シルバー假面

劇場公開日:

解説

1970年代にテレビ放映された特撮ヒーロードラマ「シルバー仮面」を、舞台を現代から大正時代に移してリメイク。3話構成で、本作の公開直前に急逝した実相寺昭雄が総監修と第1話の監督を担当。大正9年の東京で、不可解な美女連続殺人事件が発生。諜報機関から密命を受けた本郷大尉は、捜査の途中で日独ハーフの美女ザビーネと出会う。本郷がクモ型宇宙人に襲われると、ザビーネは銀色の超人・シルバー假面となって宇宙人を撃退する。

2006年製作/130分/日本
配給:ユーロスペース
劇場公開日:2006年12月23日

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映画レビュー

5.0実相寺昭雄監督の濃密な世界を堪能できる幸せ 星5つは当然であると思います

2022年1月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

オタクなら実相寺昭雄監督の作品は必修科目でしょう
もしも実相寺監督の名前も知らないとなると、これはもうオタクを名乗れません
それほどの重要人物です

ウルトラマン、ウルトラセブンの神回の多数の担当監督で余りにも高名です
例えばジャミラ登場回の「故郷は地球」、ちゃぶ台のメトロン星人登場回の「狙われた街」などを挙げればすぐにお分かりでしょう

1968年の「怪奇大作戦」、そして特に1971年の「シルバー仮面」における実相寺監督の担当回は必見の作品です

実相寺監督の影響は現代に至るまで様々な作品にまで見られます
「宇宙戦艦ヤマト2199」にも、オマージュされた回があったことが思いだされます

本作はその「シルバー仮面」を、2006年に監督自らリメイクされたものです
3話で構成され、その第1話のみ実相寺昭雄監督です
第2話、第3話はそれぞれ別の監督ですが、総監修として実相寺昭雄の名前はクレジットされています
まず、この星5つのレビューはこの第1話のみについてのものであふことをお断りさせて頂きます

エキセントリックな作風、傾斜したアングル、逆光の多用、超接写は変わらず、ビデオ撮影作品であろうとも大いに満足感させられます

本作はオリジナルの「シルバー仮面」の設定や物語から、時代も内容も全く異なるものになっています

1988年の「帝都物語」も実相寺昭雄監督作品でした
本作は、その「帝都物語」の原作の雰囲気をより濃厚に反映した作品に仕上がっていると言えます

大正9年、1920年の東京浅草が舞台
関東大震災は1923年のこと
何故1920年が舞台なのでしょうか?
1945年の東京大空襲、広島長崎への原爆攻撃
その25年前、四半世紀まえだからです
劇中にカリガリ博士が見せる未来の幻影は関東大震災ではなくその映像なのです

「カリガリ博士」はもちろん1920年のドイツ映画からの由来
その映画はドイツ表現主義を代表する映画で、舞台セット、家具、背景など美術が独特でかつ歪んでおり、斜めであったり引き伸ばされたり様々に表現されるのです
キュビズムの絵画の中のような世界です
実相寺昭雄監督の独特な映像の元ネタはこれだったのかも知れません

そして本作は、実相寺昭雄監督の遺作でもあります
本作は200612月23日公開
実相寺昭雄監督はその1ヵ月前の11月29日にお亡くなりになられたのです
本作の試写間もなく体調を崩され還らぬ人になられたといいます

ザビーネ役の内田仁菜の演技についてはいささか首を傾げざるを得ないのですが、それでも実相寺昭雄監督の濃密な世界を堪能できる幸せ
星5つは当然であると思います

第二話はいたって退屈で苦痛ですが、第三話はお話も面白く、第一話で広げた風呂敷をキチンと畳んでくれます
監督は別の人ですが実相寺監督ぽさが濃厚にあります

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