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◆Virginia ヴァージニア

巨匠コッポラが若やいだ演出で見せるゴシック・ホラー
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  作家が各地の書店に自分の本のプロモートに赴くというのはアメリカでは常態化している。自作朗読にサイン会、質疑応答とかファンサービスの強力な手段なのだ。モダンホラー・ブーム絶頂期のスティーブン・キングのプロモーションの盛況ぶりなど伝説である。そんな盛況など夢のまた夢、売れていないホラー作家=ホール・ボルティモア(バル・キルマー)が足を踏み入れたのは、書店というものがない寂れた町であった。雑貨屋で場所を借りて、自著を数冊おき、客に声をかけるものの誰も興味を示さない。加えて、彼には次回作の売れるネタが見えていない。妻との関係も危うい。そこに声をかけてきたのが、訳あり風な町の保安官であった。胸を杭で打たれた少女の死体を見せてやろうか? おれと共作しないか?

  この町自体が時間感覚定かならぬ白日夢のような存在である。キルマーは不思議な少女(エル・ファニング)と出会い、同時に幼児虐待の陵辱的な悪夢世界に引き込まれる。木造ホテルの廃墟はエドガー・アラン・ポーのゆかりの場所とされ、さらに湖のほとりに居座るパンクな一団はバンパイアとも噂され……。こうしたゴシック・ホラーの原点的たゆたいのなか、12歳のファニングが少女の官能性のすべてをさらけ出す。被虐と加虐双方の表情をファニングに求めたコッポラの演出は若やいで、かつロジャー・コーマン・スクール時代の監督デビュー作「ディメンシャ13」の水の象徴性(死とエロティシズム)に帰還したかのようでもある。ちなみに「ヴァージニア」はポーの少女妻の名前だ。

(滝本誠)


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