わが母の記のレビュー・感想・評価
全67件中、1~20件目を表示
樹木希林さんってやっぱり凄い
母に捨てられたと思っていた息子と
だんだん記憶がなくなっても
愛する息子のことは忘れない母。
伊豆市や沼津の海岸など、
地元ロケでいい感じ。
母の愛情は強い
母親に捨てられたと思っていた息子と年老いた母親の愛情のあるお話。万が一、子供達みんなが亡くなってはいけないという事で、知り合いに預けられた息子。
母から捨てられたと思っていたのに、子供の頃書いた文章を大事に持っていてくれてた事実が分かり、母への愛情が戻る。
だよねぇ。母は強しやわ。
老後問題も描かれている。
訳あって子供の頃に母親に置き去りされたと心を痛める息子。父親が亡く...
訳あって子供の頃に母親に置き去りされたと心を痛める息子。父親が亡くなり、物忘れが多くなっていく母親と向き合う息子のお話。
今でいう認知症で、そうした中にも時折見せる母親の息子への想いや、一緒に寄り添う息子はやっぱり親子なんだなぁとじんわりくるシーンは素敵だった。
そんな母親を演じた樹木希林がすごかった。演技を通り越して本物のようだった。
実力あるキャスティングも良い。 良い映画にまとまっていました。
樹木希林がうまいなあ
井上靖の「蒼き狼」や「敦煌」は大好きな作品だ。
自伝的な小説も本作含め数冊読んだが、惹かれるものは特になかった。
映画では、主人公洪作1人が、曽祖父の妾に育てられた理由が、
台湾に家族が渡るとき、沈没したら血が途絶えてしまうからと単純になっていたが、
実際にも複雑な理由が色々とあったと思う。
ただ、歳をとるということ、自分も周りも辛く、切ない。そこは伝わってきた。
樹木希林、うますぎて、演技してるとは思えない程だった。
井上靖の自伝的小説が原作。かなりセレブでムカつく(笑)樹木希林はじ...
井上靖の自伝的小説が原作。かなりセレブでムカつく(笑)樹木希林はじめ役者陣の演技は秀逸です。
母親との確執。私にもありました。ゆえにウルッとさせられる部分も何箇所か。ただ手放しで褒め称えられるかというと、そこまでは…かな。
何故か鑑賞後に自分の老後が心配になった
初めての鑑賞
自分は母親に捨てられたと思い込んでいる主人公
実は船が沈没し一家の血筋が途絶えることを恐れて、長男を残したことを知らなかった
母はそのことをずっと後悔していた・・・・
良い映画を見た
樹木希林の演技はすごい
演技と分かっていてもイライラした
何故か自分が認知症になったらどうしようかと心配になった
山葵が足りない。現代のお伽噺。
祖母を思い出してしまった…。
良い人だらけの映画。
粗筋読めば、もう少し心がささくれ立つところがあると思うんだけどな。
原作未読。原作がそうなのか。演技がそうなのか。演出がそうなのか。
とにかく、樹木希林さんの演技は圧巻。
息子を思う母、嫌味なばあちゃん、幼児化した様。
息子を巡る取りあい。しかも息子は相手方を良くいい、自分のことは恨んでるらしい。やりきれないよね。息子の心を取り返す為に鬼気迫る形相にもなる。
そして幽霊のような進出奇抜さ。
そして、眼の焦点すら合わない表情。これが演技で演じられるものなのか。
ばあちゃんを見ながら、ハラハラドキドキ。
認知症になった後に亡くなった自分の祖母が画面にいるかのようでした。
周りの出演陣も好投していたんだけど…。
親子の確執ってあんなもん?ばあちゃんと洪作の確執。洪作と三女・琴子の確執。
時間が流れているのはわかるけど、
諍いしている時の葛藤があまり際立っていないから、
ちょっとした喧嘩で、あっという間に仲直りできたように見えます。
役所氏の本来の人の良さが、葛藤中の演技にも出てしまって、肩透かし。師匠の仲代さんだったらもう少し凄味が出たんじゃないかなあと思う。他の役者なら、もっとやりきれなさとか複雑な想いとか、神経質なところとかが出たのではと思ってしまう…。
例えば、「僕は母に捨てられた」とよく言うけど、映画の出だしから母への眼差しが温かい。成人男子だったら、表面的には「母への恩・敬愛」を示しながらも、実は密かに母に向ける眼差しが冷たいとなるんではないだろうか?「捨てられた」という言葉に含まれる、恨み・嫉み、悔しさ、情けなさ、それでも断ち切れずに求めてしまい、どこか「愛されていた」という確証を探したい気持ち等々が見えるときもあるけれど、見えてこない時の方が多い。というか、見えるように見えるときも”演じている”のが、わかってしまうから、今一つ伝わってこない。のれない。親と確執ある身には「そんなもんじゃないぞ」と言いたくなる。
家長としての存在も、ただ大きな声で怒鳴っているだけで凄味は感じられない。底の浅さは見えるけれど…。
もう一つ、セレブな生活も、セレブに最近なった人のセレブ生活ー慣れなくて、無理している感じ、ちょっとおどおどしている感じ。役所氏も相当なセレブなはずなのに、なぜなんだろう。
あおいさんもひょうひょうとした雰囲気が災いして、思春期の反発の影が薄い。介護のストレスにしたって…。たんなる仲の良い親子のじゃれあいにしか見えない。
洪作の妻の扱いも不満。お手伝いさんにしか見えないよ。洪作の妹達の奔放さに比べると。
でも実は、家族の根っこを握っていたのは…。というシーンもさりげなさすぎるほど、さりげなく描かれている。のだが、地味な妻なので、見過ごしてしまう。
そんな中でも、三國さんはすごい。寝ていて、息子へ手を伸ばして、手を握り、離す。たった、それだけなのに、この方の元気なころの性格、息子との関わり方が見えてくる。
鑑賞後の感想ではこんな感じでしたが、
インタビュー記事や、他の方のレビューを拝見して、愕然。
小津作品を勉強してこの作品を作った?え?どこが?
確かに、それらしい場面はあるけれど…。
映画全体の腰の座り方が違う。構えが違う。
画面の構図の問題だけでなく、テーマに対する切り込み方。小津作品は舞台を観ているかのように、あまり動かない。この映画は視点が変動しまくる。
テーマへの切り込みも小津作品は鋭いが、この映画は「何をテーマにしたかったんだ?家族を描きたかったのはわかるけど、家族の何を描きたかったの?」と詰め込み過ぎて散漫、切り込みが甘い。
また、小津監督なら、登場人物の心情を台詞で言わせない。この映画は、上記の「母は僕を捨てた」と洪作が思っていることも、洪作の作品に描かれていると言う以外に台詞で”説明”しちゃっている。他にも多々”説明”台詞が出てくる。小津監督なら登場人物のやりとり、関係性、演技で見せる。心情が台詞で出てきたとしても、”説明”ではない。
人と人とのぶつかり合い、心のささくれも、小津監督は描きぬく(とても冷徹なシニカルさがありつつも温かい)けど、この映画は、そういう葛藤はほとんど描き込まずに、心温まる交流場面にしてしまっておとぎ話になっている。この映画の演出なのか、演技なのかシニカルさはない。
小津監督は、本当に日常の些細な出来事の積み重ねを描く。一見些細な出来事なんだけど、どこにも無駄のない研ぎ澄まされた場面の積み重ねで見せてくれる。反対に、この映画は無駄が多いし、説明不足も多い。
そんな違いから、この映画は小津作品を表面的に真似てみただけの作品にしか見えず、小津作品とこの映画を並べられると不愉快で☆3つ。
とはいえ、希林さんの演技に浸りたいから、何度も視聴すると思います。なので☆ちょっとUP。 (完全に主観・好みの評価)
息子だとわからず「どこかのどなたか」という認識しかできないけれど、息子に背負われて安心しきって眠るばあちゃん。あんな風に全存在を預けられる存在がいるっていいですね。
必要なのは謝罪か愛情か?
これは下手な人がやるとクソつまらない映画。だけど本作は演技や演出等々の技術が最高峰ですごくおもしろい!!こういった本気の底力が感じる映画が大好き。余韻に浸れる最高の映画でした。
主人公は母親に自分だけ親戚の家に8年も預けられ、母親に対してわだかまりを持つ50代の小説家。母が認知症になってからの10年で少しずつ関係が変化し、母親の愛情を感じていくストーリー。
よくある過去のわだかまり解消話とは一線を画すので要注目!過去の出来事(わだかまりそのもの)にフォーカスが当てられていない事。波瀾万丈人生(なのかは分からないけれど)それはどうでもいい扱い。
だからこそ、観客は「自分の方が大変だった」なんて思わずに、主人公の息子として父親としての生き方に考えさせられ共感するんじゃないかと。
親に対しての怒りや悲しみは多かれ少なかれ、誰にでもあって主人公が求めてるのは謝罪なのか愛情なのか、どうしたら救われるのだろうとずっと考えさせられました。
また、70代の樹木希林、10〜20代を演じた宮崎あおい、それぞれ同世代が共感出来るようになっていて幅広い層に楽しめる内容だと思います。
過去に焦点が当たっておらずそのため謎が多く、大衆が好む内容ではないと思ったので✩4に。
私も過去をもう少し知りたかったけど、あえてないところがこの映画の良さなんだろな〜もどかしい…!
樹木希林のアイドル映画
宮崎あおいが宮崎あおいを、樹木希林が樹木希林を演じるアイドル映画。宮崎あおいがカメラ持つと一気にオズマガジンとか「これが私の秋コーデ」みたいな空気の軽さが出てしまう。
キムラ緑子と赤間麻里子の演技に支えられてる。役所広司は映ってるだけで成立してしまうけどそれは作品の力ではない。
褒めたいところはひとつ。赤間演じる妻が「あなたは捨てられたと思って構わないんです。素晴らしい小説書いてくださるんだから」というこのセリフだけが怪しく立っている。
役所広司といえば後年の『すばらしき世界』とテーマがけっこう重なってる。
樹木希林はこの頃すでに生前葬みたいな勢いで似たような役柄で映画でまくっていて金太郎飴に感じる。映画からの価値 提案や緊張感、あるいは問いの発見がない。虹がかかるような予定調和的な筋書きにうっとりというかこっくり眠気に包まれる!
恩讐の彼方に
こどもの頃の記憶って強い。うちの母親も、ずーっと昔の恨みごとを言うし。ボケてくれば、そういうのもだんだん消えていくのだろうか。樹木希林は本当にうまいわー。
伊上のわだかまりもくすぶってる。本当は親にも事情があるし、こと細かに説明しないだけなんだけど、一度もつれると修復できない。もやのかかった母の記憶の中に、浮かび上がる詩。魂が浄化された一瞬だった。
自然の描写が、しっとりと美しい。日本の四季は、ほんとにきれいだ。
蛇足だけど、作家先生の周りは、やはり学のある人が集まるのか、話すことが高尚。娘たちも高い教育を受けて、大事に育てられたお嬢様って感じだし、奥さんも賢くて器の大きな、よくできたお方。あと、秘書さんの切れ者ぶりもすごかった。下働き役の真野恵里菜が、まさか手鼻をかむとは。かわいいだけの女優ではない、根性を見せてもらった。
女優 樹木希林
老いた母親の八重(樹木希林さん)が呟いた言葉に、息子の人気作家伊上(役所広司さん)嗚咽する姿に涙した。
樹木希林さんの実の娘、内田也哉子さんが映るシーンが印象的。
樹木希林さん、役所広司さんお二人の演技が秀逸。
-お母さん…と…渡る海峡。だけど、僕の一番好きなのは、地球の何処にもない小さな海峡。お母さん…と…渡る海峡…。
NHK-BSを録画にて鑑賞
見事な樹木希林の演技
役所広司扮する新聞社を辞めて作家になった伊上洪作は、子供の頃は捨てられた様なものだと思っていた。父親が亡くなり、宮崎あおい扮する我が娘琴子の反抗心を見ながら家族とはと考えていた。樹木希林扮する半ばぼけて香典帳を気にする母。気まぐれに機嫌が良くなったり訳の分からない事をしゃべったり。相手をするには一にも二にも根気かな。それでもいつか別れが来る。樹木希林の見事なぼけ演技と、宮崎あおいの清涼剤が効いた作品だったね。
良い❗ 再見に耐える。
昨夜テレビ放送で三回目。
良い。
相米監督以来の長大ななが回しで、
NGだめよの緊張感は、毎回舞台を見るよう。
だから面白いのか。
クライマーズハイも
駆け込み女も、
みんな面白い。映画五十年のわしのオススメ。
蛙顔
秀作だろうけど。
小津へのオマージュらしいが、物語と演技を削いで剥き身にする異様を小津らしさとするなら、
意外と長いお話の年月と役所の(巧いがどうしてもの)熱演は頂けぬ。
だから私は好まぬのだろう。
で、樹木と宮崎は(蛙)顔が似ている。
そばがき
主人公、洪作(役所広司)が、母校の校庭で「この遊動円木で詩を書いたことがある」と琴子(宮崎あおい)に話すが、詩の内容が思い出せない。
これが伏線になっている。
その詩を母が唐突に諳んじる場面がある。
ぼけてしまった母が、その詩の切れ端を後生大事に懐中しており、かつ丸暗記しており、よどみなく詠う。
洪作は、堪えきれず、ドッと泣き崩れる。
それは観る側も同様である。
白眉だった。
もう一つ。
紀子(菊池亜希子)の出帆のデッキでの妻との会話。
……海を渡るときは、もし沈没すれば、一家が途絶えてしまうから、それじゃご先祖様に申し訳ない、だから長男だけは残したのだ……、ということを、結婚式のとき母から聞いた、と話す妻(赤間麻里子)。
洪作は驚いて「おまえそれを知っててなぜ俺の(母に捨てられたという)言い分を修正しなかったんだ?」
「あなたが聞き分けよくなったのはつい最近ですよ……あなたは捨てられたと思っていて、いいんです。素晴らしい小説書いて下さるのだから」
洪作は何十年間も、捨てられたと、母を恨んできたのに、妻からサラッとそんなことを話され、啞然としてしまう。
母に捨てられたという反骨心が、洪作に小説を書かしめる、ということを妻が知り抜いていたからこそ、それを何年も、自分の中だけにしまっておいた、の構図。
かしずくだけの腰元みたいな妻にしか見えなかったのに、しっかりと計算高く洪作を支え、扶けていたという、妻のしたたかさが判明する場面だった。赤間麻里子の、ぜんぜん目立たない名演だった。
樹木希林と役所広司は言うに及ばず、ほか原田組みんな名演だったが、個人的に登場場面もセリフもちょっとだけの真野恵里菜が印象的だった。
湯ヶ島の下女、貞代。
ひどい伊豆弁で泥だらけの田舎娘。
出たかと思えば消える野生っ子で、片っぽの鼻孔ふさいで、ふんっと鼻屎を出すのが癖。天真爛漫で、魅力だった。
──意外なところに意外な人。
駆込み女と駆出し男の松本若菜みたいな隠し味が原田映画の巧味だと思う。
序盤の率直な感想は、いい暮らししてんなあ、というもの。
60年代の上流階級の人々の暮らしぶりが再現されている。
「巨人・大鵬・卵焼き」と言われた時代。
わたしはもっと後の世代だが、70年代も80年代も、井上靖はずっと流行作家だったと記憶している。築かれた財には頷けるものがあった。
海辺のリゾートホテルでの家族旅行。昼間はゴルフ、ディナーで生バンド演奏。吹き抜けのエントランスホール、バーがあって、ビリアード場があって。
60年代の車輌、松原の海や神代杉の境内、世田谷の本宅に軽井沢の別荘、投光機のあるテニスコート。どこで撮ったのかわからないが、どのシークエンスもまるでほんとうの昔のように綺麗だった。
その佳景のなかを、母が亡くなるまでの10有余年の経年とともに、壊れゆく母とともに、徐々にドラマに呑み込まれた。
普遍的な話だが、より美しくしているのは60年代だと思った。
やや短絡な言い方だが、そこはまだ夢や希望があった時代──なのかもしれない。
すれ違った母の想いと息子の想い
樹木希林さんの演技が圧巻でした。「しろばんば」や「夏草冬濤」で描かれていた勝気で厳しくユーモアからかけ離れた八重と樹木希林さんの印象は私の中では少し異なるものではありましたが、程よく力を抜いたような演技なのか地なのかわからない樹木さんの演技は私の中の八重像を変えていきました。
親に捨てられたとずっと思い続けていた洪作と戦中の混乱の中、実父の妾であるおぬいばあさんに洪作を預ける決断をしなくてはいけなかった八重。洪作が八重の本当の気持ちを知った場面は涙目なしでは見れません。
洪作が幼少期に過ごした湯ヶ島とおぬいばあさんや本家との関係、その時の洪作の目に映った八重や家族の、青年期に過ごした沼津での様子がもう少し丁寧に描かれていたらより良かったです。登場する人たちの会話の中で触れてはいましたが、「しろばんば」「夏草冬濤」を読んでいない人にとっては、洪作と八重の関係や想いを知るには十分ではないような…。
全67件中、1~20件目を表示