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◆セブン・サイコパス

人気劇作家が紡ぐ、血なまぐさくも狂おしいメタフィクション
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  脚本家に焦点をあてた映画は数多い。真っ先に思いつくのは「アダプテーション」や「ブロードウェイと銃弾」といったところか。そしてこのジャンルの常として、主人公はたいていアイデアに行き詰まっており、逆に周囲の友人たちの方がよっぽど豊かにストーリーを語っている。

  本作の主人公マーティも例外ではない。彼は目下、イカれた7人の殺人者を題材とした脚本を執筆中。でもまだ1人目のキャラさえ熟していない。と、ここで見かねた親友が勝手に「サイコな奴、大募集!」と広告を打ったことから、事態はおかしな方向へ振り切れていく。

  監督は劇作家でもあるマーティン・マクドナー。前作と同じコリン・ファレルを主演に迎え、その役名には当然監督自身の名前が投影されている。それゆえ血なまぐささに満ちた本作には、時おりリアルな作家の視点が垣間見られる。あたかもマクドナーがいつもそうやって作劇しているかのように、マーティは友人の助言を仰ぎつつ、現実とフィクションの波に揉まれながら徐々に"物語ること"の深淵に近づいていくのだ。

  とりわけ出色なのはクリストファー・ウォーケンが「こんな展開はどうだ?」と、ひとりの殺人者の逸話を壮大な物語へ昇華してみせるシーン。魂のこもったその語りは観る者の心を震わせ、畏敬の念すら引き起こす。これぞアイデアが羽根を拡げて大空へ飛び立った瞬間ではなかったか。

  そしてふと気づけば、死神のように佇むトム・ウェイツの姿。彼はマーティに「お前、何だか変わったな」と告げる。なるほど、確かに変わった。多くの経験を重ね、脚本家としての覚悟が備わったと言うべきか。その意味でも本作は、ひとりの書き手の成長を追体験できる、あまりにクレイジーなジェットコースター・ライドなのである。

(牛津厚信)


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