劇場公開日 2018年2月10日

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「総ての映画ファンに送る、映画からのロマンチックな愛の物語でした!」今夜、ロマンス劇場で Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5総ての映画ファンに送る、映画からのロマンチックな愛の物語でした!

2018年10月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

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幸せ

私は正直、本作の様に映画制作者の方々を描く作品や、映画絡みの物語となると昔からめっぽう目がありませんでした!
「ニューシネマパラダイス」何度観た事でしょう!「ザ・プレイヤー」そして「アーティスト」等名前を挙げただけでも胸に感動が込み上げてきそうです!

そしてまた、私は、この作品を観て、「人は2回死ぬ」とよく言われる、その事を思い出しました。

1度目の死とは、もう言うまでも無くこの世から、肉体が無くなり、医師から死亡が確認された状態で、2度目の死と言うのは、その亡くなった人の存在が時間経過と共に忘れ去られ、誰の記憶からも完全に消えて、その人がこの世に存在していた事実が無くなってしまった時が第2回目の死。
そう考えると、確かに映画スターは自分の出演した映画が誰かの心に影響を与えている間は、一般人よりも長生き出来そうだ。

事実、私が中学生の頃観た「エデンの東」と言う作品でデビューして3本の作品を残して亡くなった伝説のスター、ジェームス・ディーンは私が生まれる前に死んでいる俳優だけれども、冒頭の彼が顔を上げるあのショットを観た瞬間、この俳優はこの映画が存在する限り生き続けると思い、その時以来、私の映画観賞人生も同時に続いている。話が逸れたので、この作品に話を戻すが、それ故、私はこの作品の主人公である健司が、スクリーンの中の美女、スター女優だった美雪に夢中になる気持ちについつい感情移入してしまうのだ。
そして、美雪自身も、スクリーンの中から、自分の存在をいつも大切に見守ってくれている健司の存在を知り、健司と別れの日が来る時にスクリーンを抜け出して、健司に会いに来ると言うファンタジー、これは映画ファンにはなら誰でも好きになってしまうスチエーションだよね。

映画が娯楽の中心で、映画と言う媒体そのものが人々の生活に深く関わりを持っていた時代。
そんな古き良き昭和の文化の香りが、懐かしくて、そしてきっと多くの映画ファンにとっては、この世界感は最も愛おしい世界なのではないかな?

助監督健司と彼を愛する2人の女性達、この3人の揺れる優しく淡い「純愛ラブストーリー」と言う物語も実にザ・昭和的で、最高でしたね。
そして物語はいよいよラストを迎え、或る秘密が明かされて行くけれど、これも悪く無いし、もしも違った結末が有ったとしても、それはそれで、きっとそれもロマンス劇だった事でしょう。
かつて、「蒲田行進曲」と言う映画撮影所が舞台の作品でもラストの賛否が分かれました。

病気療養中の老人を加藤剛が演じていたが、奇しくもこの作品が、彼の遺作となってしまった現在の銀実を思うと更に切なくなる。しかし、美雪同様、加藤剛もこの作品の中では素晴らしくロマンチストな老人として、映画ファンの心の中で生き続けるのは間違いない。

本作では冒頭「ローマの休日」を思い起こされる方が多くおられると思うが、私は市川昆監督の「鹿鳴館」が描き出した、時代の香りを想い起した。
本作は本当に映画好きにはきっと最高にハッピーになれるロマンス映画だと思います。
主演の綾瀬はるか、坂口健太郎、本田翼は本作ではハマリ役で勿論良いが、脇を固める、柄本明、北村一樹の役処も最高に楽しいし、素晴らしかった!

ryuu topiann