劇場公開日 2013年12月6日

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「強くおすすめします。」セッションズ nokkinokinokiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5強くおすすめします。

2014年1月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

上映前に仕入れた知識は、ここ“映画.com” に掲載されていた解説と、そこにある数枚のフォトギャラリーだけで、予告編も未見だった。

文庫本の裏表紙に掲載されている解説文と同様に、
映画紹介の解説文もどれほどの効果があるのだろうか。
けっして間違ったことを記載しているわけではないのだが、それはそうなのだが、
読後の印象や鑑賞後に味わうものを、どれほどに伝えることができているのだろうか?
そもそも、解説には感想を盛り込む必要があるとは言いきれないが、
それにしても、よい意味でも悪い意味でも、
その解説から受けた印象よりも遠く離れた地点へ結局は導かれていってしまうことが往々にして起こる。
ここの解説も、その内容は映画の中身とまったく齟齬はなかった。
さて、これを読んで劇場まで足を運ぶまでの予想では、
(障害者の性的欲求とどう向き合うか、というかなり扱いづらいことをテーマにした映画で、
R18+指定だからきわどいシーンも盛り込まれているわけか)
という程度のものだった。

ラストシーンがはじまるとともに、
自分の頬は濡れていった。
濡らすのはひとすじの涙ではとどまらず、
ひとすじが溢れくる涙のため決壊して、頬のほとんどの面積を占めていくのが肌に感じられた。
“感動”という言葉であらわしてしまうのはたやすいことだが、そうはさせたくない。
大学の文学部を卒業し、いまは詩人でありジャーナリストである主人公の語るなにげないひとこと、
そして彼が口に棒をくわえそれで懸命にタイプして起こした詩篇のいくつか。
それには、その感受性がすべてに伴っていることはもちろん、
幼少のころに発症してしまったポリオのためそれ以来寝たきりであること、
敬虔なカソリックであること、
幼少に喪ってしまった妹も罪深い自分が原因であるとさいなんでいること、
通常ならば施設に入所するのだがそうなると18歳くらいまでしか生存できないことを予期してあえて困難な自宅療養を選択して育ててくれた両親への感謝、
などがその背景に少しづつ、ときには大きく描きこまれているために
主人公と接するセラピスト、ヘルパー、神父、それぞれの感情をさりげなく、しかしたおやかにゆさぶっているのが画面から伝わってくる、
だから、観客の胸に響いてくる。
たしかに障害者の性を題材にしてはいるし、その描写もかなりを占めてはいる、
でも、それだけではとどまらない普遍的なものにまで表現しえているからこそ、
ぼくらの感情の琴線を一本づつ穏やかで柔和につまびいてくれる。

ここまで書いてきて、
この文章がどの程度までこの映画のことを伝え得ているのだろうか、
露ほどにもみたないとは自明であるけれど、
でも、可能なかぎり多くの方に見ていただければと思って、
そのかすかな一助になることを願って。

nokkinokinoki