劇場公開日 2017年7月7日

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ジョン・ウィック チャプター2 : 映画評論・批評

2017年7月4日更新

2017年7月7日よりTOHOシネマズみゆき座ほかにてロードショー

誇り高き"ぼっち"ここにあり。ロケーションやファッションもさらにアップデート

愛犬のビーグル犬"デイジー"の仇を討つために締めて84人を天国に送ったジョン・ウィック。「犬のためかよ!?」とのツッコミもなんのその、作られるべくして作られた待望の続編でも、前作のラストで連れ帰った2代目のペット、ピットブル(名前はまだない)を相棒に、伝説の殺し屋が再起動する。

"ガン・フー"に続いて繰り出される車を武器として扱う人呼んで"カー・フー"では、鋼鉄の車体を自らの肉体の如く巧みに操り、時には車に激突を食らっても事も無げに立ち上がる。ナイフと格闘技を合わせた"ナイ・フー"では、鉄拳と共に刃先が相手の内臓を抉り出す。白眉は、古都ローマの石階段を上から下まで数十段、殺し屋と絡み合いながらの階段落ちシーン。公には、キアヌ・リーヴス本人が95%を演じているとされるスタントシーンの中でも圧巻の場面だ。その間、観客は心地よい疲労感をキアヌと共有していることに気づくはず。不死身の設定とは言え、今なお青年の風貌をキープし続けるキアヌ・リーヴスならではの体感効果だ。

殺しの依頼を断ったが為にロング・アイランドの自宅を爆破されたジョンが、依頼主のイタリアン・マフィア、サンティーノに復讐するため、ニューヨークからローマ、再びニューヨークとロードする続編は、ロケーション・ムービーとしての旨味もたっぷり。5番街に隣接するロックフェラーセンター屋上のカフェから眺める向かいのサックスフィフスアベニュー、ジョンの目線の先に悠然とそびえ立つローマのランドマーク、ヴィットリオ・エマヌエレ公会堂等、旅好きの目にも新鮮なアングルには、ロケハンにも神経を注いだ跡が見て取れる。

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ジョンがマフィアの総本山に攻め入る前に、組織の"ガンセラー"を訪れ、"ガンソムリエ"の薦めに従って拳銃をテイスティングした後、テーラーに移動してオーダーするのは、勿論、ファンシーなイタリアン・スーツだ。しかし、そこはさすがに闇社会。ジョンがテーラーに念を押す実践仕様の裏地とは、あくまでスーツのラインを崩さない薄手の防弾チョッキを意味していた。

アクションのスタイルやガジェットの類いは勿論、ロケーションやファッションもさらにアップデートされ、もはやシリーズ化は不可避となった「ジョン・ウィック」。それが新たな「マトリックス」になるのかどうかは分からない。しかし、人気コミックの映画化や既存作のリメイクではなく、勝手知ったる仲間たちと腹を割ってアイディアを出し合い、絞り出した100%オリジナル作品によるアクションシーンへのカムバックは、ハリウッドの主流とは距離を置くキアヌ・リーヴスだからこそなし得たこと。誇り高き"ぼっち"ここにありなのだ。

清藤秀人

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