ハドソン川の奇跡のレビュー・感想・評価
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アウトサイダー的視点、ここでも健在
前作に続いて英雄と呼ばれた男の心理面を映像に刻んだイーストウッド。96分という上映時間は彼の監督作として最短である。とはいえ、終わりなき地獄を描いた前作とは全く違ったやり方で、今回は一瞬の閃光をあまりに鮮やかな手腕で捉えてみせる。そこには英雄礼賛を持ち出すのではなく、イーストウッドならではのアウトサイダーとしての視点が絶妙な具合に浮かび上がってくる。
“サリー”が闘う相手は調査委員会ではない。最終的に対峙すべきは自分自身であること、自分の中にこそ答えがあることを彼は十分に知っている。映画のかなりの部分を割いて繰り返される飛行シーンで、彼は自分が間違っていなかったか、他に何か方法はなかったのか寝ても覚めても検証し続ける。決して自己弁護に陥らず、自らに対してもアウトサイダー的視点で引き金を引き、答えを求めようとするその姿にこそ、イーストウッド作品の主役に通底する戦い方、孤高の生き方がある。
達人ならではの一筆書き
「過不足なく」というのはこの映画のことを言うのだろう。物語の核はコレだと見極め、余計なものに目をくれず一直線にゴールを見据えて作る。やりたいこと伝えたいことが明確で迷いがない。達人イーストウッドならではのみごとな作品だと思う。
ただ「なすべきときになすべきことを成した人々の矜持」という美談以上の膨らみが感じられない、と言うとワガママだろうか。
さすがですと感心しつつも、ムダな脇道や得体の知れないこだわりが漏れ出た映画の方が記憶や心に残ったりする。物語も演技も演出も立派なだがなにか物足りない。そんな贅沢な葛藤を呼び起こす時間でもあった。
いや、同じ事件に着想を得て、本当にどうしようもない男のどうしようもなさを突き付けるフィクション『フライト』の方が好みというだけかも知れません。96分でこれだけの作品が観られるのだから絶対に損はないと思いますが、こんな感想もあるということで。
助かって良かった
2009年1月、NY。
鳥の大群であんなに簡単にエンジンが壊れて
しまうなら、その予防手段に必死に取り組む
必要があるのでは、と感じた。
機長と副機長の冷静沈着な判断によって、
機体トラブルの為、ハドソン河に不時着しつつも
乗客乗員155名全員の命が助かった、という
タイトル通り奇跡のような実話、を元にした
作品。
初めは、全員助けて英雄だー、と持て囃しつつ
時間が経てば、
最寄りの飛行場の滑走路に着陸できた筈だ、
1月の冷たい川に着水して落ちて溺れたり、
寒さ冷たさによる低体温症で命の危険があったり、命のことを考えなかったのか、と。
手のひら返しのように叩いて来て、
事故調査委員会とかで、調べていくとか。
コンピューターによるシュミレーションでは
最初二つの飛行場に着陸成功。
ここで機長たちが物申す。
検討タイム35秒いる。その時間をプラスして、
再度シュミレーション、
二つとも、着陸不可能やぶつかって失敗。
いかに瞬時の判断が素晴らしく、
技能面も申し分なかったか。
機長が脱出誘導の指揮を執り、最後の一人が
機内に残っていないかとしつこく点検して
最後に機体を離れる姿には尊敬するばかり。
また、沿岸警備隊やさまざまな機関が、
時間ロスを無くし急いで、
船やヘリコプターで駆けつける様子も感動。
連絡入って24分で全員救助❗️素晴らしい❗️
ただ、乗客の身になって考えると、普通に、
目的地に着いて当たり前であり、
つくづく飛行機には乗りたくないな、と。
しかし、本事件の9年前、恐ろしい出来事が
起こり、あの際の乗客乗員の気持ちや
ビルで働いていた人々や救助の人々を考えると
尊い命がなんてもったいないことかとも。
改めて考えさせられた。
トム•ハンクスさん、エンドロールに出て来られた機長ご本人によく似ておられた。
安心の名演技。
トム・ハンクスの熱演が凄い!
BSで録画視聴。
実際にあった出来事だったが、リアル感
満載だった。
国家運輸安全委員会の聴取シーンの緊迫感は
凄かった。
トム・ハンクスの熱演だけが目立った作品。
イーストウッドの偉業
全てが完璧な映画。監督、俳優人とも緊迫感あり。
イーストうの作品でも群を抜いている。トムハンクス、アーロンエッカートの息のあったコンビは心地よい。
史実を映画にする難しさも超えてこの映画は完璧。
映画館で見たけど、実際に墜落するとこはIMAX効果もあり、まるで飛行機に乗ってる様な臨場感になり、それは凄まじく、圧倒された。映像が実にリアルで映画って最高。
ラストに感動が待ってる。
職人気質の機長の真実
今回も史実に基づき映像化したクリント・イーストウッド作は生死が直結する飛行機事故を題材にして終始緊張感漂う演出はとにかく癖になり定期的に配信でも視聴するほど。
155人の命を預かるとはどれほどの覚悟がいるものなのか、職人としての技術に唸ります。
時系列は特に問題なく前後しても違和感ないものだった。トム・ハンクスの演技はやはり好きだ。
プロの仕事にただただ頭が下がる。
先日の海保機衝突事故の映像でも、日航機の機長は最後の最後に脱出していた。
自分なら我先に逃げ出してしまうかも。
トム・ハンクスが若い頃の映画しか観ていなかったので、まさかこんなに年をとっているとは思わず。
あれ、これトム・ハンクス?いや違うかな?やっぱりトム・ハンクス??と思いながら観ていたらやっぱりトム・ハンクスだった。
事後話は知らなかった
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いわゆる「ハドソン川の奇跡」で乗客を救った英雄の機長。
しかし左エンジンは動いていて、空港に帰還できたはずとの疑惑がかかる。
公聴委員会が設置され副機長と共に調査され、シミュレーション実施。
それにより十分に空港帰還できたという結果が出た。
しかしシミュではトラブル後即座に空港に向かっている点を機長が指摘。
実際には判断までに35秒くらいかかったはずで、それを考慮すると失敗した。
さらに左エンジンが発見され、動いていなかったことも証明された。
こうして機長はやっぱり英雄だったと判明。
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劇場で見たわ。いい映画なのに、観客少なかった。平日昼だったからか?
この事件は知ってたけど、後日こんなモメ方していたとは知らなかった。
それに映画用に多少誇張してんだろうけど、公聴委員会のお粗末ぶりがひどい。
何故そんなんで機長らが疑いかけられなアカンねん(場)
しかしトムハンクスはお爺ちゃんの役も違和感なかったなあ。
最初は別人と思ったけど、途中からトムハンクスに見えて来て、
キャスト見たらやっぱりそうやったんで笑ったわ。
不時着水だ
当時、映画館で観ました🎬
イーストウッド監督、トム・ハンクス主演で送る実際にあった航空機事故を元にした作品ですね。
サリー機長を演じたトム・ハンクスの抑えた演技が光ります。
たった208秒の決断で、乗客全員を救ったはずの機長へ、事故調査委員会から疑惑の目を向けられる‥その苦悩が表情にしっかり現れてました。
ジェフを演じたアーロン・エッカートも、サリーと共に事故を乗り切った絆で結ばれている感じがよく出てました。
イーストウッド監督らしいシリアスな作品で、その方面が好きな方にはおすすめですね😀
薄味の演出はさすがのイーストウッド節
原題の「SALLY」からすると、出来事を追っかけて、「奇跡」として再現することよりも、サレンバーガー機長の人となりに光を当てたかったのだろう。
もし、自分が乗っていたとしたなら彼のことを英雄視できたかどうか、疑問なのですが、実際に、乗客たちは口をそろえて彼のおかげで「生きていられた」と言う。それだけ危機的な状況で、奇跡的に助かったんだということを、全員が分かっていたということだ。
編集の上手さもあって、最悪の結末を「悪夢」的に見せることによって、いかに奇跡的な英雄的な決断であったかがにじみ出てくる演出だ。
そして、ラストの長セリフはさすがのトム・ハンクス。見終わった後の爽快感につながる歯切れの良さだった。
余談ですけど、劇場パンフレットはなかなかの出来の良さで、ていねいなプロダクション・ノートに加え、クリント・イーストウッド監督作品の全解説付き。
彼の作風が、「よみがえり」「死者」「復讐」「旅」などをモチーフにしていることなどが簡潔に解説してある。
今作も、実在の人物を映画化しているので、余計な脚色は一切無い。
淡々としすぎていて、娯楽としては面白味に欠けるものの、彼が成し遂げたことがいかにすごいことかが伝わった。イーストウッドはまだ現役。
2016.9.28
クリント・イーストウッド監督の上手さは人間を描けるところにある。
邦題に「奇跡」と付くが、原題は機長の名前「SULLY:サリー」
奇跡の物語と思って観ると監督の意図する方向を見失う。
2009年の事故を2016年には映画館で観ていた。
結果は分かっていたが、椅子に座る体は硬直していた。
155名、全員の命を守ったという事実に魔法は無い。
やるべき仕事をやり遂げた人と人達の物語があった。
映画館で観て、ビデオで観て、
やはり、これは「奇跡」の物語では無い
「人間の物語」だ、と再確信した。
※
サリー
2023年2月11日
映画 #ハドソン川の奇跡 (2016年)鑑賞
USエアウェイズ1549便不時着水事故の映画化
#クリント・イーストウッド 監督、#トム・ハンクス 主演
乗客・乗員全員が無事に生還したことから、映画「34丁目の奇跡」に因んで「ハドソン川の奇跡」(Miracle on the Hudson) と呼ばれたそうです
仕事に正解はない。
自分の判断は正しかったのか、葛藤する登場人物の緊張感が伝わり手に汗握る。もし一人でも犠牲者が出ていたら、それでも機長は英雄と呼ばれたのだろうか?人間の温かさと狡さの対比が面白い。
奇跡と呼ばれた賞賛すべき判断と技能。
バードストライク(鳥との衝突)によりハドソン川に不時着水した旅客機の実際の事故を、イーストウッドが映画化したもの。
正確には「USエアウェイズ1549便不時着水事故」。
映画の主人公は機長のサレンバーガー。
航空事故でありながら、大事故に繋がらなかった数少ないケースとして、化学事故事例集にも載るほど有名な事故です。
離陸直後のバードストライクで両エンジン停止、フライト経験の重厚なパイロットだからこその機転で大事故を防ぎ、航空安全のみならずいろんな業界に影響を与えた素晴らしい成果なのですが、その後の機長の人生は決して幸せではありませんでした。
空軍で戦闘機パイロットとなり、その後旅客機搭乗勤務のさいに役立てようと心理学を学んだ彼、チェズレイ・サレンバーガー氏は、この事故で英雄に祭り上げられました。
当人は「これは奇跡ではなく、自分は英雄などではない。ただ用意し、訓練していただけだ」とその評価を喜んではいませんでした。
事故の翌年には退職し、その後のことは映画のラストで語られております。
バイデン大統領によりICAO(国際民間航空機関)のアメリカ大使に任命され、その翌年には退官。
現在72歳の彼が、いまは安らかに過ごせていたのなら、それが一番の事故対応だと思えます。
パイロットの基本に忠実だったからこそ・・・
ラガーディア空港を離陸し、ハドソン川を左下に見ながら上昇姿勢に入ると、サリーとジェフは緊張がとけ雑談します。この間に、「もしここでもしトラブルが起こったら・・」とサリーは何度も考えたことがあるのでは・・と思います。
可能なら空港に引き返えすのは当然。それがだめなら? ハドソン川への不時着は? 上流から下流だから接水速度が落ちる。水面は穏やか。橋と橋の間の距離は、コースは・・。
高度と距離の感覚も染み込んでいるはずです。
調査官から、どうやってハドソン川への不時着を判断したのか?と訊かれ、サリーは"by my eyeball"(字幕は「私の感覚で」?)と答えると冷笑されます。
amazonでは映画の最後(おまけ)で若い頃、小型機で旅行しようというと怖がる奥さんに、あらゆる事態を想定しているから大丈夫、とサリーが言います。
またサリーは余暇にグライダーを楽しみます。グライダーの飛行は毎回、「今、この高度で戻れるか」を"my eyeball"でチェックし続けます。高度計は低高度ではあてにしません。
両エンジンが停止したとき、空港に戻る指示をする管制官に、サリーは「ハドソン川に降りる」と伝えますが、155人の命を背負った重圧のなか、1分足らずの間にハドソン川へと判断したのは、やはり頭の中にイメージがあったからではないかと思うのです。
あの「奇跡」は常にイマージェンシーを想定して飛ぶ、というパイロットの基本をサリーが忠実に守ってきたからこそ起こり得たのではないか。この映画の一番のテーマはやはりサリーの真のプロフェッショナルさだと思います。
冷静で誠実な機長、迫真に迫る演技のトム・ハンクスがすごかったし、ク...
冷静で誠実な機長、迫真に迫る演技のトム・ハンクスがすごかったし、クリント・イーストウッドの描き方は淡々としているけど、終始緊迫感があり、さすがだなという感じだった。
様々なタイミングと機長の膨大な経験とが起こした奇跡。じんわりと来る感動があった。
それまでの緊迫感がラストのちょっと緩まった感じがまたほっとして良かったなぁ。
生贄社会の構造と奥深い闇。夫Sallyの物語。
内容は、2009年1月15日にアメリカ合衆国🇺🇸で起きた航空機事故によりハドソン川に不時着を余儀無くされた1人のパイロットと事故に関係する人々の物語。好きな言葉は、『ロリィ。愛してる。』(字幕は違う)冒頭のビルに激突する夢を見て何度も自分の行動に煩悶する所で苦悩と葛藤と心ここに在らずという立場が上手く表現されていたなぁと感じました。好きなシーンはやはり、最後の最後まで乗客の安全を確認する所と執拗に心配する所が良かったです。大きな事件や事故には、必ずと言って良いほど二次災害や三次災害がついて回ります。こちらの問題の方が酷く陰惨になる為報道されない事の方が多いのです。人工国家であるアメリカ合衆国だからこその問題が浮き彫りになって短い時間に、よく纏めたなぁと感心します。注目され過ぎて戸惑ってしまう心境や心労が自分の事の様に伝わってきました。機長🧑✈️の判断と行動は素晴らしかったですが、人物や人柄まで良い人だとのすり替えは落とし穴。その問題の異常性を誰もが気が付かない事の方が深い問題で、それを分かっていたのが主人公Sallyだったのかもしれません。正しいモノが必ず認められるのではないといつも以上に感じました。今回は、Amazonプライム・ビデオで鑑賞しましたが、最後のおまけで補足映像作品が非常に面白かった。簡単なSallyの経歴や家族や周りの人達との見方が収録されていてドキュメンタリー感が増し増しで非常に楽しかったです。アメリカ合衆国社会の光と影を覗かせ色んな見方が出来る素晴らしい映画でした。終わり方も複雑で分かりやすく素晴らしい。それにしても、1月のハドソン川は寒そうです。ホント色んな意味で奇跡です。
映画を通して偉業をクールに再検証するイーストウッド監督
クリント・イーストウッド監督による2017年製作の米国映画。
原題Sully、配給ワーナー・ブラザース映画。
トム・ハンクスによる抑えに抑えた演技とイーストウッド監督による英雄視しないクールな演出で造形された機長というプロフェッショナル像が、物凄くカッコ良くて、拍手!
実在のサレンバーガー機長の準備を重視し、頻回チェックを怠らない用意周到さを、きめ細やかに表現した脚本も秀逸に思えた。やはりというべきか、プロ中のプロは、基本的な細かい部分の積み重ねを長期間行なっており、事故ケース研究や事故調査も行なっていたらしく、成程と納得させられる。そして、軍隊時代の緊急着陸の成功経験の映像の挿入。自分はあの経験があったがために、判断を誤りハドソン川に降りたのか?機長の自問自答が説明無しで映像的に示されて、実に上手い。
機長の判断が適切であったか、それを検証するコンピューター・シュミレーションも利用した国家運輸安全委員会の規模と参加人数の多さにはとても驚かされた。当初、他パイロットによる模擬操縦も含めて安全に空港に戻れたとの結果であったが、人間なら仕方がないロス時間35秒も考慮すると、どのパイロットによっても安全に空港には戻れなかった。
機長糾弾の委員会の姿勢は事実とは異なるらしいが、この検証の流れは事実らしい。大変に映画的な展開であると共に、上手くいったものを結果オーライとせず、敢えて再度科学的に検証しようとする姿勢に大いなる敬意を覚えた。これがあったからこそ、エンジンを完全喪失の旅客機をハドソン川に不時着させた機長の凄さが、より明確になったところがある。
委員会の描写の丁寧さと事実改変を考えると、監督らは、この映画を通して、安易な英雄視は、逆の悪玉扱いも含め厳禁で、この様な検証過程こそを、大切にしていかなければならないと訴えている気もした。それこそが、クリント・イーストウッド監督が、最近ずっと映画製作を通して行ってきていることだから。
蛇足だが、この映画のタイトルで『・・・の奇跡』という邦題をつけた人間の品性や知性を疑ってしまった。クリント・イーストウッドをはじめ製作者は多分、英雄とか奇跡で安易に終わらせてはいけないと考え、この映画を作っただろうに。映画製作の意図をあまりに踏み躙っていて、悲しくなってしまった。作り手のプロ達に最低限の敬意は持つべきと思った。
製作クリント・イーストウッド、フランク・マーシャル、アリン・スチュワート、ティム・ムーア、製作総指揮キップ・ネルソン、ブルース・バーマン。
原作チェズレイ・サレンバーガー、ジェフリー・ザスロー、脚本トッド・コマーニキ(博士と狂人等)。
撮影トム・スターン(MEG ザ・モンスター等)、美術ジェームズ・J・ムラカミ、衣装デボラ・ホッパー、編集ブル・マーレイ、音楽クリスチャン・ジェイコブ、ザ・ティアニー・サットン・バンド。
出演はトム・ハンクス、アーロン・エッカート(「ダークナイト」で検事ハービー・デント)、ローラ・リニー、クリス・バウアー、マイク・オマリー、アンナ・ガン、ジェイミー・シェリダン。
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