蟻が空を飛ぶ日

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蟻が空を飛ぶ日

解説

自主製作映画「ダイヤモンドと月」で1992年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭を沸かせた野火明監督が、「シークレット ワルツ」(95)以来、およそ15年ぶりに発表した長編監督作。殺人の罪から逃れた者たちを集めて殺し屋にしたてあげる組織があり、東大生の健二も、表向きはごく普通の大学生として生活する一方、組織の一員としてアルバイトのように殺し屋の仕事をこなしていた。ある日、ベテラン暗殺者の大道寺をリーダーとする4人のチームでいつものように暗殺の仕事を進めていた健二だった、ターゲットの男が真紀という女に殺されてしまう。殺し屋として生きる男女の愛を描くバイオレンスラブストーリー。

2010年製作/116分/日本
配給:ワイルドファイア
劇場公開日:2013年3月9日

スタッフ・キャスト

監督
製作
野火明
脚本
野火明
撮影
野火明
録音
内田剛史
照明
大久保礼司
衣装
市野沢祐大
整音
臼井勝
音楽
Dub Master X
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フォトギャラリー

映画レビュー

4.5静と動と美と醜と善と悪と

2013年3月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

殺人組織を『会社』、殺人を『仕事』と言うだけあって、健二や大道寺達が行う殺しは、機械的で効率的。殺す側と殺される側、双方の負担をなるべく減らすよう、工夫や努力さえ見える。一方の真紀は、無計画ではないのだけれど、衝動的で破壊的。特に第二の殺人は、理由も方法もあまりに生々しく、見ているこちらも息苦しくなり、画面から目を逸らしてもなお、夢に出てきてしまいそう(・・;)
ただ、懲りすぎたカメラワークやアングル、加工などは無いため、映像そのものはとても見やすく、目が洗われるような美しいシーンも随所に有り。前述の『第二の殺人』が無ければ、もっといろんな人にオススメできるのに…と思う反面、こういう対比が、この作品の魅力でもあるのかな?という気もしなくもない(若干 弱気)
その両極端さは、登場人物にも当てはまる。酷薄で冷淡で利己的で過激、でも、時に一途で純粋で穏やかで、小さな生き物に優しさを見せる。それが不自然でなく、意外に感情移入しやすいキャラになっている。←軽く言うならツンデレにギャップ萌え、そしてグロかっこいい?
返り血を浴びた姿が凄絶に美しい、本能に忠実な真紀と、抑えているのか希薄なのか、あまり感情を出さず、痩躯に儚さすら漂わせる健二。『最初の殺人』の動機も含め、対照的な二人は、通常なら有り得ない出逢いと再会を果たす。二人の間に、ほんのり恋愛コメディ(は、実は全然観たことないけど ^^;)っぽい雰囲気も流れるが、人を殺してこその巡り合いと思うと、ゾッとする部分もある。
そんな二人は、『会社』からの指令により、とある人物をつけ狙う。自分は主に健二の目線で見ていたため、気づくと、ターゲットの隙を必死になって探していた。無意識に、「そいつを殺して生き残れ!」と思ってしまっていたらしい(苦笑)ターゲットに入れ込んで観ていた場合、「志村―っ!うしろーっ!」的な気持ちになったのかな(爆)
ともかく、健二や真紀の非道な振る舞いを目の当たりにして、それでも応援したくなるって、なかなか無いかも。
(人を殺した人間が)幸せになるのは罪ですか?
映画のチラシにあった問いに、自分は明確な答えを出すことができない。殺されたのが知人なら、あるいは悪人なら、等々、あらゆるケースを考えてしまうから。かわりに、この映画を観て抱いた問いを返してしまう。
あの人達が、他者の命を奪い続けたと知りながら…幸せになってほしい、と願ってしまったのは、罪ですか?

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HARAHARA

4.0人間のもっとも基本的な活動の一つ

2012年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

生きることへの本能を描いた作品である

この映画での殺しとは他者の命を奪い己の糧とする
人間のもっとも基本的な活動の一つである狩猟のことだ

それは多くの現代人が忘れているこの世界の原則、殺らなければ己が死ぬという単純な図式
だれもがその業からは逃れることができない

そして人は死が隣り合わせだと自覚すればするほど愛を欲し求める
生き延びて己の生きた痕跡を残すためには愛がなければならない
真実の愛にお互いが一緒にいた時間の長さなど関係がない
残酷さが万物を支配している掟ならそれに抗うことが生なのだ

現実にはハッピーエンドもバットエンドもない
終わらせることではなく続かせることそれが本能の本質

蟻が空を飛ぶ日とは、まやかしではなく生というものを真っ直ぐ描こうとした意欲作である

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daigo1192

5.0絵の作り方が上手い

2012年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

知的

色々と謎だらけのオープニングから展開の見えないストーリーが魅力。
低予算で撮影されたようだが、絵の作り方が上手く見やすい映画だった。

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