劇場公開日 2018年2月1日

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「仕事人」不能犯 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0仕事人

2019年1月8日
Androidアプリから投稿

必殺仕事人にしても、ゴルゴ13にしても、殺し屋という職業は漫画、ドラマ、映画などにしか登場しないが、殺しの報酬は莫大な金額だ。電話ボックスの裏に誰かを殺して欲しいと書いた紙を貼っておくと、その願いが叶うという、都市伝説を実際に行うストーリー。宇相吹正(松阪桃李)はボランティアで殺しをやってるというのだから、これはもう『笑うセールスマン』か『地獄少女』かといったところ。しかも催眠術のようなマインドコントロールによって相手を殺すのだから、証拠も何も残らないという凄技だ。また、ブラックユーモア的に、殺してしまった後にも残酷な現実を依頼人が突き付けられるシニカルな面も描いてある。

 金融業者がスズメバチに襲われて殺され、町内会長が毒を飲んで殺され、女刑事が腕に少年の顔が浮かび上がってカミソリでリストカットしてしまうなど、全て幻覚を見せられ殺されてしまうのだ。依頼人は必ずと言っていいほど何らかのしっぺ返しを食らうのだが、殺されたのは実はいい人だったという無情な結果であっても宇相吹は何ら関知もしない。それぞれのエピソードが微妙に繋がり、あーあ、やっちゃったよ・・・的な面白さもあった。

 後半になると、刑事多田(沢尻エリカ)と宇相吹との対決が中心となっていくが、頻発する爆弾魔が絡んでくると、よくありがちなアクションとなってくる。せっかくのブラックさが薄らいで、俗っぽい映画になっていくのが残念なところ。また、彼女の未だに女王然とした演技も辟易してしまうのです。

 真剣に人を怨んで殺したいと思うのなら、必死で働いて金を貯めてそれなりの誠意を見せなきゃ面白くない。都市伝説を信じて、安易な気持ちで試してみたり、あろうことか殺し屋までもがボランティアという設定も子供だましすぎやしないか。コミックが原作だと、やはり人の命は軽いものですなぁ・・・

kossy