劇場公開日 2018年4月14日

  • 予告編を見る

「真の悲劇は国民VS移民ではなく、国民VS国民」女は二度決断する 曽羅密さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0真の悲劇は国民VS移民ではなく、国民VS国民

2018年7月17日
PCから投稿

サッカーW杯で韓国にすら敗れてドイツ代表はグループ最下位にまで堕ちてロシアを後にした。
代表選手の顔ぶれを見ても、ゴメスはスペイン系、ケディラはチュニジア系、ボアテングはガーナ系、エジルとギュンドアンはトルコ系と、元々のゲルマン系の白人ではない移民系が増えている。
本作は主人公カティヤの夫がトルコ系移民だったため混血の息子とともにネオナチのゲルマン系ドイツ人に爆殺されたのだが、そこまで深刻ではないにしても同じような事態がW杯ドイツ代表のトルコ系2人をめぐって起きた。
エジルとギュンドアンがトルコ大統領のエルドアンを表敬訪問した際に「我が大統領に多大なる敬意を」と書かれたユニフォームを手渡したことがドイツ国内で問題視され、代表から外すべきだと物議をかもした。
また彼ら移民系は試合前のドイツ国歌を唄わないことでも非難されている。
W杯で闘う前からすでにチーム内に不協和音を抱えていたと推測できる。
まさに映画は社会の縮図である。

なお余談だが、現在J1ヴィッセル神戸在籍のポドルスキもポーランド系移民であり、ほぼドイツ国歌を唄わなかったようだ。

たとえ高い技術や豊かな国際経験があっても国家代表が1つのチームとして機能しなければ試合には勝てないことを今回のドイツ代表が明らかにした。
同じゲルマン系民族の国家でもクロアチアのW杯代表がスーパースターはいなくとも1つの組織として団結して闘ったために決勝まで進んだこととは対照的である。

本作の監督ファティ・アキンはトルコ系ドイツ人で、自身の出自を作品に託している。
ただ、主演のダイアン・クルーガーがインタビューで明らかにしているが、ゲルマン系の白人ドイツ女性がトルコ系男性と結婚することは現在でもタブー視されているらしい。
ドイツは近年あまりにも難民を受け入れ過ぎて治安が悪化したため移民への見方が厳しくなり始め、移民制限を掲げるドイツのための選択肢(AfD)が議席数を大幅に増やしている。

そもそもドイツにトルコ系が増えたのは高度経済成長時代に人手が足りなくなった際、安易に労働移民としてトルコ人を受け入れたことに端を発する。
同じ頃日本も高度経済成長を迎え、今以上に人手不足であったが、日本は安い労働力としての移民に頼るのではなく、設備投資による生産性向上を推進することで高い経済成長率を維持した。

結局トルコ系労働移民がドイツに居着いてしまい、さらに家族も呼び寄せて世代を重ねるごとに人数を増やしている。しかもトルコ系はイスラム教徒であるためプロテスタントのキリスト教国であるドイツの国柄にはなじんでいない。

本作でも夫の両親はトルコ在住で、カティヤや彼女の母親との関係は決して良好ではなさそうに描いている。

また本作ではトルコ系移民の街で爆破テロが起きた設定だが、日本でも現在埼玉県の西川口が漢語の看板が乱立したチャイナタウン化し、日本人が寄り付かなくなっている。
あまり知られていないがドイツでは移民を受け入れたことで元々のドイツ人の給料も上がりにくくなっている。
監督のアキンもトルコ系ということで差別されてきたという。
移民受け入れで貧しくなった元々の国民とその国の言葉も満足に話せず差別され社会的な地位の低い移民の対立は避け難く、まずは互いに相争うようになる。移民は外部勢力にそそのかされる場合もあるが、自暴自棄になれば双方がテロを起こし、社会が不安定化していく。

現在日本でも自暴自棄になった人間が無差別殺人を起こしているが、移民が増えれば矛先は移民に向かうようになるかもしれない。

まさにアメリカ・イギリス・フランス・ベルギー・ドイツ、北欧各国など、欧米諸国でテロが増えているのも同じ理由である。
そしてもっとも悲劇なのは、経済的心情的理由から移民に肩入れする国民と移民に反対する国民が対立し、国家が分断されることである。
本作でも最大の対立はカティヤとネオナチの夫婦という、元々のドイツ国民であるゲルマン系の対立である。

イギリスのEU離脱、トランプ大統領の誕生、ヨーロッパの右傾化、すべては移民問題に対する元々の国民の揺り戻しである。

日本でも現在労働移民を増やす方向に舵を切り始めているが、このまま進めばおそらく相当な周回遅れで欧米各国の問題が日本で起きるだろう。

本作を観ていて改めて感じたのは、移民受け入れは元々の国民と移民、双方を不幸にするということである。
日本の未来がそうならないことを切に願う想いで本作を観ていた。

まずは我々日本国民が正しい知識を持って移民を拒否する意思を持つことが必要である。
人手不足でも生産性を向上させることで、少人数でも経済発展は可能である。労働力を安く使いたい資本家の嘘に騙されてはいけない!

筆者は愛する祖国が荒廃する姿を見たくはない!

労働移民に明るい未来が見えない度:10

コメントする
曽羅密