おクジラさま ふたつの正義の物語

劇場公開日:

おクジラさま ふたつの正義の物語

解説

「ハーブ&ドロシー」の佐々木芽生監督が、捕鯨問題で世界的論争に巻き込まれた小さな漁師町を通し、歴史、宗教、イデオロギー、自分と相容れない他者との共存は可能なのかを探っていくドキュメンタリー。紀伊半島南端に位置する和歌山県太地町は、イルカの追い込み漁を糾弾した映画「ザ・コーヴ」がアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したことで世界的論争に巻き込まれた。シーシェパードを中心とした世界中の活動家たちから集中非難の的となった、400年の歴史に裏付けられた「くじらの町」としての誇り。太地町を訪れた佐々木監督は、「捕鯨を守りたい日本人とそれを許さない外国人」という単純な対立ではない、多種多様な意見をカメラに捉えていく。

2016年製作/97分/G/日本・アメリカ合作
原題:A Whale of a Tale
配給:エレファントハウス
劇場公開日:2017年9月9日

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(C)「おクジラさま」プロジェクトチーム

映画レビュー

3.52つの悪の物語でもある

2018年11月27日
PCから投稿

知的

題にあるように、現代戦争とは生存のため等ではなく、およそ、「正義」と「正義」の闘いである。

「正義 vs 正義」は、ある視点に立つと 「正義 vs 悪」であるために、戦争の大義名分となる。

2009年に発表されたザ・コーヴは、「正義 vs 悪」を描き出した映画だった。

そこを「正義 vs 正義」に戻そうという試みが、この映画と理解した。

そして、それは同時に、「悪 vs 悪」でもあるというメッセ―ジでもあった。

観ていくと、どちらの立場にも、「もっとできることがあるのではないか?」と思わされる。

活動家が価値の押しつけをしてくるのと同じように、太地町の人々(や日本人全般)もまた、外から伝統に口出しされることを拒否することは正義であると意固地になっている姿が映された。

太地町に過度に肩入れせず、比較的ニュートラルに撮れている映画だと感じた。

* 以下は極めて個人的な意見です。

人が不愉快に感じるものなんて文化や宗教によって異なるし、家庭環境といったサイズでも異なる。
すべての人が承諾できることしかできないのであれば何もできないし、お互いに尊重するべきなのではないか。

まったくもって、一理ある。

ただ、太地町が伝統・文化を捨ててもいのではないか?と私は映画を観て感じた。
その理由は…

1. 生きる術としてのクジラ(太地ではイルカもクジラと呼ぶ)漁の価値の低下

他に産業のない太地町においてクジラ漁は、生きるための術として400年前にはじまったという。
しかし、「生きるため」の価値はかなり低下した。

クジラ肉は安全懸念(水銀含有)もあり、味も よくない上に、国際批判にさらされ、マーケット価値が劇的に低下( イルカ 一頭の食肉としての価格はこの20年で40~50万円 -> 1.2万円。 日本国民の平均消費量は40g/年 )している。
また、 世界動物園水族館協会(WAZA) からの制裁により、イルカを水族館に売ることも難しくなっている。

生きるためにはじめた伝統であれば、不要になった時点で新しい伝統を作りだす方向に舵をとってもよいのではないだろうか。
クジラに頼って生きるという方向性をある程度残した上でも。

世界の注目を浴びた町ということを逆手にとって事業をしやすくなっているだろうし、その方法を例えばシーシェパードと協力して模索する方向に歩み寄ってもよかったのではないか。

2. 世界家族化

グローバリゼーション行き詰まりが顕在化しつつある現在ではあるが、世界が狭くなり、世界家族化しつつある中、世界の多くの人が不愉快に感じることは避けられるなら避けてもよいのではないかと一方で思う。

クジラ漁に関しては、前述のように価値の低下が著しく、避けられる部類の文化になっているのではと感じる。

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doronjo

4.0平行線の正義

2018年7月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

こういう事は多い。
話し合っても噛み合わない。互いの主張を述べあって相手に同意を求めるだけではダメだ。

相手が何故にそう主張するのか?
どんな歴史や経験があるのか?

クジラやマグロは食べずにチキンを食べるというのは、本当に正しい事なのか、環境を守る事なのか。

クジラやイルカを食べるのは間違った事なのか?

平行線を曲げる技はなかったが、平行線のままでの対立や犯罪者呼ばわりにも未来はない。

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Momoko

0.5掘り下げ不足にも程がある

2017年10月30日
iPhoneアプリから投稿

まったくの期待外れ。登場人物に対する掘り下げがほぼゼロ、ちょっと行って通り一遍の話きいた映像繋げただけ。

そもそも監督がこの町の問題を深く知りたいという意思が感じられない。町の人との信頼関係もなさそうで、その部分はすべて元AP記者で町に移住したアメリカ人ジャーナリストに頼っている。ドキュメンタリーの基本がなっていない。NHK特集のトレースアニメなんかは論外。このアメリカ人記者に撮らせたほうが、はるかによかっただろう。

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na2me

4.0ぶっちゃけ話し合いより実力行使

2017年10月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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曽羅密

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