セールスマンの死(1951)

劇場公開日:

解説

「真昼の決闘」のスタンリー・クレイマーがコロムビアと提携して製作した第1回作品で、アーサー・ミラー原作(1949年発表)のピューリッツア賞受賞戯曲を、スタンリー・ロバーツが脚色し、クレイマーに抜擢された新進ラスロ・ベネデクが監督に当たった。撮影は「青いヴェール」のフランク・F・プラナー、作曲は「欲望という名の電車」のアレックス・ノースの担当。主演は「我等の生涯の最良の年」のフレドリック・マーチで、助演は舞台と同じくミルドレッド・ダンノック「我が心の呼ぶ声」、ケヴィン・マッカーシー、キャメロン・ミッチェル、ハーワード・スミス、それにロイヤル・ビール、ドン・キーファーらである。

1951年製作/アメリカ
原題:Death of a Salesman
配給:コロムビア日本支社
劇場公開日:1952年11月29日

ストーリー

ウィリィ・ローマン(フレドリック・マーチ)は63歳になるセールスマンだったが、既に生活の気力は尽き果てて、ただ過去の幻影と、自分を人並以上の人間だとする妄想の中だけに生きていた。やさしい妻(ミルドレッド・ダンノック)と、一人前の息子2人を持ってはいたが、長男のビフ(ケヴィン・マッカーシー)は定職にもつかぬ放浪者で、父に対して心に深いわだかまりを持っていたし、次男のハッピィ(キャメロン・ミッチェル)は、女にしか関心のない青年であった。長い西部の旅から帰ってきたビフは、弱り果てた父の姿を見、弟と共同で運動具店を始めようと計画、元の雇主に金を借りに行くことに決まった。ウィリィも妻にすすめられて、会社へ内勤を頼みに出かけたが、社の幹部は却ってすげなく彼に解雇を申し渡した。旧友のチャーリィから、自己に対する過信を戒められたウィリィは、その夜失意を押し隠して、息子たちの待つレストランへ出かけた。が、そこで彼が聞いたのは、借金を頼みに行ったビフが、そっけない扱いをされた腹いせに、万年筆を盗んで逃げてきたという事実であった。絶望に打ちのめされたウィリィは、かつてビフが18歳のとき、ボストンへ父を訪ねて、情婦と共にいるウィリィを発見したことを苦く思い出していた。それ以来、この長男は彼からそむいたのであった。過去の回想から醒めたウィリィが席へ戻ると、2人の息子は既に女と外へ出てしまっていた。深夜、別々に家に帰り着いた父子は、母を間にはさんで烈しい喧嘩を起こした。しかし、この時ウィリィは長男よりもむしろ、自分の方が彼に対して深い溝を掘っていたことに気付いた。寝るふりをしたウィリィは、深夜の街に車を駆った。今や彼の偉大さを証明するものは、彼の死――2万ドルの生命保険と、それに伴う世人の哀悼しかなかった。葬式の日、ウィリィの墓に集まったのは、妻と2人の息子と、隣人のチャーリーだけであった。妻は、この日やっと家の月賦が満期になったことを告げながら、夫の死がまるで出張程度にしか感じられない、セールスマン稼業のはかなさに泣いた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第24回 アカデミー賞(1952年)

ノミネート

男優賞 フレデリック・マーチ
助演男優賞 ケビン・マッカーシー
助演女優賞 ミルドレッド・ダンノック
撮影賞(白黒) フランツ・プラナー
作曲賞(ドラマ/コメディ) アレックス・ノース
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映画レビュー

0.5つまり、この親父は『フ○テン○寅さん』だ♥

2023年7月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.0モロ舞台劇

2021年9月7日
スマートフォンから投稿

お父さんが妄想したり、過去に戻るシーンは舞台向きなので、マンマ映画にしたのでお父さんが頭おかしくなった人みたいに誤解します。サラマンの孤独や家族のすれ違いなどテーマはさすが舞台の傑作だけあって重厚ですが、もう少し映画用に演出した方が良かったですね。

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越後屋

4.0舞台を観ているかのような映画だった。人生は思いがけない事がきっかけ...

2017年6月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

舞台を観ているかのような映画だった。人生は思いがけない事がきっかけとなり歯車が食い違い大きく変わってしまう、そしてその渦中にいる時は当然の事ながらわからない、最後まで人生の虚しさが漂っていた。フレデリック・マーチは迫真の演技で素晴らしかった。

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tsumumiki
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