空飛ぶタイヤのレビュー・感想・評価
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本木克英監督&長瀬智也なら違うタイプの作品のほうが…
池井戸潤の小説の初映画化。池井戸原作のテレビの連続ドラマはかれこれ10年近く人気を博してきたのに、映画が作られなかったのには理由がある。企業小説や経済小説と呼ばれる池井戸作品は、銀行を含む複数企業の組織の概要と人物相関、また主要登場人物の生き様を見せつつ、不正に立ち向かう人々の群像を描く。情報量の多さゆえに、2時間程度で語るのは無理があるのだ。案の定、本作はストーリーを駆け足でなぞった印象を否めない。
赤松運送社長に長瀬智也という配役にも違和感。運送業界は全国規模の大手に押されて、赤松のように単独事業所で操業している中小企業は、ぎりぎりの資金繰りで苦しい経営のはず。長瀬にはスターのオーラがあり、泥臭い運送屋の社長には似つかわしくない。本木監督も「超高速!参勤交代」のような喜劇は得意だが、シリアスな企業ドラマは向かないと感じた。このタッグなら、コミカルな活劇のほうがはまるのではないか。
人に薦められる良作
久々に重厚な映画を観て満足した。長瀬さんの演技は評判が良いのは知っていたが、素晴らしかった。最近この世代でこういう重みがある俳優がなかなかいないだけに俳優としての活躍をもっと観たいと思った。重みがありながら、力の入り具合が適度なバランスで見た目にも主役としての華がある。長瀬さんの演技は池袋ウエストゲートパーク以降、題材が興味を持てなかったこともあり観ておらず、かなり久々だった。良い俳優の演技を見逃していたことが悔やまれる。
内容は単純な中小VS大企業の構造かと思ったが、大企業側の人としての倫理観や被害者との部分も描かれており、感情的になりがちな被害者側の問題点についても考えさせられた。
役者が全体的に上手いだけに深田さんの演技が残念だったがそれでも総合で★5だと思いながらエンドロールを迎えたが、まさかのエンドロールが全く合っておらず、今まで色々と観てきた作品の中でこれ程合っていない作品に初めて出会って驚いた。神奈川の話だったからサザンだったのだろうが、作品にもエンドロールの空の画にも全く合わない酷いものだった。★4でもいいくらい酷かったが、他が良かったので甘めの★4.5
長瀬が熱い
いかにも池井戸潤原作の作品といった感じ。
さらに言えば、例の大手自動車メーカーのリコール隠しを題材としてる話なので、物語なりの装飾はあれどリアルな印象を受ける。もともとはWOWOWのドラマだったらしいが、映画の時間に圧縮して見やすいそして入り込みやすい長さにしていると思う。原作を読んだ人のなかには本作を悪く言う人も少なく無い。それは、原作で重要なシーンが雑に扱われてたり削られてたりするからだ。自分は原作を知らないので、その良さは分からないが原作を知ってる人からするとそれは相当惜しいところなんだと思う。原作を知らない私のような人は素直に楽しめる作品ではないだろうか。
とりあえず、久々に見た元TOKIOの長瀬の熱さや、ディーンフジオカの淡々とした表現、キャスティングはメチャクチャ当たりだと思う。
真摯さが報われる世界の素晴らしさ
意外なほど面白かった。原作あり映画の場合、原作は事前に読んだり、読まなかったり。観賞後に読んだり、読まなかったり。私のスタンスは様々だ。
強いて比べようとは思わないし、映画の良さはストーリーだけじゃなく、構図や間に左右される部分がある。
セリフ以外の、地の文で表現されることやテーマを、いかに映像で魅せるのか?それこそが映画の醍醐味だ。
その上で、「空飛ぶタイヤ」を観た後、無性に原作を読みたくなった。出来に不満があるからじゃない。この世界にもう一度浸りたいと思えるほど、魅力的な作品だったからだ。
何が良いって、とにかく登場人物の「熱さ」が良い。青臭い情熱かもしれないけど、リスクしかない決断かもしれないけど、とにかく信じた道を走り抜きたいという思いは、人間が人間足り得る大事なことだと思う。
自分を、家族を、大事な人を守りたいという気持ちは大切だ。それは時に命であり、生活であり、立場であり、プライドである。
生きることは複合的な行為の集合体で、何かひとつにに満足できても、何かが欠ければ人生は立ち行かない。
長瀬智也演じる赤松は、一本の電話をきっかけに人生の荒波に翻弄される。自分が大切だと思うことは、一体何なのか?
彼の前に示される選択は無慈悲な二者択一を迫り、彼は悩みながら、苦しみながら、大切なことを選びとるしかない。
それは彼と対になるディーン・フジオカ演じる沢田も同様だ。立場も生活環境も全く違う彼らが、同じように己の譲れないものを問い続ける。
その対比と同調のバランスが素晴らしい。
苦しい立場に追い込まれる赤松を鼓舞するように、熱い思いを抱えた者たちが少しずつ加わる展開は、最高に胸を高鳴らせる。
時にストレートに、時に全く見えない場所で蓄積された思いの果てが、ラストへと繋がっていくカタルシス。文字通り、目の離せない映画だ。
正直に告白すると、長瀬智也はちょっと赤松役には若すぎるように思えて心配だったのだが、映画を観続けていくうちに気にならなくなった。
むしろ妻役の深田恭子(いつ見ても可愛い!)とバランスもとれていたし、スーツに隠れた筋肉質な感じが、小さな運送屋の二代目社長という役柄にもハマっていたように思う。
赤松を補佐する経理の宮さん・笹野高史の、地味ながらも素晴らしい演技もあって、最後まで胸が熱くなる気持ちが切れなかった。
現実はそんなに上手くいかない、なんて野暮なことは言いたくない。
積まれていった人の思いが世界を動かす。あっても良いんじゃないかな、それくらいのことは。
悪徳企業を懲らしめるw
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走行中の運送会社のトラックのタイヤが外れて宙を舞い、女性に当たって死なせる。
自動車メーカーの調査結果は「運送会社の整備不良」だった。
しかしその判断には不審な点も多く、原因となった部品も開示されない。
過去にリコールを起こしたそのメーカーが、不備を隠蔽してる可能性がある。
運送会社社長の長瀬、同じことを考えた記者の小池が真実を求めて動く。
しかし財閥でもあるそのメーカーの圧力で記事はボツとなった。
小池は詫びると共に、とあるリストを長瀬に託す。
同等の問題で事故を起こし、同様に「整備不良」と判断された会社のリストだった。
長瀬はそれらの会社を回り、やはりメーカーに不備があったことを突き止める。
まだ整備の必要さえない新車が同様の事故を起こした事例があったのだった。
長瀬がその証拠を警察に持ち込み、ついにメーカーのリコール隠しが明るみに出る。
そしてその裏には長瀬の姿勢に共感したメーカーのフジオカの暗躍もあった。
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いかにも池井戸潤だなって感じの、正義が努力で悪を倒す話。
原作はもっと長いらしい話をうまく2時間にまとめられてる。
どうせ悪が懲らしめられるんやろな、って分かり切ってるし、
努力すれば何とかなるもんじゃないでしょ、ってのも思うんやけど、
この人の作品には何かそれでも共感させられることが多いよな。
さすが池井戸作品
トレーラー事故の真相を追う、運送会社社長の奮闘を描く物語。
長瀬智也主演・・・というよりは、ヒットメーカー池井戸潤原作の映像化作品ですね。原作未読。WOWOWでもドラマ化されていましたが、未鑑賞です。
流石に池井戸潤原作。とても良く出来た物語ですね。
運送会社社長の苦悩描写がしっかり。着せられた汚名、家族にも降りかかるパッシング、無実を信じながらも加害者として対応せざるを得ない立場。
会社存続の為の厳しい判断が求められるシーンを含めて、苦悩のエピソードがしっかりと描かれています。
ラスボスの設定も素敵です。財閥系の自動車メーカー。その中でも圧倒的な権力を持つ役員。大企業の影響力と官僚主義。
主人公の苦悩とラスボスの存在がしっかりと描かれているので、ラストのカタルシスが大きく感じられます。
エリート社員の苦悩、銀行とマスコミ。色々な人物がしっかと描かれていて、物語を重層的に盛り上げてくれるのも良いですね。
やや主人公を演じた長瀬の演技が芝居がかって感じたのが残念なところ。若い頃ヤンチャしていた昔気質・職人気質の社長描写なのでしょうが、もう少し抑えても良かったかもしれません。もっと私的な好みで言えば、寧ろひ弱な2代目にした方が、物語は映えたように感じられます。
私的評価は4にしました。
過去にドラマ版を夢中になって観たことがあった。 映画は、キャスティ...
過去にドラマ版を夢中になって観たことがあった。
映画は、キャスティングの違いを楽しみながらサクッとストーリーを再確認出来たので良かった。
ラストシーンに胸がスッとして泣けた。
人の命より大事な組織などない。
巨大組織が金と保身のために人の命をないがしろにし隠蔽した事実。怒りで震えた。
赤松運送は、会社の存続に苦悩しながら粘り強く自ら調査する。赤松運送はじめ、内部告発者、関係者の想いに胸を打たれる。
母親をなくした幸せな家族は、もうもどらない。
誰もが、しがらみの中で右往左往し、なかなか社会正義は実現されないもの。
追い詰められた極限でも諦めなかった人間の魂を感じるストーリーに拍手したい。
俺は永瀬の演技がすきだ。ディーンフジオカや、高橋一生、小池栄子、ふかきょん、キャストみんな良かった。
人の命の重み…
隠蔽工作をする巨大企業に中小企業の社長が挑むという構図。巨大企業の中でも組織にもがく男たち。遅々として進まない不条理にもがき、会社経営が存亡の危機にさらされる中小企業の社長。池井戸作品によるこの人間ドラマも見応えあるが、何より人が一人亡くなっており、決して看過することはできない。実際にあった三菱自動車の事故の話ということは明白であり、あってはならない人災だ。時間の制約がある映画版だが、出演陣も皆良かった。
実際にあった痛ましい事件
原作は池井戸潤の同名小説。
主演は長瀬智也。
【ストーリー】
主人公・赤松は運送会社を経営する二代目社長。
自社で運用しているホープ社製トラックが起こした死亡事故に動揺して、担当の整備士門田を怒鳴りつけ、解雇してしまう。
だが門田がロッカーに残した整備ノートには、非常に詳細なメモが残っており、整備不良はあり得なかった。
すぐに門田に謝罪して処分を撤回する赤松だが、被害者となった柚木家を訪ねると強い罪悪感に苛まれる。
だが自分が賠償をすることは本質的な解決にはならない。
ホープ社の調査報告書では整備不良とされ、系列のホープ銀行からも融資を渋られ、そして警察の家宅捜索と会社存続の危機に見舞われる中、赤松は自らの足で事故の真相究明へと邁進する。
そこには巨大企業ホープの、ユーザーへの信じられないほど傲慢な商品供給態勢があった——。
ベースとなった物語は2002年に起こった、三菱ふそうトラックによる横浜母子3人死傷事故。
走行中に車輪がブレーキごと脱落し、歩道を歩いていた母親が死亡、子供二人が軽傷を負ったという悼ましい事故です。
当該事故を引き起こしたリコール隠しは、人為的な事件として、三菱自工と元部長の二人が起訴され、現在では有罪が確定しています。
20年以上前の事故ですが、巨大企業グループ全体にいまだ蔓延するずさんさとデータ隠蔽体質には、今なお怒りを禁じ得ません。
面白かった。
そんなに好きなジャンルではないものの、楽しめました。
ストーリー展開で一つ疑問なのが保証金云々の部分。
1億やるから黙っとけならわかるけど、部品を返すまでの云々であれば受け取ってても攻めれるじゃんと思ったね。
あと、1億をポンと出せる決断が課長レベルでできる会社はないと思うよ。
その変がちぐはぐしてた感じでした。
癖もなく密度MAXで楽しめた!!
池井戸作品の映像化の中では癖が無く観易いと思います。テンポが非常に良く最後までグイグイ引き込まれました。中盤で万事休す!!もう死ぬしかない!!からの、リスト入手で活路を見出した事は印象的でした。赤松社長は自分のポジションでできる事を全力でやったから救われた、これ以上の良い話はないと思います。ホープ自動車内部にも販売部の沢田(ディーン)達やホープ銀行の井崎(高橋)の存在が自浄作用となり、また富山ロジスティックという先人の戦いを赤松社長が引き継ぐ展開もとても良かったです。岸部・寺脇・六角はバーターかよと思いました(失礼)が、岸部さんの本気の怖さと、最後美味しい所を全部持っていく亀山も楽しめました。これは三〇菱の事だな!?という映画はもう作れないと思いますし、プロの仕事を最高に楽しめました。ありがとうございます。
主演は長瀬智也なのだが主役はディーン・フジオカかもしれないと思った。 かっこよく見えたのはディーン・フジオカ、高橋一生、笹野高史。 悪すぎるホープ自動車の取締役を演じきったのは岸部一徳。
動画配信で映画「空飛ぶタイヤ」を見た。
劇場公開日 2018年6月15日
2018年製作/120分/G/日本
配給:松竹
長瀬智也
ディーン・フジオカ
高橋一生
深田恭子
岸部一徳
笹野高史
寺脇康文
小池栄子
阿部顕嵐
ムロツヨシ
佐々木蔵之介
本木克英監督
池井戸潤原作
2002年に発生した三菱自動車製大型トラックの脱輪による死傷事故、三菱自動車によるリコール隠し事件などを物語の下敷きとしている。
犯行動機は、リコールを隠すことで数十億円の費用を節約できるという。
トラックの事故により、1人の主婦が亡くなった。
長瀬智也は整備会社の社長。
主婦が亡くなったことで、刑事と民事と会社に対する社会的制裁の3つを問われることになる。
従業員と会社には落ち度はなく、長瀬智也は真相を求めて奮闘する。
主演は長瀬智也なのだが主役はディーン・フジオカかもしれないと思った。
かっこよく見えたのはディーン・フジオカ、高橋一生、笹野高史。
悪すぎるホープ自動車の取締役を演じきったのは岸部一徳。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
大企業のリコール隠しに立ち向かう中小企業の社長。 場面展開が早く、...
大企業のリコール隠しに立ち向かう中小企業の社長。
場面展開が早く、観やすくもあるけど、もう少し深く描いても良かったんじゃないかとも思う。
企業の思惑、様々な人々が交錯する。
おもしろく観れました。
これぞ、日本映画
もう最っ高です。半沢直樹好きにはたまりません。
池井戸潤原作の映画ということでこれといった前情報もなくNetflixで鑑賞したけど、期待以上の傑作でした!こりゃいいもん見た。もっともっと、こういう日本映画が見たいなぁ...。
役者の使い方がピカイチ。文句なし!
ここまで名優を揃えたならば面白いことは確定しているようなものだけど、どんな役柄だったら演技が光るかというのをよく理解しており、キャラだけでもお腹いっぱいになれる。原作者・池井戸潤の力もあるだろうけど、しっかり良さを見出してくれた本木監督に感服です。
話自体、かなり濃厚で見応えがあり超面白い。
話の構成、脚本、見せ方などなどきちんと練られていて、観客を飽きさせない作りになっていた。ドラマの方が良かった...ともならず、少々粗いところもあるけれど個人的には大満足でした。
こういうのを映画でしたらウケ悪いのかな...。
池井戸潤原作のドラマや映画、大好きだからこれからもこの手の作品、どんどん作って欲しいものです。
忘れてはならないモノづくりの原点
ここまで本格的な社会派作品だとは思っていなかった。池井戸潤原作だったので、派手で熱い展開の作品を予想したが、トラック脱輪死亡事故の真相に迫った見応え十分の硬派作だった。
本作の主人公は、運送会社社長・赤松徳郎(長瀬智也)。横浜で彼の会社のホープ社製トラックが脱輪死亡事故を起こす。赤松の会社は、整備不良を疑われて社会的信用を失い、会社経営は窮地に陥る。赤松はホープ社製トラックの脱輪事故が散発していることを突き止め、その構造的欠陥を立証するために独自調査を開始する。そして、会社や家族を守るため、自らの正義を貫くため、ホープ社に立ち向かっていく・・・。
池井戸作品ということであり、結末は予測できる。しかし、実際に起きた事故を題材にしているので、淡々とはしているが、リアル過ぎる展開の連続であり、緊迫感が途切れることが無い。画面から目が離せない。
事故を巡って、主人公側、ホープ社側、の双方の対比が鮮明になっている。ホープ社側は、社会正義を意識しながらも、会社にしがみつかざるを得ない企業人の苦悩と葛藤が、ディーン・フジオカ、ムロツヨシ等の生々しい演技で見事に表現されている。主人公側は、会社経営の危機にありながらも、社会正義を貫こうとする主人公と仲間たちの絆に胸が熱くなる。長瀬智也の自然体ではあるが迫力ある大人の演技が光る。
私は自動車産業に身を置く立場なので、本作はドキュメントを観ている感覚がした。本作を観終わって、主人公の姿勢は、モノづくりの原点であり、どんな事が起きても、真摯であること、逃げないこと、諦めないことだと、改めて痛感した。
本作は、トラック脱輪死亡事故を通して、社会正義をテーマに、多士済々の登場人物が織り成す人間模様を描いた群像劇である。エンタメ作品ではないが、モノづくりの原点とは何かを示唆している良作である。日本の安全神話が崩れ去ってしまった今だからこそ観るべき作品であろう。
自分もそういう人間でありたい。
見応えありました。
ベストセラー作家池井戸潤さんの小説が原作ですか、実際にありそうな話だなと思えます。
正義のために闘える人間、難しいこととは思いますが自分もそうありたいと思いました。
全350件中、1~20件目を表示