劇場公開日 2018年6月15日

  • 予告編を見る

「何でこれが日本アカデミー賞?」空飛ぶタイヤ タミヤ・ユウさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5何でこれが日本アカデミー賞?

2019年1月17日
Androidアプリから投稿

先に言いますが、この映画はあまり好きじゃなかったです。
ストーリー自体は池井戸潤らしく良い内容だと思うのですが、それでも正直微妙でした。

自分は池井戸潤の映像化作品は好きな方です。
ドラマでは、「半沢直樹」は面白いと思いましたし、「下町ロケット」や「陸王」も好きで観ていました。
彼の小説自体はそんなに読んでいませんが、映像化映えする作品が多いと思うので、初映画化となるとどんな作品になるのか、期待を膨らませて観に行きました。

「半沢直樹」のようにスカッとする話なので、この映画が好きという人の気持ちも理解できます。
しかし、個人的な期待は外れました。

キャストが結構豪華だったのですが、役に合ってない人が多く感じました。
約二ヶ月前に観た「孤狼の血」はこれに匹敵するくらいキャストが豪華ですが、ほぼ全員演技が良かったです。
なのにこの差は一体…?

まず主人公を演じた長瀬智也はあまり社長らしさが出ていませんでした。
彼は決して下手では無いと思いますが、社長ではなくただの長瀬智也に見えてしまい、映画から気持ちが離れる事が多かったです。
その他、ディーン・フジオカや高橋一生も良い味を出してるとは言い難かったです。
特にディーン・フジオカは日本アカデミー賞の助演男優賞を取れる演技だとは思えないです。
刑事を演じた寺脇康文も典型的過ぎて、正直「相棒」のあの人にしか見えなかったです。

良かったのは、主人公の妻を演じた深田恭子、そして社長の岸部一徳です。
深田恭子は綺麗ですし、健気な妻を好演していた気がします。
岸部一徳は、不祥事を圧力で揉み消そうとする社長を憎たらしく演じていて良かったです。

話の展開も、
シーンの移り変わりが激しく変わり、置いてきぼりになりそうでした。
なのに、中盤でディーン・フジオカのシーンがやたらと多くなります。
一応彼の人間性を描きたかったのだと思うのですが、それでも要らないと思った部分が多かったです。

とはいえ、後半になると被害者遺族の心情や他の運送会社の行動が描かれるようになったので、そこでだいぶ良くなった印象です。

正直ドラマの総集編みたいな映画に感じたのですが、地上波で出来ない理由は聞いてます。
この映画は実際にあった自動車のリコール隠しを題材にしているので、自動車企業のスポンサーが多い民放では難しいとの事です。
だったら尚更ドラマでは出来ない事をするべきだと思うんです。
車の事故シーンはCGではなく、実際に撮る方が緊迫感は出ると思いますし、遺体の描写も周りに血が付着していないと事故の悲惨さがあまり伝わりません。
日本ではその撮影が難しいのかな…

ハンドカメラの部分も固定カメラでやった方が映画自体の質は良くなるはずです。

内容自体は良いのですが、とにかく演出面で微妙に感じる部分が多かったです。
なので、これが日本アカデミー賞の作品賞にノミネートされる作品というのが疑問に思います。

タミヤ・ユウ
mayさんのコメント
2019年7月20日

深田恭子さんは、好きな女優さんですが、
この役に限っては、特に役作りにおいてうまくいかなかったと感じました。可愛さを捨てきれてなかったというか…だからか、映画館で見た後にアカデミー賞受賞をテレビで見てビックリしました。一方、ディーンは、存在感が素晴らしかった…というか、企業戦士という役にピッタリだった。知的な雰囲気は今の俳優にはなかなか感じられないので、同性にはウケがよくないかもしれないけど、こういうタイプが女性に支持される一因の1つかと思います。本人もさることながら、演出家との相性もよかったのかもしれません。善良なイメージがありましたが、劇中の愚痴を言うセリフに新鮮味を感じました。

may