劇場版アイカツ！のレビュー・感想・評価

映画館にて、2回も観賞したが、非常によかった。星宮いちごのライブ成功の裏側やら、神崎美月を探しに奮闘する大空あかり。
何れをとっても宜しい内容と言える。

　ほとんどが良いと評価したい。
冒頭から尊い魅力を持ったアイドルたちが演じるダンス（SHINING LINE＊）。ここから興奮せずにはいられなかった。そのダンスのサプライズシーンではアイカツ！2ndシーズン最終話の逆パターンになっているのが興味深い。
　記者会見で「見に来てくださった皆さんが素敵な明日を迎えられますように」と述べたテーマにそって祭りを準備していく展開が良くてどんどん引き込まれていく。そのための新曲、ドレスを作るように頼み込む展開には自然に理解できる。祭りの会議は本当に楽しそうで湯水のごとく話題が膨れ上がりそうだ。あおいのどんなに忙しくても手伝いたいというようにアイドルみんなが大スター宮いちごまつりを成功させようという意気込みが伝わってくる。プロデューサー担当があおいでグッズ担当がおとめで振り付け担当がかえでとなってユリカの担当が経理だというのは驚いた。ユリカ、妙にオチ担当が多いな・・・。
　新曲（輝きのエチュード）では全くジャンルの異なる曲を「自分自身の恋愛」専門なシンガーソングライターの花音に頼み込むシーンがあるが、いちご・あおい・蘭のキレがいいダンスを見させて知ってもらうことにより花音をやる気にさせた。アイカツシステム（カードでドレスアップ）なしでの野外ダンスシーンは新鮮だ。さらに新曲のリテイク展開があり、大勢の観客たちのための曲だけど特に思いを伝えたい相手（この場合は美月）を対象に焦点を絞ることでテーマ性を濃くする花音の発想には素直に驚いた。
　ドレスの方ではいちごのためにドレスをデザインするのは光栄なことと言われるぐらいいちごが評価されていた。デザイナーの方から仕事を引き受けてくれるぐらいにいちごが素晴らしいアイドルだと分かる。
　美月の引退宣言でいちごの想いが揺れていく切ない展開・・・。いちごは美月を尊重していて彼女に憧れてアイドルになっていた感謝の想い（恋に近い？）があった。それを届けるためにライブで実行しようとするのに共感できる。しかし、美月は大スター宮いちごまつり当日ではその会場に来ていなかった。いちごの美月に対する想いのためにいちごの代わりに当事者で彼女に憧れているあかりが美月を捜しにいくのは当然の役目だと思う。いちごはあくまで美月がやりたいことを尊重するだろうし。
　美月は大スター宮いちごまつり当日でショッピング、フードバイキング、パンジージャンプなど年頃の女の子がやりたいような（？）ことを楽しむ姿があった。そう言えば彼女はずっとトップアイドルあり続けてアイドル界など日本中を引っ張り続けていたので普通の女の子の体験が足りなさそうだったし、長期間アイドルでトップを追いかけていくこともなかった。アイドル生活の物足りなさと重苦しさが美月には肌で感じとったのだろう。「いちごに追い越されたいの」と言っていちごにアイドル界を任せてもいいような発言をしたが、まさか美月がいちごにアイカツランキングで抜かれることを恐れていたのは予想外だった。美月にとっていちごは脅威のライバルだと実感していたのか。
　イケナイ刑事いちごまつりver.がイケナイ刑事とスワロウテイルとチョコポップ探偵とイケナイ警視総監がコラボレーションした豪華な内容で興奮した。これ担当のしおんには称賛を送りたい。ドリームアカデミー勢のまともな見所はこれだろう。ドリームアカデミーのマリアのファインプレイでアイカツ！カード（ドレス）がなかなか会場に届かないのでグダグダ引き伸ばしかねない事態をスパッと解決し、敵役スワロウテイルの逮捕に貢献できた。最後にユリカがいちごにカードを届けることをかっこよく決めて気持ち良く終わったのがいい。
　ライブシーンでは劇場版ならではの見下ろすような壮観なカメラワークがありリアルな臨場感がある。いちごのオーラは花が咲き誇るように全開なのもさすがである。ライブシーンが所々はしょっているが、曲に合わせて裏事情の展開（アイカツ！カードを受け取り運んでいくなど）を見せていく工夫があった。
　後輩で新人アイドルのあかりが美月に誘われて、りんごや瀬名に背中を押されてステージに向かっていく展開にはドキドキした。新人アイドルのあかりには確かに荷が重いけど期待と先輩アイドルのいちごへの憧れであかりは立ち上がった。
　最後は「いちごが主役のアイカツ！最終回」な展開だった。いちごのあかりに対するエールが印象強い。今までの集大成で満足しきった。
　エンディングスタッフロールのドット絵（SDキャラとステージ）が神かがっていた。まさにスーパーファミコン版アイカツ！があったらとしたらこれだろう。
　いちごと美月とあかりのそれぞれに対する想いが深く語られる話でバトンは受け継がれるというように世代交代がなされていく。いちごも美月もあかりに対して期待しているので胸が熱くなってきた。美月はあかりを苗字で「大空」と呼び捨てにしていたが、彼女はライバルになると見込んだアイドルを苗字で呼ぶ人だ（かつてはいちごを苗字で呼んでいた）。
　いちごの突飛な思いつきによるぶっ飛んだ題名の「大スター宮いちごまつり」。いちごが伝説になっていく素晴らしい話だった。アイカツ！3rdシーズンでは急に出番が少ない（皆無な）アイドルたちがきちんと登場するので今までのファンにも満足できそうだ。アイドルみんなお疲れ様！

本日2回目を鑑賞。
2回も足を運ぶほど素晴らしい内容です。
こんなにアニメ映画で震えたのは劇場版マクロスF以来だ。

タイトル通り、星宮いちごのストーリーの完結編に当たるお話。
1、2期の集大成であるため、まずこれらを見ておかないと話を理解できないだろう。
要するに、完全にファン向けの作品。
ガンダムで言う逆襲のシャアに当たる作品。
知識の浅い幼い女の子が観るにはハードルが高い作品であるというのは念頭に置いてほしい。

2期のラストはツウィングスとダブルエムの戦いが決着し、そのまま新主人公、大空あかりに引き継ぐ形で終わったが、その後日談的な話。
結論を言うと、主人公いちごがトップアイドルになるというかなりスケールのデカい後日談。
おなじみのキャラはもちろん、あんなキャラやこんなキャラまで出てくる。
まさしく「大スター宮いちご祭」、お祭り映画なのである。
だが、ただのお祭り映画ではない。

この映画で最も重要な内容。
それはいちごと、いちごの憧れの先輩、神崎美月との決着である。
最初は美月に憧れてアイドルを始めたいちごが、ついに美月を追い抜こうとしている。
さらに後輩のあかりが2人を客観的に見つめる。
そこにおけるいちごたちの葛藤が本当に泣ける。
アイカツのテーマとも言える「憧れ」と「成長」。
そのテーマの一つの結論が打ち出された作品である。

だからと言って、完全な作品ではない。
尺の関係だろうか、途中のライブシーンはカットされている。
この点は非常に不満だ。
それと、個人的には名曲「SHINING LINE」は最後まで取っておくべきだったと思う。
まさに本作のテーマとぴったりの曲なのに、まさか冒頭で使ってしまうとは。
「Let's アイカツ！」の後に舞台裏の全員が出てきて、復活STAR ANIS with ドリアカ&大空あかりみたいな感じで「SHINING LINE」を歌ってたら、間違いなく僕は号泣していた。
他のファンの人も、少なからずこのシチュエーションを望んでいただろう。

というのを、小さな子供が理解できるわけがない。
一緒に見た5歳の従姉妹は途中で飽きてモゾモゾしていた。
あまりにもテーマが重すぎるのだ。
本来2時間くらいの内容を、子供向けに無理やり90分にしたような印象を受けるが、それでも話の密度が高すぎて付いていけないのである。
可愛いキャラたちが楽しくアイドル活動する画を望む幼女たちからすると、完全に期待外れなのだ。
本作は間違いなく傑作であるが、子供向け映画としては完全に失敗である。

それでも、僕はファンとしてこの作品は傑作だと言い張る。
欲を言えば、円盤でライブシーンをノーカットにした完全版を収録して欲しいと思っているが、本レビューには関係のない話である。
いくつかの不満点を踏まえても十分傑作と言える映画だった。

大空あかりちゃんの今後の活躍に期待。