エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方 : 映画評論・批評

2017年2月28日更新

2017年3月4日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほかにてロードショー

エイミー・シューマーの魅力全開!「恋愛あるある」満載のアメリカン・コメディ

女の本音をリアルに描くコメディに、またひとつ新たな快作が加わった。なにしろ脚本・主演は、今をときめく人気コメディエンヌのエイミー・シューマー。監督はジャド・アパトーという顔合わせである。アメリカン・コメディ好きなら迷わず飛びつくタッグとはいえ、日本での知名度はまだまだなのがネックだが、これを観ればきっと彼女のファンになってしまうはず。

一夫一婦制を否定する父親の教えを受けて、気ままな関係を楽しんできたニューヨークの雑誌記者エイミーが、取材で出会ったスポーツドクターとの関係を通して、生き方を見つめ直す。女子ウケ確実のファッショナブルなニューヨーカーの王道ロマコメの設定だけれど、主人公たちは女子がときめく美男美女ではない。魅力はもちろんそのストーリー以上に、彼らが繰り広げる「あるある」満載の状況や絶妙なツッコミのかずかず。一夫一婦制を否定する父親が、子供時代のエイミー相手に繰り広げるたとえ話や、お泊まりしたくない本当の理由など、登場人物たちとのやりとりがSEXから職場や家族の話題にいたるまでいちいち笑えて、男女を問わずに共感せずにいられないあたりがお見事なのだ。しかも、下世話な笑いを通して、いつしか愛を描いて胸の奥も目頭も熱くさせてしまうイケてるアメリカン・コメディのお約束もきっちり。

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そんなエイミーのセンスが観客を虜にせずにいないことは、業界人気を反映するかのようにブリー・ラーソンティルダ・スウィントンらのオスカー女優をはじめ、スター俳優や有名選手が大勢出演し、驚くような役柄を楽しげに演じていることからもうかがえる。なかでも某美形俳優が演じるセルフパロディ混じりのキャラはケッサク。

それにしても、エイミー・シューマーのキュートなこと。どこかとぼけたルックスとあいまって、エイミーとビル・ヘイダー演じる真面目な恋人とのやりとりが醸し出す空気はひときわ魅力的。体を張ったクライマックスにいたっては、思い出すたびに声を上げて笑ってしまうと同時に、彼女への愛おしさを抱かずにいられない。エイミー世代の女子たちには声を大にして言いたい。イケメンが出てないからと食わず嫌いしちゃ駄目よ、と。

杉谷伸子

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