飛べ、ペンギン

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飛べ、ペンギン

解説

韓国の女性監督イム・スルレが、市役所に勤める人々とその家族の日常を繊細なタッチで描いた群像劇。9歳の息子に英語教育を強制する教育熱心な母親、早期教育のため妻子を海外留学させた寂しさに苦しむ中年男性、同僚たちにベジタリアンであることをからかわれる新入社員など、さまざまな人間模様を通し、韓国社会の抱える問題を浮き彫りにする。2010年の「真!韓国映画祭」にて上映。

2009年製作/110分/韓国
原題:Fly Penguin
配給:「真!韓国映画祭」配給委員会
劇場公開日:2010年2月27日

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映画レビュー

4.0名古屋からスタートした“真・韓国映画祭”

2010年3月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

“真!韓国映画祭”
2月27日(土)~3月19日(金) ポレポレ東中野

『飛べ、ペンギン』
『今、このままがいい』
『空を歩く少年』
『ビバ!ラブ』の全4作品を
上映後の監督ティーチイン付きで鑑賞してきました。

◇    ◇

この映画祭のきっかけは
あいち国際女性映画祭のディレクターも務める
名古屋シネマスコーレ支配人、木全純治氏が、
釜山国際映画祭参加時に、日本で公開されていない
韓国映画にも良い作品が、たくさんあると気づかされ
キノアイやシネマコリアと共同で、今回この4作品を選び開催されることになりました。

だから、よくありがちな東京主導ではなく、
昨年12月に名古屋で上映後、今年3月になって東京へ上陸という流れになっています。

ですので、今作と『今、このままがいい』の2作品は
今映画祭以外にも、木全さんがディレクターとして関った
2009あいち国際女性映画祭でも既に上映されています
(この映画祭開催期間中は協賛している映画館の鑑賞料金が
 女性だけ割安になるんですよね。羨ましくて仕方がなかった)。

だから、当日は木全さんだけでなく、
お客様の中にも名古屋からの遠征組がいらっしゃったようで
ティーチインの際「これが2回目の鑑賞」「これが3回目の鑑賞」といった挨拶が飛び交っていました。

当日は雨模様でしたが、それにもかかわらず
たくさん集まったお客さんの中、上映は開始されました。

☆彡     ☆彡

なかなかコミカルでよかったな
男目線と女目線で感想が変わりそうだな

・教育ママ夫婦
・ベジタリアン男性が新任で着任する市役所
・一人韓国に残り、子供2人と奥さんは外国に住む夫婦
・活動的な妻と引きこもりがちの夫、対照的な老夫婦

4つのシーンを、登場人物の人間関係を
緩やかに繋げながら、オムニバス調に話しは進められていきます。

韓国の人権侵害委員会から映画製作を依頼されたとあって
ベジタリアンな人、タバコの問題なども取り上げられていますが、
決して重くならず、あくまでコミカルに描ききられています。

ちなみに作品タイトルの由来ですが、
韓国では、子供を早期留学させたものの経済力のない父親を、
“ペンギンのパパ”と呼ぶそうで、そこから名づけられています。
もう、この時点で、ある意味立派な人権侵害、侮蔑発言ですよね(苦笑)

◇   ◇

男目線で見ると
結構キツイ作品かもしれません。

教育ママは
「息子が英語が苦手だから今日から我が家の会話は英語で」と暴走

ベジタリアン男性は弱々しい(よくいえば優しい)

留学夫婦は、子供は奥さんに頼りっぱなし
奥さんの口からも「あなたは知らなくていい!」旦那さん立場なし

老夫婦は、奥さんは運転免許を取ってしまうほど
活動的なのに、旦那さんは変化に対応しようとせずひきこもったまま

と、総じて
女性が元気で
男性は元気がない。

Sの女性 vs Mの男性

この構図が見事に成立しています。

ただ、冒頭の感想に「よかったな」と
記したとおり、どこのシーンもハッピーエンドで
幕を下ろしますので喜ぶべきかな、男性も救われて終わっています(笑顔)

◇   ◇

個人的には、
ベジタリアンな男がメインになる
市役所の人たちのパートが一番良かったです。

肉はダメ、生ものダメ、酒は一滴も飲めない

職場の先輩に奇異な眼で見られ、いじめられながらも、
肉を食べられなくなった理由を、2人きりになった病院で
知ってからはそんな彼を理解し、サポート。よき同僚になっていく。

ベジタリアン男性と同期入社の女性が
「なんでそんなにいじめるのよ」と抗議を
せんばかりに階段に隠れてタバコを吸うシーンの
挿入されるタイミングも絶妙。このパートが先の
読めぬ部分も多くて、一番楽しかったです(笑顔)

☆彡     ☆彡

現在の韓国社会の縮図を覗けます。

留学一家を見たときには、
キム・ヨナさんの姿が頭をよぎってしまいました(苦笑)

小さなお子さんを持つ夫婦から、老夫婦まで。
腰の重い旦那さんに、奥様から口に出しにくいことを
それとなく伝えるのに、適している作品かもしれません。

まぁ、それ以前に、映画館まで連れて行くのに一苦労しそうですけどね(苦笑)

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septaka
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