劇場公開日 2016年8月27日

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「思う一念岩をも通す」リトル・ボーイ 小さなボクと戦争 ちな姉さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5思う一念岩をも通す

2016年11月20日
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鑑賞方法:映画館

第二次世界大戦中のアメリカ。
小柄で、「リトル・ボーイ」とからかわれている8歳のペッパーが主人公。
戦争に行った父親が帰ってくるように、祈りの力を強めようと、司祭にもらった行いのリストを実行しようとするが、司祭がペッパーのために書き足したのは、憎むべき敵「ジャップ」ハシモトに親切にせよというもので……。

日本人のハシモトが「ジャップ」「ニップ」と蔑まれ、広島への原爆投下が喝采を浴びる、日本人にはいろいろ辛いところもある映画ですが、観てよかったです。

ペッパーが、いい子過ぎず、でもお父さんっ子の健気な子で、可愛いんです。
お母さんも、愛情深くて、凛としていて、よかったなぁ。

何より、個人としてなら友達にもなれる人間同士が、属している国や勢力の違いで殺し合う、戦争というものの愚かさと恐ろしさを、この映画は教えてくれると思います。
原爆使用の是非を問う以前に、そもそも戦争なんかしたら、勝っても負けても不幸がたくさん生まれるのです。
わたしは長崎県人なので、子どもの頃から長崎原爆や空襲の話を聞いて育ちましたが、負けた日本だけが犠牲を払ったわけではないことを、改めて考える機会になりました。

思う一念岩をも通す、というけれど、反対方向の思いがぶつかりあったら、どちらかは通らないわけで。
宇多田ヒカルさんの、「みんなの願いは同時には叶わない」という歌詞を思い出しました。

何はともあれ、健気なペッパーが可愛いので、観て損はないですよ。
あと、ハシモト役とサムライ役の二人には、今後注目しておきたいと思います。

ちな姉