劇場公開日 2017年12月9日

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「鎌倉ふしぎステキ旅」DESTINY 鎌倉ものがたり 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鎌倉ふしぎステキ旅

2018年6月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

幸せ

こちらも先日見た『ラストレシピ』同様、劇場で観ようと思いつつ、お金や時間の都合で断念した一作。
もしお正月休みにでも観てれば、時期的にも題材的にもぴったりだったんだろうなぁ…と、ちょっぴり後悔。

山崎貴監督が『ALWAYS』に続いて西岸良平の作品に挑戦。
ノスタルジックな昭和よ、もう一度…ではなく、ふしぎな異世界へご招待。

鎌倉に住む作家・一色のもとに嫁いだ亜紀子。
来てみてびっくり!
ここ鎌倉は、この世とあの世が入り交じり、妖怪、あの世の者、魔物が日常的に暮らしていた…!

なかなかファンタジーが根付かない日本に於いて、これぞ和製ファンタジーの好編!
洋ファンタジーとはひと味違う和の風情たっぷりの世界、おそらく舞台は現代なんだろうけど美術や車などノスタルジックな昭和の雰囲気…。
そこに、妖怪やクライマックスは壮大な冒険。
ミステリー作家が主人公なだけあって、伏線やミステリー要素も少々隠し味。(一色は妖怪が絡む事件の捜査に協力したりする)
漫画チックではあるけれど(基は漫画だけど)、つくづく日本人で良かったなぁと、ホント正月休みに見たかったなぁと思わせてくれる。

VFX、ミニチュア、特殊メイクなどを駆使して、山崎貴が手腕を遺憾なく発揮。
町を出歩いてても、普通に妖怪とすれ違い、居酒屋で晩酌してる。
昔から妖怪と“共存”してる日本人にとって、この世界観に何ら違和感は無い。
と言うか、心の何処かでこんな世界がそこにある事を期待している。
現世・鎌倉での一番の見物は、“夜市”。
妖怪が色々な店を出して、色々なものを売り買いしてる、お祭りの出店な感じ。
凝った美術セットや特殊メイクの堪らないアナログ感!
日本にだってこういうのある。ギレルモ・デル・トロに見せてあげたい。
極め付けは、クライマックスの黄泉の国。
従来のイメージを覆すほど、ファンタジック!
のどかな温泉街、『千と千尋の神隠し』を彷彿。(佐藤直紀の音楽も久石譲風)
この黄泉の国は監督の理想郷だとか。今年は『リメンバー・ミー』でもユニークなあの世を描写し、本当に死後の世界がこんなだったら…と、つい思ってしまう。
あの世が理想郷で、現世が混沌とした世界というのも皮肉的。
また、本作の黄泉の国は人によって見え方、感じ方が違うらしく、あくまで主人公・一色(つまりは監督)のイメージ。
自分だったらどんな黄泉の国が見えるのだろう…と、想像力膨らませる。

ちょっと冴えない作家先生と、子供のように天真爛漫な若奥さん。
堺雅人と高畑充希の好演にほっこり。
キャストで面白いのは、非人間キャラに扮した面々。
一色家に代々100年以上も仕えるお手伝いの中村玉緒、陽気な死神・安藤サクラ、亜紀子と仲良くなる貧乏神・田中泯。ある者に転生した堤真一も。
皆、楽しそう。

ユニークな世界観やビジュアルに目が行きがちだが、話のメインは夫婦愛。
仲の良い一色夫婦。
でも先生は、夫婦の在り方についてわだかまりが。
先生の親が…まあ、よくある話。
亜紀子は夫婦は永遠のものと信じている。
それでつい喧嘩も…。
そんな時、亜紀子が不測の事態で黄泉の国へ連れて行かれてしまう…。

亜紀子を現世に連れ戻す為、黄泉の国へ旅立つ先生。
亜紀子を見つけ、果たして無事帰れるかも未知数。一か八か。
居なくなって改めて分かる、大切な存在。
夫婦の在り方に疑問を持っていた先生に試される、夫婦の愛。
襲い掛かる、亜紀子を付け狙う魔物。
黄泉の国で知った、両親の思わぬ真実。
そして、何故先生と亜紀子は結ばれ、夫婦になったのか…。
クサイ言葉だけど、前世からの結ばれる運命、運命の相手を信じたくなる。

ファンタジックでユニークでノスタルジックでハートフル。
夫婦愛にジ~ンと。
ドキドキの冒険も。
さあ、ふしぎでステキな鎌倉の旅へ!

近大
2018年6月23日

コメントありがとうございました。
昨年の冬、SW8観てる場合じゃなかったw

巫女雷男