毛皮のヴィーナス

劇場公開日:

毛皮のヴィーナス

解説

その名が「マゾヒズム」の語源にもなったことで知られる、19世紀オーストリアの小説家レオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホの自伝的小説「毛皮を着たヴィーナス」をもとにした戯曲を、「戦場のピアニスト」「おとなのけんか」の鬼才ロマン・ポランスキー監督が映画化。自信家で傲慢な演出家のトマは、オーディションに遅刻してきた無名の女優ワンダに押し切られ、渋々彼女の演技を見ることになる。がさつで厚かましく、知性の欠片も感じさせないワンダだったが、演技を始めてみると、役への理解もセリフも完璧だった。最初はワンダを見下していたトマも次第にひきつけられ、やがて2人の立場は逆転。トマはワンダに支配されることに酔いしれていく。ポランスキー監督の妻でもある女優エマニュエル・セニエがワンダ役を務め、トマ役には「潜水服は蝶の夢を見る」のマチュー・アマルリックが扮した。

2013年製作/96分/G/フランス・ポーランド合作
原題:La Venus a la fourrure
配給:ショウゲート
劇場公開日:2014年12月20日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第66回 カンヌ国際映画祭(2013年)

出品

コンペティション部門
出品作品 ロマン・ポランスキー
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映画評論

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(C)2013 R.P. PRODUCTIONS - MONOLITH FILMS

映画レビュー

3.0少し疲れた。トマ役がすばらしかった。

2024年2月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

オーディションという場はワクワクする。また劇をしながら予期せぬことがおきる、というのも。
テーマがマゾヒズムとうことであれなのだが、楽しんで観ているうちに、それなりに勉強になる。
原作やブロードウェイの作品の方に沿っているのだろうか。

ここでは、トマ役のマチュー・アマルリックの演技がとてもよかった!
言葉の言い方、目の輝き、そして膚の緊張感みたいなものなど、全体から伝わるものが凄くて、楽に吸い込まれていくことができた。

残念だったのはワンダ役。監督の奥さんらしいけれど。
濃いキャラで迫力がある。それはいいのだけど、全体的にうるさく感じた。
特に、彼女は時々二人の演技中に個人的見解を挟むが、(それはおもしろい点でもあるのでよいが)無神経な切り方でブチッと切るので、二人の演技に陶酔中にそれをやられ、その段差でイラッとする。同じことを言うにも、わずかな間を取ったり、感情の入れ方、声のトーンなどで、もっと受け入れてもらいやすくできると思う。
ずっと二人だけの会話で構成され、観る方はそれに付き合う映画だ。あのような迫力を全面的に感じさせられると、飽きるし疲れるのだと思う。
トマ役がよくなければ最後まで観るのはきつかったかもしれない。

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あま・おと

3.5【”苦しみと恥辱が徐々に快感に・・。”「毛皮のヴィーナス」をこっそり読んだ事のある人には、面白くも妖艶な、吃驚二人演劇である。】

2022年6月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

難しい

■自ら脚本を書いた「毛皮のヴィーナス」の舞台の”ワンダ”のオーディションが不発に終わり、ひとり会場で頭を抱えている舞台演出家のトマ(マチュー・アマレリック)。
 そこへ無名の女優・ワンダ(エマニュエル・セニエ:因みにご存じの通り、「毛皮のヴィーナス」の美しき未亡人の名も”ワンダ””ですね。)が現れ、今からオーディションをやってほしいと厚かましく彼に迫る。
 渋々彼女の相手役を務めるトマだったが、意外にもワンダは、脚本を殆ど見ずに”ワンダ”の演技を魅力的に演じていく。
 その姿に、憑りつかれたようになっていく、トマ・・。

◆感想<Caution! 内容に触れています。>

・”ワンダ”を演じるエマニュエル・セニエが、背徳的な衣装を纏いつつ、トマが理想とする”ワンダ”を演じる様。そして、トマを”セヴェリーン”のように扱っていく。
 ”貴方を一年間、奴隷とする。”
 ”鞭で打たれたい?”
 - ヴェルベット・アンダーグラウンドの”Venus in Furs"が、頭の中を流れる・・。
   ”Shiny shiny shiny boots of leather・・”-

・が、その後の観る側の予想を裏切る展開に、驚く。
 - 舞台を支配する筈のトマが、ワンダによって、徐々に思想支配されていく・・。-

<無名の女優・ワンダと、演出家のトマの立場が、徐々に逆転していく様が面白い。
 ロマン・ポランスキー監督、上手いなあ・・。>

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NOBU

4.0真夜中に「スズメだ」いや「夜鳴き鳥」

2021年7月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

難しい

初ポランスキー!
とある劇場で行われたオーディション。
演目はSMのM〈マゾ〉の語源となった作家マゾッホの小説『毛皮を着たヴィーナス』。
登場人物は女優ワンダと演出家トマ2人だけ、舞台も劇場内から動かないという異色の2人芝居。

はじめは、オーディションに遅刻してきた無名女優ワンダに対し優位だった傲慢なトマが、ワンダにより蔑まれ彼女の力に屈服していく。
芝居と現実が混同していく。どこからが芝居でどこからが現実なのか。
そもそも、やたらこの作品に詳しかったり、奥さんのことを知っていたり、役と名前が同じだったり、ワンダは一体何者なのか。
はじめは安っぽい女だったのが、貴婦人を通り越し痴女になる様子は恐ろしくも美しかった。
とにかく答えを出しにくい。
男性目線としてはトマの「最近は何でも社会問題にしたがる」というのに共感。
一方、ワンダは「この本は女性差別だ」と言い張る。
書いていたら、何言いたいのかわからなくなってきたので、これくらいにしておきます。

エンディングのヴィーナスたちの裸婦像は印象的。
その中でもトリはやはりミロのヴィーナス。
女という生き物を知るための映画でした。

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唐揚げ

2.5ポランスキーの願望

2019年8月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

怖い

知的

“マゾヒズム”の語源とされるドイツ人作家、レオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホ。
氏の背徳小説『毛皮を着たヴィーナス』にインスパイアされた、ロマン・ポランスキー監督作。

『毛皮を着たヴィーナス』の翻案舞台化の為、女優のオーディション中の脚本家で演出も手掛けるトマ。自信家で傲慢。
そのオーディションにワンダという無名の女優が遅れて現れるが、粗野で品性も知性も無い彼女にうんざり。
強引に押し切られ、渋々オーディション。すると、役も台詞も完璧に理解した彼女の演技に驚かされる。
オーディションを続ける内に、二人の立場に変化が…。

マチュー・アルマリックとエマニュエル・セニエの二人芝居。やり取り、熱演は見物。
『毛皮を着たヴィーナス』の映画化ではなく、それをモチーフにしたストーリー展開がユニーク。

相手を支配する側だったトマ。
そんな彼がワンダとのオーディション芝居を続ける内に、彼女の魅力に陶酔。支配する側から支配される側へ、今まで感じた事の無かった感覚に快楽を感じるようになる…。
一見、著名作家の名作小説を題材に、人の奥底の欲や本質を掘り下げ…と思えるが、
何で事の無い、SMに目覚めちゃった男のブラック・コメディ。

これは男にとって、願望か、恥辱か、戦慄か。
にしても、トマがポランスキー本人に見えて仕方なかった。

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近大
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