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◆キングコング 髑髏島の巨神

コングの勇姿と敵モンスターとの死闘が、怪獣映画の本質とは何かを教えてくれる。
  ジョン・ギラーミン監督がリメイクした「キングコング」(76)の何が最悪かって、1933年のオリジナル版から恐竜を取り除き、同作の醍醐味であるモンスターバトルを縮小したところにある(くたびれた大蛇しか出てこない)。その反省を踏まえ、独自ストーリーによる続編「キングコング2」(86)では軍隊を相手にコングに大暴れをさせ、ささやかに汚名をはらった。

  そんな「リメイクからの独自ストーリー」という前例があるので、ピーター・ジャクソン監督の「キング・コング」(05)に次ぐ「キングコング 髑髏島の巨神」という流れは、コング映画の伝統を踏襲した形になるのだろう。私的にはジャクソン版に不満はないものの、33年版への愛が187分という形で現れた、ジャンルの適正を欠く長尺に異論はあるし、古典に従属的ゆえ恐竜をわんさか出してはいるけれど、猿にもゴリラにも似て非なるコングの個性に比べ、恐竜は恐竜の域を出ず、豊かな怪獣文化に浴してきた我々日本人には刺激が足りない。

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  しかし「髑髏島の巨神」には独自の進化を遂げた、まさに怪獣と呼ぶにふさわしい異貌のモンスターが次々と登場する。特に島の生態系の頂点に立つスカル・クローラーは、ドクロのごとき擬態模様の生理的な気色悪さで、額に「肉」とマーキングしたキン肉マン級に自己主張が激しく、とても仲良しにはなれない。そんな異形の怪物が敵意を剥き出しにして、巨大にサイズアップしたコングとの激しい肉弾戦を繰り広げる。このへん、レジェンダリーが以後に予定しているモンスターバースの布石でもあるが、まずは単体の怪獣映画として存分に楽しめるのだ。

  いっぽうのコングも、UH-1戦闘ヘリの編隊が奇襲攻撃をかける、ベトナム戦争映画の名作「地獄の黙示録」(79)のビジュアルを拝借し、その登場のハッタリ具合は絶大だ。この時代がかったミクスチャー感覚は、32歳の若さで'70sオールドスクールな映画を好むジョーダン・ボート=ロバーツ監督の趣向でもあり、なによりこうした歴史的なアクチュアル・イベントとの融合が、生物学上まさかの世界に硬質なリアリティをもたらしている。と同時に「ベトナム戦争だと思った? 怪獣映画だよ~ん」という、真面目な顔してヨタを飛ばすギャップの妙味がそこには充ち満ちているのだ。これぞ娯楽のあるべき姿。「シン・ゴジラ」にやたらと衒学めいた解釈を求める輩は、怪獣映画の本質をこの作品で知るだろう。

(尾崎一男)


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