時代劇は死なず ちゃんばら美学考のレビュー・感想・評価
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時代劇の真髄…ちゃんばらよ永遠なれ!
DVDで鑑賞。
中島貞夫監督17年ぶりの映画作品。日本映画・ドラマ固有のジャンル―時代劇の歴史を紐解きながら、“ちゃんばら”についての俳優や殺陣師、評論家へのインタビューを交え、その真髄に迫ったドキュメンタリー。
子供の頃から時代劇が大好きです。昼間の再放送やゴールデンタイムの本放送を、祖父母と一緒に観ていたことがきっかけです。必殺シリーズや「暴れん坊将軍」、「遠山の金さん」、「桃太郎侍」、「伝七捕物帖」、「長七郎江戸日記」、「銭形平次」などに触れ、その魅力の虜となりました。
子供にも解り易い勧善懲悪、テンポ良く進んでいくストーリーの面白さ、クライマックスで繰り広げられるちゃんばらのカッコ良さ…夢中になって観ていたことを覚えています。映画好きなのも高じて、昔の時代劇映画も観るようになりましたし、中島監督がKBS京都でやっておられた映画番組「中島貞夫の邦画指定席」も毎週楽しみにしていました。
ですが最近では、映画からもドラマからも、時代劇は殆ど姿を消してしまいました。民放では全くと言っていいほど時代劇ドラマを放送しなくなりました。NHKや時代劇専門チャンネルはコンスタントに新作を製作していますが、映画となっては年に1、2本大作があればいい方だし、個人的には全くもって寂しい状況だと言わざるを得ません…。
そんな時代劇の灯を絶やすまいと、時代劇の持つ魅力、ちゃんばらの素晴らしさを後世に伝えようと試みた本作は、良質なドキュメンタリーであるだけでなく、時代劇への愛に溢れた人たちの魂が刻まれた碑のようで、とても感動しました。
流れるような太刀捌き、華麗な立ち居振る舞い、斬る者斬られる者の矜持と美学、静と動のメリハリ、そこへ至るまでの情感たっぷりな物語、演出者と演者のセンス…全ての要素がシンクロすることで、初めて成立するものがちゃんばら…。まさに伝統芸能の世界。文化遺産だなと思いました。
ちゃんばらには、日本人の魂の根底にあるものに確実に訴え掛けて来る、誠の美しさがある…。
本年最高の映画のひとつ
甘ったるい感傷的ノスタルジーなどでは決してなく、フッテージ引用と専門家たちへのインタビューによって時代劇の本質を掬い上げ、現代に蘇らせんとする考察。そのことは、最後に監督本人による、ちゃんばら短編が挿入されることからも明らか。
掟破りな切り返しショットも含め、語りの軽やかさと歴史の重厚さとの幸福な同居。専門家らが時代劇を語るシーンは、熱も相まってまるで歌のようにも聴こえてくる。"斬られ役がいて殺陣は決まる"との言葉に撮影所時代のプロフェッショナリズムを感じる。最終盤のちゃんばらシーンは福本清三の存在が圧巻。
映画と殺陣を本気で考えてる作品
時代劇、日本の映画のはじまりとこれから、日本人、戦争、、中島監督の言葉がよく理解できました。
戦後、GHQがちゃんばら映画製作を禁止した理由の解釈とか(たしかにそうかもな)って思えて泣けちゃった
立ち回り、という文化
例えば、萬屋錦之介、近衛十四郎、市川雷蔵、大川橋蔵等々、それぞれの殺陣の違いや表現力についての比較が面白い。
ちゃんばら、は、日本特有のコミニュケーション力という説も、なるほど〜、と思えて、目からウロコ。
この平成の時代に、あえて時代劇を撮るカントク方には、ぜひともこれを観て認識を新たにしていただきたい。
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