劇場公開日 2012年10月27日

終の信託のレビュー・感想・評価

全33件中、21~33件目を表示

3.0有罪です

2012年11月4日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

女医の第一印象、髪なが。医者も肉体労働だから髪長いとじゃまっけだろうに。髪を切らなければならない理由があるから仕方ないけど。監督は「それボク」、本作と映画的表現からズレている。そうやって冤罪が作られるんだとか、そうやって自白させられるんだとかは分かるけど、そんな勉強したくて映画観に行くんじゃないから。「ファンシイダンス」「シコふん」への路線回帰はないのかな。ないだろな。

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ace

3.5終末医療に於ける問題提起と曖昧な意思表示に警鐘

2012年11月4日
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鑑賞方法:映画館

難しい

自分の命が間もなく消えようとするとき、その終わりの在り方を信じる人に託したいという願望は誰にでもあるだろう。
通常ならば託す相手は家族ということになる。だが本作の末期患者・江木秦三 (役所広司)が選んだ相手は主治医の折井綾乃(草刈民代)だった。綾乃は秦三の希望を尊重して延命処置を絶つのだが、数年あとになって訴えられる。

綾乃は検察庁に呼ばれ検察官の塚原(大沢たかお)から尋問を受けるのだが、ここでの検察官は非情な人間として描かれている。検察官による厳しい追求と、告訴に都合のいい言い回しの聴取書に、同席した検察官の助手が綾乃に同情的な表情を見せるから、余計に検察官が悪者のような印象を与える。
だが、人の生死に自然ではない人為的な行為が絡んだ場合、その是非を問われるのは法の場だ。
裁判に必要な判断材料は“事実”の積み重ねであって感情論ではない。検察官のとった行為は間違っていない。生命維持装置の取り外しについても、家族への説明が充分だったとは言えないように見える。綾乃がとった行為は、自分だけが選ばれた人間だとでもいうような振る舞いで、感情で医師としての職権を乱用したと言われても仕方がない。医療に携わる者として綾乃の行為は許されるものではない。許したら、それこそ患者を生かすも殺すも医者次第ということになってしまう。

亡くなった秦三にも責任がある。本気で綾乃に終を託すのなら文書にしておくべきだ。家族にもその旨を伝えておく義務がある。結果的に第三者が見て、もっともな行為だったと納得させるものの用意が必要だ。

秦三の家族にも問題がある。秦三と真の意味で信頼関係があったとは言いがたく、そもそもの発端はそこにある。
けれども裁判になったら、問われるのは綾乃がとった医療行為の是非だけだ。

この作品は終末医療がどうあるべきか、その難しさを問題提起するとともに、迂闊な終の信託が殺人事件に発展する危険性に警鐘を鳴らす。

秦三の妻・洋子は、自分以外の女性に夫が最期を託したことに嫉妬を覚えなかったのだろうか? 半端な“書き残し”は遺恨を残すことも考えねばなるまい。

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マスター@だんだん

4.5重いテーマを、ひときわドラマ性の強い、見応えある映画になったと思います。

2012年11月2日
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鑑賞方法:映画館

 周防監督の性格が伺える超生真面目な作品です。笑いをとる場面が一つも無く、重病のぜんそく患者の病状経過と死亡時の尊厳死にの是非について愚直に追求していきます。作品のテーマは、終末医療と司法のかかわり、安楽死などを中心に据え、死について観客に問いかけてきます。ただ、そこは周防監督。重く硬質なテーマを大上段から振りかざすことはしません。毎作品ごと特殊な舞台に見いだし、優れた娯楽作に仕上げてきた周防監督作品。今回は、ひときわドラマ性の強い、見応えある映画になったと思います。
 息が詰まるような2時間24分の長尺でしたが、細かいカット割りと、時間軸が巧みに前後していくシークエンスの組み立て方で、全編最後まで画面に釘付けとなって見終えることができました。

 見どころは、息詰まる医師と検事の対決。方や法律の番人として杓子定規に主人公の医師折井を殺人者に仕立て上げようとし、検事のあまりの決めつけ方に反発した折井が、それでもあなたは人間なのかと言わんばかりに、物言えぬ患者の苦痛を代弁して、殺人ではなく人道的な処置であったと反論します。
 このラストに行き着くまでの、重症のぜんそく患者江木と担当医の折井との交情の過程はいささか冗長過ぎるきらいもあります。けれども、折井がなぜ尊厳死を選択肢か、その決断に至るまでの心理を観客に伝えるためには、周到な伏線が必要だったのかもしれません。

 本作を着想したきっかけは、前作の痴漢裁判を題材にした『それでもボクはやってない』のシナリオ執筆のための取材中に本作の原案となる公判と遭遇したところから。
 二つの作品共に、密室での取り調べがいかに危険か。結論ありきで自白を強要する捜査手法を批判的に描かれている点で共通しています。しかし塚原検事の捜査手法のそれは、尋問対象の折井に対して冷徹で尊大。観客の反感を一手に行き受けてしまうような悪の権化として描かれながらも、論理はしっかりと構築されており、その完膚なき論理性と理詰めで白か黒か選択させる、一切の情状の説明を拒絶したディベートのシャープさに、折井に感情移入している小地蔵のこころもは何度も、揺すぶられてしまいました。
 優れた映画というのは、主人公に敵対する人物が強烈な説得力を持っているものです。それゆえ、観客は感情ではなく理性で判断させることで、作り手の主張をこころに刻むようになれるのです。もちろん、狡猾な尋問テクニックを屈指する塚原検事の捜査手法には、問題が多いとは思います。けれども冷徹な塚原の論理が、折井の行動の是非を観客に投げかける周防監督の観点は、見事なまでに公平であるといえるでしょう。

 毎回、新たな題材にアプローチするときの周防監督のこだわりは、凄まじさを感じます。医療のプロでなくても、治療の現場は、所作といい、専門用語の使いこなしといい、まるで研修医の教材となる臨床ビデオ見ているくらいの精巧さで、情報量の多さが目立ちました。また検事の取り調べシーンも、かなりの取材を重ねて、実際の取り調べてとほぼ同じ捜査手法や逮捕・起訴に向けた手続きを再現しているものと思われます。

 さて。物語は折井に検察から呼び出し状が送られて、塚原検事に面会にくるところから描かれます。しかし約束の時間よりも40分も早く到着したことから、そのまま待たせっぱなしにするでした。これも塚原検事のテクニックのひとつ。なんと約束の時間を超えて、2時間も待たせて、やっと面談に及びます。
 待ち続ける折井は自然と、身の上に起こった出来事に思い馳せるのでした。以前折井は、呼吸器内科の医師で、重度のぜんそくを患う江木を担当していました。病院の中では、同僚の医師・高井と長く不倫関係にありました。ここで問題のベッドシーンが挿入されます。長年バレーで鍛えられた肢体を、草刈民代は惜しげ無く披露し、乳房を浅野忠信にもまれるのです。その肉体美は凄いのですが、だからといって、自分の愛妻の絡みをファインダー越しに、冷静に演出していく周防監督の神経がどうなっているのか、理解しがたいです。
 不倫関係というのは、いつか報いがあるもの。高井が若い女性と旅立ったこと知った折井は、失意のあまり睡眠薬による自殺未遂騒動を引き起こしてしまいます。蘇生処置として、鼻に管を通して水を流し込む胃洗浄のきついこと。わが身にも経験があるだけに、折井の辛さがよく伝わってきました。このとき味わった、治療に対する苦しみが伝えられないもどかしさが、やがて逆の立場に立たされたときの、尊厳死の決断に繋がっていきます。
 江木の病状は進行し、入退院を繰り返します。織り込まれる自動車交通の多さや、工場地帯の映像が、さりげなく印象的。江木に転地療養を勧めるものの、あくまで折井の治療が受けられることを望みます。
やがてふたりは、医者と患者の立場を超え、2人は人間として向き合うようになっていくのでした。

 とうとう江木に死期が迫ってきます。かつて死を自覚した折井には、ほっとけない連帯感が芽生えてきます。それは恋愛感情というより、生死を分かつ同志としての信頼感のようなものだったのでしょうか。
 江木は綾乃に、終戦直後、満州で妹を亡くした悲痛な体験を語り、延命措置について、彼女に判断を託します。終の信託を受けることになったのは家族でなく、折井というところがポイント。家族には、無用な負担をかけさせたくないという江木の優しさが、後日塚原検事に追及する論拠を与えてしまうことになるとは、夢にも思わなかったでしょう。
 それと、江木が語る「臨死のときも最後まで残るのが聴覚」という言葉が、印象に残りました。自分の母親の最後の時も、ずっと話しかけたことを思い出しました。だから、江木は妹に子守歌を聴かせ、その子守歌を終の信託として自分にも歌って欲しいと折井に託すのです。子守歌の切ない響きが心に残りました。
 余談ですが、臓器移植の時も、脳死だけではまだ神経感覚は残っているという臨床結果が明らかにされています。生きたまま麻酔もかけずに内臓をえぐられるのは相当な恐怖を感じるのでしょうね。

 本作は、最後に下した折井の判断の是非を問うているのではありません。やはり尊厳死へ至る、折井と江木のエモーショナルな推移を描くことがメインであったと感じます。それとラストの45分にわたる、塚原検事と折井の激しい応酬の末に下される、法の判断の是非。周防監督は法の正義か、人間性の重視か、その違いを簡潔に映像としてみせるばかりで、主張はしようとしません。しかし、ただ1点、発行された逮捕状を書記官が折井に渡すとき、一瞬罪悪感を浮かべる書記官の表情にこの長い物語の結論が描かれているような気がしました。

 演技面では、役所のぜんそくシーンは見ている方が息苦しくなるほどリアルだし、臨終シーンののたうち回るところは、鳥肌が立つ思いの凄さでした。草刈は、バレリーナから転身した頃と比べて、女優として進化をとげ、演技力に磨きがかかっていると思えました。何といってもヒロインを容赦なく追い込む、大沢が素晴らしいと思います。この役で芸幅が拡がったことでしょう。そんな実力を引き出したのも、周防監督の力なんだろうと思います。

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流山の小地蔵

4.0良かったです。

2012年11月2日
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悲しい

知的

難しい

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たかしろ

4.0肉体を動かしてこそ出会いも輝く

2012年11月1日
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知的

寝られる

萌える

頭の中の話だけで人生を分かった気になってしまう今

とつとつと語る現実の体験談が どれだけ深いニュアンスで入ってくるかの心理センサーに問いかける。

信じる気持ちの濃さを 怪我をした心に染み入る漢方薬としての強靭な出会い。

肉体は瞬時で忘れられる。魂は永遠。

はっきりした重みのある逢瀬の深みは 実際に苦しみながら甘みを掴んだ結果でないと見えない。

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ばかたれ

4.0ほんとうに、こわいもの

2012年10月30日
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知的

濡れた馬のような、、って比喩が昔あったけれど、

そんな、(よい意味も含めて)暗く、静かな作品でした。

時間の流れが一方通行なので、

やや 作品に奥行きが出ない感は残りました。

それにしても 俳優さん 皆さま眩しいです!☆=

死とは、悲しみなのか、安らぎなのか。

パラシュートを投げたときに、

落下するのは丸をつけた目的地ではなく、

個人の情念という風に吹かれたその先なのだという昔から続く現実。

そのことに、黙ることしかできないのか??

楽しい というのとは違うけれど、いろいろと考えさせられる作品です。m--m

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まごちゃん

4.5144分があっという間でした!

2012年10月28日
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悲しい

知的

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peanuts

4.0重いテーマです

2012年10月27日
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2007年の『それでもボクはやってない』に続く、周防監督の社会派作品。あわせて、1996年に大ヒットしてハリウッドでもリチャード・ギア主演でリメイク作品まで作られた『Shall we ダンス?』以来の周防正行・草刈民代・役所広司が揃った作品としても話題になっている。

でも、やっぱり『Shall we ダンス?』よりも、『それでもボクはやってない』と比較しちゃいますね。『Shall we ダンス?』はコメディでしたが、『それでもボクはやってない』は社会啓蒙、民衆啓発の社会は作品。そして今回の『終の信託』も社会派作品ですからね。

『それでもボクはやってない』の時は、痴漢冤罪が社会問題化しつつあるタイミングでの映画界でしたが、この『終の信託』は、“終活”などという言葉も出来るほど、人間の一章の終わりに注目が集まりつつ有る時期の作品。そういう意味では、非常に良いタイミングでの映画化です。

いやぁ、作品終盤の折井が塚原に取り調べを受けるシーンですが、「あぁ、こうやって犯罪者は“作られていく”んだ」と思いました。まぁ、“事実”のみをつなぎ合わせると、塚原の言う感じになるのかもしれませんが、それでは背景が全く示されておらず、かなり一方的な主張に思いました。でも、『それでもボクはやってない』も思いましたが、あれが現実なんですかね。

ツッコミを一つ。江木が救急搬送されてきたシーン。あまりにも緊張感に欠けていないか?もうちょっと何とか出来たのではないかと思いました。

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勝手な評論家

4.0静かな昭和映画

2012年10月27日
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難しい

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Helguera

4.0シナリオはいいんですが。

2012年10月27日
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鑑賞方法:映画館

知的

シナリオはいんですが、残念ながら、草刈民代さんは、医師に見えませんでした。重いテーマに正面から取り組む周防監督には、敬意を表しますが、キャストがしっくりきていないというのが率直な印象でした。
ただ、大沢たかおさんは、はまり役だったと思います。
周防監督、草刈さん、役所さんと、文字通り「役者」が揃っているのですから、もっと、エンターテイメント性の強い作品を、ファンとして期待しています。
寡作な周防監督ですが、次回作では、笑わせて下さい。

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小林壱岐守則定

2.5看過できない二つの欠点。

2012年10月27日
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怖い

知的

難しい

終末医療に関する一考察です。それ相応に重たい内容です。気分が滅入っているときには、ご覧にならない方がよいかと思います。本編は大まかに言って、二つの部分に分かれます。前半は臨床的見地からの終末医療を描いています。患者に扮した役所広司と医師の草刈民代の生々しい医療現場を描き出していきますが、気分が悪くなってしまうような描写も少々あります。後半は法医学的見地からの終末医療を描いています。ここに登場する大沢たかおがまさに独善的な検事を演じているのですが、この検事の人物造型に問題があるのです。(ここで星が一つ減る)まず、結論ありきで訊問していくこの検事はあまりに類型的に過ぎ、その人物造型の浅薄さに私は唖然としてしました。人間的な逡巡や躊躇など皆無なのです。まさに絵にかいたような極悪検事です。私は幸い、検察庁で取り調べを受けたことはないのですが、もし、このような取り調べが日常茶飯事であるなら背筋が寒くなる思いがします。そして、信じられなかったのが最後に字幕のみで語られる後日談です。この映画は虚構であります。事実を基に製作された映画ではありません。その虚構である本編に更に虚構である後日談を付け加えて、一体、どうしたかったのでしょう。後日談が輝きを増すのは本編で語られた内容が事実である場合にのみ限られます。(ここで星が一つ半減る)この後日談は完全な蛇足です。逆説的ですが、この後日談が付け加えられることによって、映画全体が画竜点睛を欠いているように思えます。緻密な映画作りで知られる周防監督ですが、今回はなんとも勿体ないことをしました。

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bashiba

4.5受け止め方はアナタ次第

2012年10月26日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

こういう映画を見ると、TVドラマや漫画の映画化って何なんだろう?と思ってしまう。
勿論悪い訳は無い。ただ、つい思ってしまっただけだ。

周防正行監督最新作。
その重厚な演出は巨匠の域。
草刈民代、役所広司、大沢たかお、俳優陣の熱演も素晴らしい。
周防監督の言う所の「映画らしい映画」として、文句の無い出来。

だが、この映画が掲げるテーマは、人それぞれの受け止め方がある。

重度の喘息を患い苦しむ江木と、彼に託され最期の処置を行う女医・綾乃。
医師と患者の関係を超え、強い絆で結ばれる。大人のラブストーリーと銘打っているが、男女愛というより、「ミリオンダラー・ベイビー」に近い人間愛に感じた。
一見美談のようにも思えるが、その行為は法に触れ、検事・塚原は厳しく追及する。

綾乃に殺意など毛頭ない。江木に託され、彼を思い、苦しみから解放させてあげたかっただけだ。
しかし、医師でありながら自ら患者の命を絶った行為に対して、重い十字架を背負わなければならない。

チューブに繋がれ、肉の塊となっても命を繋ぎ止め苦しみ続けるのは、人生の最期としてはあんまりだ。江木のように尊厳死を望む人が多く居るのもまた事実。
信じ託せる相手が居るのはこの上ない最期だが、江木はその最期を家族に託せなかった。家族を思っての事だが、ここも意見が分かれる所。

厳しく追及する塚原検事は威圧的で悪役的な描かれ方だが、終末医療の法制度がある以上、その主張は公正だ。江木には延命の望みが全く無かった訳ではなく、法の番人として何ら間違っていない。

それぞれの言い分に納得させるものがあり、どっちが是か否かの問題ではない。

明確な答えなどない映画。
受け止め方はアナタ次第。

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近大

4.5医療で殺人で愛で狂気

2012年10月26日
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悲しい

難しい

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しま