横道世之介のレビュー・感想・評価
全146件中、1~20件目を表示
続編の映画化は…もう難しいのだろうか
吉田修一の素晴らしい青春小説を、沖田修一監督、高良健吾主演で映画化。
原作が素晴らしかったが、映画も非常に素敵な作品に仕上がった。
160分という長さも、なんのその。愛すべきキャラクターたちが目いっぱい青春を謳歌しており、たまらない気持ちになる。自分の学生時代、世之介みたいな友人がいたら、もっともっと豊かな時間になったのではないかとすら思わせられる。
続編も発売され、既読。いやあ、キャスト陣も再び演じたいだろうなあ。
みな人気者になってしまったし、実現するのは至難の業かもしれないなあ……。
いずれにしても、何度でも見たい2012年を代表する素晴らしい作品です。
吉高由里子の魅力を再発見
評価の高い作品なのは知っていたし、「悪人」「怒り」などの吉田修一の描く、青春?恋愛?マイナス感情がなさそうなヒューマンドラマ?とはどんなものだろうと興味はあったが、なかなか観る気になれずにいた。
演技力があまりよくない吉高由里子が観る気をそぐ原因だった。
しかし実際に観てみると、上手いこと役にハマっていたと思う。
彼女の演技はしゃべりがイマイチだが動きによる演技は悪くないのだと気付いた。
お嬢様言葉の祥子というキャラクターが、セリフに心が入らない吉高の弱点を誤魔化せたように思う。祥子は何を考えてるのかわからない天然なところがあるからね。
作品の雰囲気が、コミカルで少々大袈裟な動きも可能にしたので、祥子の感情は動きを見ていればいい。
ビーチボールに掴まる祥子。うちわを扇ぐ祥子。洗濯物を畳む祥子。カーテンにくるまる祥子。
動きが良ければ魅力的なキャラクターは生み出せると証明したように思う。
作品のほうは、感情の起伏もストーリー的な起伏もほとんどない、長回しによるごくありふれた日常感と相まって、凄く普通。しかし面白いわけでもないのに永遠に観ていられそうな不思議さがある。
それはそのまま主人公横道世之介を表しているようだ。
すごく変わった男のようで実は至って普通な、ある意味主人公に相応しくないほどの無個性さなのだが、この作品はそれでいい。
世之介と出会ったキャラクターが過去を思い出しなぜか笑顔になることこそが主題で、世之介が特別で特殊なオンリーワンの存在であってはならないのだ。ちゃんと思い出せるように名前だけは特殊だったけどね。
観ている私たちにとっての世之介はごくありふれた何でもない日常を描いた作品そのものだ。
そこから自分の過去にいた世之介のような友達を呼び起こし懐かしむ、そんな作品なのだ。
しかし残念ながら友達の少ない自分には呼び起こされるものがなかった。
それはつまり、涙も笑いも苦さも甘さも、何の感情の変化も訪れない無に等しいもので、作品の評価が上がらない理由だ。
それともう一つ、1987年の時代感を懐かしむというのもあるだろうが、これは自分より上の世代で、過去の時代でありながら未来のことのようなズレがあり当然懐かしむことは出来なかった。
漠然とだが良い作品だったし、吉高由里子は可愛かったのだが、87年に大学生でもなく友達も少ない自分には見事にハマらない作品で、あまり楽しめなかった。
あとは、主演の高良健吾のことも少し書きたい気もしたが、書けることは一つしかなかった。彼は大体いつも良い。
典型的徘徊型映画
...............................................................................................................................................
横道世之介って奴が大学生活を送る。それをダラダラ追ってる。
お嬢様の吉高と付き合うが別れ、10年くらいして電車事故で死亡。
...............................................................................................................................................
お嬢様な吉高が可愛かったけど、内容は徘徊型。
長いし、目的のない内容はあまり好きではない。
孤独な存在である人がつながっている不思議
横道世之介という主人公を中心に現在と過去を振り返りながら描くドラマ。とても滑らかで何回観ても見飽きがしない。この映画の右に出るドラマを私は知らない。エンディングは見事というしかない。
新感覚と言って良い🎵
冒頭の掴み良し。映像へのこだわり、演出、脚本すべて良し。ただ少し過剰な長回し・・・映像の見せ方は上手い‼️しかし何かが変・・・何だろう、この変は・・・時間は飛ぶしストーリー展開はシュールだし、時代設定が不明で、ビューポイントの設定が難しい。兎に角展開に付いて行きづらい‼️。と思ってる内にビューポイントの揺らぎがまさに主人公をあぶり出す手法であることに気付かされる❗と言うかこの展開は一体何😓⁉️この物語はどうやって終わらせようとしてるのか?😓なんだなんだこの映画は・・・吉高、可愛すぎだろう🎵😅そして見終わった時・・・経験したことの無い感情に取り込まれることになる。悲しみでもカタルシスでも無い・・・これは何だろう・・・でもボクたちはこの感情を忘れることは無いと思う。
悲しみを感じさせず幸福を感じられるお話
お人好しで空気読めないけど愛されキャラの
横道世之介。
そんな世之介が事故で亡くなってしまうが、
一人息子を亡くした母から彼女への手紙の内容に
そう思える両親は凄いなぁと思ったけど、
そんな両親に育てられたからこそ、
皆に愛される世之介になったんだなぁと思った。
お嬢様で恋人役の吉高由里子さん、
現在と変わってなくて驚いた。
可愛い役で、何度もクスッと笑えました。
高良健吾さんのファンになった作品です。
それまでは、あまり意識していなかった高良さんですが、この作品以来、ファンになりました。
吉高由里子さんのお嬢さまぶりもすばらしいものです。
心があったかくなる作品です。
法政大学の学生さんはぜひどうぞ。
素晴らしい映画でした
お人好しであり、素直で、真っ直ぐで誠実。
そんな主人公を高良健吾さんが演じる。3時間もある映画だけど、全然苦にならないくらい見応えのある映画でした。
主人公が大学に入ってから色んな人で出会っていく中で青春のど真ん中を味わっている姿が何とも微笑ましくて羨ましいなと感じた。
そのかけがえのない時間の一つ一つが大切で思い出になっていくんだろうなと思う。
いま、思えばそんな事って言うような事ばかりかもしれないけど、どれも輝いてる感じがします。
周りの人達との微妙な掛け合いも面白い!
こんな素敵な人がいたら、応援したくなります!
久しぶりに心からすっきりさせられる映画を観ました!とても良かったです!
ほっこりと笑いが後からジワる作品
特に何か大きな事が起こるわけではなく、大学生活の日常やお嬢様と付き合う事になる日常を綴ったオムニバス的な作品です
個性的で癖のあるけど、人の懐の入るのが得意で、何故か人を惹きつける魅力がある世之介。ピュア同士でキスだけではしゃいでいる平和なカップル。お嬢様のしょうこもかなり個性的です。
周りの役者達もチョイ役も含めて名脇役や著名な役者さんたちが勢揃いしています。
柄本祐、江口のりこ、ムロツヨシ、きたろう、
まさかのお隣りさんが井浦新さんだとは、、
マイナス要素は、
2時間40分ほどもあり、内容の割にはダラダラと長尺すぎる
自殺した原因が分からない。自殺じゃなくてうっかり幸せな死に方だったのではと思う。
音楽がほぼない。もう少し劇中音楽を挿入して欲しかった。
2人に出会えたという幸せ
2001年に新大久保駅で転落事故があり、落ちた乗客と、助けようとした韓国人留学生、日本人カメラマン関根史郎さんがなくなりました。マスコミは美談として韓国人留学生を取り上げ、でも、関根さんのことはあまり話題になりませんでした。家族の希望があったとか。
「自分で自分を主張する言葉を持っていない人、それを与えられなかった人、そういう人の声にならない声を言葉にできるのが作家の特権」小川洋子の言葉ですが、この横道世之介を見終わった時、その言葉を思い出しました。吉田修一が思い描く関根さんの人となり、突然の終わりを迎えた人生、それが世之介くんです。美談で語られることを拒む、悲壮さのかけらも感じさせない普通の人。笑顔で思い出が語られる普通過ぎる、でも特別な人。
交際相手の与謝野祥子さんもいい味を出していました。彼女が2週間の予定でフランスに旅立ち、世之介くんが渡すはずだった写真が渡せなかったのは、彼女がなかなか日本に戻ってこなかったからでしょう。そして、何年もたってからの祥子さんは海外を飛びまわる生活。タンザニアを訪れるという、ちょっと特別な渡航は、一般的なビジネスではなく例えば国連とかNPOの活動をしているという事でしょうか。もしかしたら長崎の夜の浜辺で、ベトナムからのボートピープルに出会った経験が彼女の人生を大きく変えたのかもしれません。彼女は、赤ちゃん一人を救えない自分の非力さを悔やみました。その後のフランスでの体験がきっかけを与えてくれ、2週間の予定が長きに渡る留学に変わったのでしょう。独特すぎる世界に生きている彼女ですが、いつも彼女は自分で人生を選択しているのです。
一方、世之介くんは、駅のホームで乗客の転落に出くわします。韓国人留学生はそれに気づき、助けようと線路に降りたのでしょう。世之介くんはと言えば、その韓国人に引き寄せられるように、助けに行ってしまったに違いない。覚悟とか決断とかではなく、流されるままに彼は人生を漂う。でも、彼の生き方の底に流れるのは、祥子さんと同じものです。
そんな彼ですが、祥子さんに今夜は君と一緒に過ごしたい、と伝えるシーンがありました。彼にとっては、一大決心、最大限の主体性。でもその結末は、パンツ姿の彼が、着衣のままの祥子さんに説教されてしまう、へなちょこさ。祥子さん、どんな思いで世之介くんとの時間を思い出すのだろうか、と思うとちょっと泣けてきます。
その後の展開が気になった
原作は未読。何となくおすすめの映画として取り上げられてたので鑑賞してみた。
終始、世之介を取り巻くほのぼのした日常が映し出され、大きな出来事が起こる訳ではなかったが、飽きせずその世界観に魅了されしまった。登場人物も個性豊かで、ストーリーに色付けにされていた点も良かった。吉高由里子の登場時、少しお嬢様言葉が気になったが、その違和感も徐々に無くなり、見事なはまり役だったかと思う。
物語はバス停で見送った場面で終わってしまったが、あの後2人には何が起こったのだろうか。やはり学生同士、若さでは乗り切れなかった点があったのだろうか。その続きが非常に気になる終わりだった。
特殊な時間構成に泣く。
友とのあの頃から今を見るかの特殊な時間構成に泣く。
成長とは時間経過の中で無自覚に過去と未来とに自分を引き裂くこと。
今や全員が主役級。
安牌草彅剛にせず強面の高良健吾にしたのが勝因。
驚異の怪演吉高由里子は藤谷美和子を超えた。
ベルばらは読んだほうがいいですわ・・・
井浦新はいつ出てくるんだ?と心待ちにしていたら、意外や意外!こんなところで出てくるなんて・・・と、この作品の構成の奇抜さにも驚かされる。
バブル期の東京、法政大学という実名を出しての映像化というのも珍しいけど、このバブルのおかげで大学生の将来の夢や方向性も見失いがちだったと思う。主人公・横道世之介も多分その一人。経営学部とはいえ、何になりたいのかはっきりしない流されるタイプだった新入生。サンバサークルに入部してしまうのもその象徴だろう。
のんびりタイプだけど、人付き合いもいいし、性格もいい。友達もすぐにできそうなタイプで、嫌われることもなさそう。同級生となった倉持(池松壮亮)や阿久津唯(朝倉あき)、そして加藤(綾野剛)とも良好な友人関係。そんな彼を好きになった社長令嬢・与謝野祥子(吉高由里子)との付き合い方もほっこりするような雰囲気だ。
祥子は彼の長崎の実家にまで遊びに行くし、デートだと言っておきながら両親に紹介。これはもう早くなんとかしろ!とイライラもするが、彼にはちょっと好きだったパーティガールの千春という存在もあった。
平凡な大学生と交遊関係。入学式から時系列通りに描かれると、なんともない映画に終わっただろうけど、友人たちの将来の風景が挿入され、平凡だけど非凡な世之介の姿が多角的に描かれていたと思う。『あなたを忘れない』(2007)では嫌韓の人たちから心無い誹謗中傷があったりしたけど、もう一人の日本人男性を感動させるために描いたものではないことが好印象となりました。
加藤がゲイであったりとか、ベトナム人ボートピープルなんかもさりげなく取り入れ、日常のことなんだとして偏見の目で見たりとかしないで、人の命を尊いものとして描いていることも良かった。ラジオパーソナリティとなった千春(伊藤歩)の「午後五時」が観終わってから泣けてくるし、与謝野家のお手伝いさん(広岡百合子)のクローズアップも良かった。いつカメラマンになるんだろう?などという興味を持たせる脚本も素敵だなぁ・・・
なつかしいあのひと
見たときは、それほど印象は強くなかったのだが、数年経って、じわじわと、あれはいい映画だった、と思い出した。
まるで、映画のなかの人たちがみんなして横道世之介のことを回想するように、この映画を思い出した。
日常のなかで、過去に出会った誰かを、ふと思い出す。
あいつおかしなやつだったな、今ごろ何してるだろうとか。
あのひと可愛いかったな。もう結婚したのかなとか。
ほんの一瞬でも、なんとなく、笑みがこみあげてくる。
きれいなまんまの記憶もあれば、後悔もある。甘酸っぱいともいえるし、切なくもあるし、ばあいによって慚愧もある。
横道世之介は、万人がもっている懐かしいあのひとへの感情を集約している。社会へ散った私たちに、いやおうなしについてくる、かけがえのない思い出を覚まさせる。
またいつか見たくなると思った。
高良くんのこの路線、このあとも続く。えのもと、綾野、井浦、常松、豪...
高良くんのこの路線、このあとも続く。えのもと、綾野、井浦、常松、豪華キャスト。もちろん、大好きな吉高さん。少し解離的な感じがいい。他の俳優もとてもいい。セリフや脚本もいい。
ほっこり
映画を見る時にいろんなことを期待して見たり、感情移入して楽しんだり、世の中の不条理を見せつけられ愕然としたり、いろんな感情が湧いてくるのだけれど、この映画を見ている間は、心がホッコリしました。
映画ってエンターテイメントなんだけれど、正直言ってこの映画はなんというか、ただただ、ある1人の人間とその人と関わる人間達を描いただけのごく普通な映画だった。でも、決して面白くないわけではなくむしろ逆で。その"普通"に心がほっこりさせられた。
実際に日本で起きたJRの事故で、犠牲になった方だと後から知り、驚いた。
横道世之介という、一度聞いたら忘れることのできないこの名前をきっとこの先またどこかで思い出すに違いないと思った。
自分はみんなに覚えててもらえるだろうか?
ごくありふれた日常を描いているが、登場人物のキャラがそれぞれ濃いからその日常を面白おかしく見れる。
ストーリー展開は大学生時代の主人公(世之助)との思い出をそれぞれが回想し、主人公のことを懐かしむという一見微妙な感じ。
だけど、主人公を自分に重ねて見ることで自分はこんな風に覚えててもらえるのかなと考えさせられ、人との触れ合い方も見直したくなるような作品。
それぞれの登場人物の大学時代と現在の変化も面白いところのひとつ。
全146件中、1~20件目を表示