劇場公開日 2018年5月11日

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「人は互いに活かし活かされながらこの世界で生きている」ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0人は互いに活かし活かされながらこの世界で生きている

2018年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

怖い

テロには特別厳しく対峙する、元世界の警察と言った触れ込みをしていたアメリカならではの映画だと感じた。
2013年のボストンマラソン起きたテロ事件だけに、事件を今尚記憶している人も多い事だろうが、本国アメリカではこんな実話が有ったとは全く知らなかった。

しかし、私など日本人が訪米すると田舎町では今でも「リメンバーパールハーバー」と言われる事がある程テロには神経質な国民性がある。
それ故、テロ被害者で有り、テロの目撃者でもある人物がテロ逮捕に貢献したともなれば、誰もがヒーローに祭り上げたい気持ちは判らなくもない。

その一方で、突然イラク戦争へ行ったわけではないのに、両足を一瞬の出来事で失ってしまう青年の人生に起きた怒りや悔しさ等の葛藤は容易に想像出来る。
そして、そんな突然の不幸を強いられた息子を不憫な余り、ヒーロー扱いしていく両親の気持ちも何ともやるせない気持ちになる。
そしてその両者には何時しか心の壁が出来てしまうのも自然の流れなのだろう。
でも、この映画で一番心の痛みを抱えながら強く生きようと努力したのは元恋人のエリンではないだろうか?
ジェフも始めは、元カノがマラソンに出る事で応援に行ったのは自己責任。しかもテロに遭うのは予想外の運命の悪戯だと自覚しているが、やはり自分の怪我の苦しみから、何時しか、彼女に対しても恨み節を吐くようになるのも自然である。
登場人物の総て人達の気持ちが理解出来るような事だけに、本作は非常に観るのが辛かった。

しかし、終盤ジェフは家族を突然失い、その苦しみを乗り越えた人物と出会う事で生きる希望を見つける。イラク戦争で弟を亡くしたと言う野球選手である兄に出会い、更に生きる希望を得る。
この世の中には残酷で、他者には理解出来ないような冷酷な事件を引き起こす人が存在する一方でまた、様々な苦しみを乗り越える姿で、人に希望を運ぶ救世主となる人間も存在する。
人の人生には人知を超えた神の計画が存在しているのかも知れないと考えさせられる作品だった。

実話であるだけに説得力のある物語をジェクギレンホールが演じていて共感が持てる作品となっていると思う。何故かこう言う役は彼には凄くシックリとくる気がする。
実話だけにジェフとエリンの2人がハッピエンドである事がせめてものの慰めであった。

ryuu topiann