真夜中のパーティ

劇場公開日:

解説

オフ・ブロードウェイのヒット・ドラマの映画化。リアルなホモ・セクシュアルの世界を通して、男の孤独、疎外感、自己嫌悪の情を鋭く描く。製作・原作・脚本はマート・クロウリー、監督は新人ウィリアム・フリードキン、撮影はアーサー・J・オーニッツ、編集はジェリー・グリーンバーグが各々担当。出演は舞台の9人の男優を起用している。「屋根の上のバイオリン弾き」のレオナルド・フレイ、ケネス・ネルソン、クリフ・ゴーマン、フレデリック・コムズ、キース・プレンティス、ローレンス・ラッキンビル、ルーベン・グリーン、ピーター・ホワイト、ロバート・ラ・トゥールノウなど。

1970年製作/アメリカ
原題:The Boys in the Band
配給:東和
劇場公開日:1972年2月5日

ストーリー

ニューヨーク。今にも雨の降りそうな蒸し暑い夏のある日。マイケル(ケネス・ネルソン)は友達のハロルド(レオナルド・フレイ)のためにバースディ・パーティーを開くことになっていた。贈り物を買ってイースト・サイドのアパートに帰ったマイケルの部屋にドナルド(フレデリック・コムズ)が早々とやってきた。パーティーの時間が近づいてきた頃、マイケルの大学時代の友人アラン(ピーター・ホワイト)が不意に電話をかけてきた。かつてのアランと違って、深い悩みごとのありそうな様子だが、ホモ・パーティーの席に、ストレートなアランを呼ぶわけにはいかない。マイケルはうまく断った。次々と客がやってきた。ねっとりしたオネエ言葉を使うエモリー(クリフ・ゴーマン)、教師のハンク(ローレンス・ラッキンビル)、その恋人でファッション・カメラマンのラリー(キース・プレンティス)。そしてハンサムな黒人のバーナード(ルーベン・グリーン)が着き、少し異様な雰囲気が盛り上がった時、突然アランがやってきた。すっかり驚いたマイケルが、男だけの奇妙なパーティーを見てあっけにとられているアランを別室に連れていって話し合っている間に、エモリーからハロルドへのプレゼントとして、一晩約20ドルで買われた若い“真夜中のカウボーイ”(ロバート・ラ・トゥールノウ)が到着した。仕方なくアランもパーティーに加わり、とまどいながらも皆に溶け込もうと努めた。しかし、ホモ・セクシュアルな感覚を理解できない自分を冷やかしたエモリーを、アランは怒って思いきり殴りつけた。一瞬殺気だった一同の前に、自ら「32歳の、醜いあばたのユダヤ人のオカマ」と称するハロルドが現れた。パーティーは少しずつ荒れ始めた。マイケルはウォッカをがぶ飲みし、ハロルドはマリファナを吸い続け、ホモ特有の会話の裏に、鋭い嫉妬心が含まれるようになってきた。雷を伴った雨が降りだし、異様な空気をはらんだ部屋では、〈告白ゲーム〉が始められようとしていた。一人ひとりがこの世で一番愛している相手に電話をかけて愛の告白をするという残酷なゲームだ。最初の犠牲となったバーナードとエモリーは告白の後の激しい自己嫌悪にさいなまれ、ラリーは、定かでない愛のすみかに煩悶しながらも、遂にハンクに愛の告白をし、同意したハンクと2階の一室へ消えた。今度は、酔ったマイケルはアランを追究しだした。お前はホモのくせにそれを隠している。本当に愛している人間をいま電話で呼び出せ、と。遂にアランが受話器を取り上げた。勝ち誇ったマイケルはアランの話している相手の声を聞いて愕然とした。電話の相手は、マイケルも知っているアランの妻だったのだ。みじめな敗北感に打ちのめされたマイケルに、ハロルドの容赦ない言葉が突き刺さった。「ホモでありながら、ホモであることから逃れようとしている悲しい男!本性は変わらない。お前は死ぬまで男しか愛せない男なのだ」。パーティーは終わった。客が帰った後、マイケルは自己嫌悪にかられ、かつて愛しあった仲のドナルドの腕の中に泣き崩れた。ドナルドの慰めに、ようやく気をとりなおしたマイケルは、真夜中のミサに行くことにした。そして死んだ父親の言葉を思い出していた。「俺には生きるということがさっぱりわからない……」

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く