散る桜 残る桜も散る桜」、二宮が叫ぶ「生ぎでる!終わってねぇど!!」という台詞が胸に迫るのだ。

人の行く末は大差ない。
成功する事もあれば、失敗する事もあるが、人生に勝ち負けはない。
そして、たとえ、苦境に陥り、困難に遭っても『生』が終わるその日まで、人生は終わらない。生きている間は、終わっていないし、終われないのだ。

その上で、もう一度、あの台詞を思い出してみよう。

「後悔はないんですか?」
タクシーの中で、鈴木社長が田代へ投げかけた問いだ。

抗えないものもあるのが人生。
しかし、「信念を持ち、精一杯生きてきたのか?生きているのか?生きていこうとしているのか?」…。

鈴木社長(今井翼)は、この『終わった人』と云う映画は、そう問うている。

映画初出演となる今井翼が物語のキーとなるベンチャー企業社長を好演。
予想だにしない展開で見せる目の演技が圧巻。
鮮やかな存在感を放つ今井翼の “目の演技”は今後、彼の代名詞になっていくのではないだろうか。

最後に、2018年モントリオール映画祭コンペティション部門での上映おめでとうございます。

2018/08/17 スイカさん

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