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◆アズミ・ハルコは行方不明

こんな蒼井優が見たかった! すべての女性に発破をかける痛快作
  27歳の安曇春子は地方都市で実家住まい。祖母の介護で母が抱えるストレスが充満した家は居心地が悪い。手取りで13万円しかもらえない職場では、社長と専務のセクハラ&モラハラが常態化している。趣味も目標も特にない。この生活から抜け出すために結婚しようにも恋人はいない。人生を覆い尽くすこの停滞感を、ホームセンターへ向かう車のハンドルさばき、タバコを吸うときの視線の動かし方、セクハラ発言へのリアクション、コンビニでバイトする同級生への強気な声色などで、蒼井優がパーフェクトに表現している。

  春子はある日突然行方をくらます。その理由を、様々な世代の女性キャラクターたちを通して観客に想像させるところに、本作の面白さがある。1人は、頭が悪いヤリマンの、20歳の愛菜(高畑充希)。そして、男に無差別で集団暴行を加える無敵の女子高生集団は、春子の怒りの代弁者であり、春子が失ってしまった全能感や無敵感の象徴だ。この他、シンデレラ役のドレスを着てご満悦の社長の娘、春子の職場の"嫁き遅れ"こと37歳の吉澤さん、そして春子の母と祖母たちは、男社会における女性の抑圧された役割を体現している。

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  監督は「私たちのハァハァ」で、ロードムービーのなかに女子高校生4人の青春の一瞬を鮮烈に映し出した松居大悟。今回は、山内マリコの同名小説を原作に、ある土地に固定された様々な世代の女性たちのエピソードを、時系列を崩して入れ替え再構成し、ある女性像を創出した。その女性像の首から上を"アズミハルコの行方を探す張り紙"にすげ替えることで抽象化し、環ロイの浮遊感のあるトラックと、ひらのりょうの劇中アニメーションと組み合わせることで、ともすると"地方・女の残酷物語"になりうる題材を、ポップかつ軽やか、そして広がりと希望のある作品に仕立て上げた。

  なにはさておき、蒼井優の単独主演作が2008年の「百万円と苦虫女」以来とは! ラストの表情を筆頭に、「こんな蒼井優が見たかった!」と快哉を叫びたくなる本作は、すべての女性に「海くらい自分の力で行けよ」と発破をかける痛快作だ。その一翼を担う、太賀石崎ひゅーい国広富之らが演じる男性キャラの見事なクソ野郎具合にも拍手を贈りたい。

(須永貴子)


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