手紙は憶えている

劇場公開日:

手紙は憶えている

解説

ある1通の手紙をきっかけに、家族を殺したナチスへの復讐の旅に出る男の姿を、アトム・エゴヤン監督が描いたサスペンス作品。最愛の妻の死も覚えていられないほど、もの忘れがひどくなった90歳のゼブ。ある日、ゼブは友人のマックスから1通の手紙を託される。2人はナチスの兵士に大切な家族を殺された、アウシュビッツ収容所の生存者だった。手紙にはナチスの兵士に関する情報が記されていた。兵士の名前はルディ・コランダー。身分を偽り、今も生きているという。容疑者は4人にまで絞り込まれていた。体が不自由なマックスの思いも背負い、ゼブは復讐を決意し、1通の手紙とおぼろげな記憶だけを頼りに単身旅に出る。「人生はビギナーズ」で史上最高齢のアカデミー助演男優賞に輝いたクリストファー・プラマーが主人公ゼブを演じ、マーティン・ランドー、ブルーノ・ガンツらベテラン俳優陣が顔を揃える。

2015年製作/95分/PG12/カナダ・ドイツ合作
原題:Remember
配給:アスミック・エース
劇場公開日:2016年10月28日

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(C)2014, Remember Productions Inc.

映画レビュー

4.0魅力的なドラマの間に「記憶」の重みを巧みに挟み込む

2017年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

おじいちゃんと拳銃。それは映画人なら一度は描いてみたいとビジュアルであろう。本作はアウシュヴィッツの生存者が復讐の相手を探し求めるというプロットをロードムービーへと展開させる。そこで鍵となるのが「記憶」。認知症に冒された彼がリマインダーとして手首に「手紙を読め」と記すのは非常に賢いやり方だが、同時に悲しい皮肉でもある。なぜなら、すぐ同じ腕には囚人番号が焼き付いているのだから。忘れたくても忘れられない記憶があり、忘れたくないのに忘れる記憶もある。そして本作は結末にて、記憶のさらにもう一つの側面を伝えてくれるのだが、ここでは書くまい。ミステリーとしても十分に面白いが、「サウンド・オブ・ミュージック」でナチスの手より逃れていくトラップ大佐役のプラマーが主演するなどキャスティングも秀逸。「スウィート・ヒアアフター」や「アララトの聖母」のアドム・エゴヤンが「記憶」を語るとまた特殊な響きを持つのは言うまでもない。

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牛津厚信

4.5エゴやん版「ゆきゆきて神軍」

2016年11月7日
Androidアプリから投稿

怖い

笑える

悲しい

アトム・エゴヤン監督が描くナチスハンターの復讐劇、なのだが、このハンターが90歳の老人で、アルツハイマーで記憶すら定かでないというのがポイント。クリストファー・プラマー扮するアウシュビッツの生き残りは、家族を殺した収容所の責任者が名前を変えて潜伏していると知り、老人ホームを抜け出して探索の旅に出るのだ。

なにぶんご高齢なので復讐者である本人がなにかとおぼつかないのが本作の面白さ。あまりにも危なっかしい素人暗殺者の道行きに「おじいちゃん、がんばれ」と声援を送りたくなる。狙う仇には候補者が四人いるのだが、これまた同じくらいご高齢なわけで、盲執に憑かれた老人が寝たきりの老人を襲撃する姿は原一男の「ゆきゆきて神軍」がダブった。

ネタバレを避けたいのでオチの話はできないが、この映画のキモはオチよりも過程にあると思う。どのシーンもブラックなコントとしてみごとに機能していて、同時にスリリングでこわい。テーマはシリアスでヘビーだが、とにかくべらぼうに面白いスリラーとして楽しんだ。

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村山章

4.0【認知症気味の老人が、アウシュビッツの悲劇を清算するために行った事。ラストのどんでん返しには刮目する作品である。】

2024年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

難しい

■妻の死も忘れるほど物忘れが進んだ老人・ゼヴ(クリストファー・プラマー)。
 ある日、彼は友人のマックス(マーティン・ランドー)から手紙を託される。
 ゼヴとマックスはアウシュヴィッツ収容所の生存者で、家族をナチス兵に殺されていた。今も生存しているというその兵士に復讐すべく、ゼヴは一人で旅立つ。

◆感想

・認知症をテーマとした映画は、近年盛んに公開されているが、今作の認知症を患った男と
 元アウシュヴィッツ収容所の生存者であったゼヴとルディ・コランダーを演じた独逸の名優ブルーノ・ガンツが交わすラストシーンは余りに切ない。

<戦争犯罪を扱った映画はあれど、そこに認知症を組み込んだ映画の作風には、哀しくも唸らされた作品である。
 今や、クリストファー・プラマーも、ブルーノ・ガンツも故人になってしまったが、今作を支えているのは、お二人の抑制した演技である。
 戦争は、人類にとって何ら豊かさを齎すものではなく、哀しき想いを残すだけである事を描いた映画である。>

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NOBU

4.0☆☆☆☆ 日本題名の『手紙は憶えている』は、分かり易さでは間違いで...

2024年3月9日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆☆

日本題名の『手紙は憶えている』は、分かり易さでは間違いでは無いんですが。映画を観終えると「ちょっと違うかな?」…と。
原題は【remember】なんですが。これが映画を観終わって、帰宅途中で色々と考えていると、ジワジワと効いて来る題名なんですよね〜(´-`).。oO

早い話が、これは殺し屋のロードムービーなんですが。主人公の殺し屋は、クリストファー・プラマー演じる90歳のボケ老人。
だから手足は覚束ず、記憶も直ぐに無くなってしまう。
まさに、こんな殺し屋は前代未聞なのであります。

他にも、ネオナチ男が態度か急変する辺り。
…まあ、これ以上はネタバレになってしまうので止めておきましょう。
最後のオチがすこし強引な面は有るものの、確実に入場料を損する事は無いと思いますね。
※ ネットでネタバレされる前に、是非お早目に劇場へ行かれると宜しくか…と。

兎に角、日常に潜む暴力が怖い。
多少ネタバレしても大丈夫かな?ってところで言えば。先ず街中で普通に拳銃が買えてしまい。店員が…

「ちょっと値は張るけど(殺傷能力が高いから)確実に殺せるよ!」

…と言ったり。

警備員が拳銃を見て…

「俺が最初に持っていた奴だ!」

…だもの、、、

これ、年間のベスト10に入って然るべきだと思いましたね。
いや〜!ゾクゾクしたわ〜( ;´Д`A

2016年11月3日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザ/スクリーン2

※ 最近話題の、某◯カ◯ミ◯賞ノミネート作品が似ているとの情報が有ったのですが、、、真意は未見なので分かりません。

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松井の天井直撃ホームラン

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