三国志のレビュー・感想・評価

　架空の人物・羅平安によって趙子龍＝趙雲の伝説が語られる。最初は兄貴分として色々と趙雲の面倒を見てやったが、将軍・劉備（ユエ・ホア）の奥方と幼き息子を守れず帰還し、趙雲が奪還のため一人敵陣へと乗り込んで勇猛な戦いぶりで息子を助け出す。そりゃいくらなんでも無理だろうという伝説を作ったのだ。

　やがて時は流れ、蜀の五虎将軍のうち、関羽、張飛、馬超、黄忠は命を落とし、いまや趙雲だけが残った。劉備も息子が引き継いだ。そして敵国・魏の都督に曹操の孫娘である曹嬰（マギーQ）が指揮を取る。彼女も架空の人物だ。趙雲は関羽や張飛の息子たちとともに魏の討伐に志願するが、諸葛孔明は老兵よりも息子たちのほうに力を入れる。そして、趙雲には二つの指南書を渡すのだが、結局趙雲はおとりのために孤立させられたのだ。まさしく将棋の駒。完全に捨て駒だったのだ。

　かなり史実とはかけ離れているらしいが、三国が統一を夢見て何代も戦い続けていっても夢は実現しなかったことで戦の虚しさを描いてはいる。ただし、三国志ファンが見たら怒り出すような映画かもしれないし、そもそも三国を描くというより、蜀の趙雲だけしか描かれてない(笑)

　サモ・ハンの裏切り行為というのもちょっと辻褄が合わないような気もするが、むしろ趙雲の心の広さが目立っていたな。それとマギーのカッコよさ。アンディ・ラウのカッコよさは前半の息子奪還のみ。

趙雲子竜、劉備玄徳に仕えた有名な槍の使い手。イメージ的にもっと武骨で大柄なイメージでしたがアンディ・ラウの演技でどちらかというとスリムで戦術家かつ武人というイメージで演じられていました。でも思ったより良かった。今までは三国志といえば劉備、関羽、張飛が主人公の映画はいくつも作られてきましたが、これはその脇で燦然と光を放った常勝将軍、趙雲の物語。脚本的には最期のサモハンキンポーの裏切りは必要なと思います。テンポ、映像ともにいい映画でした。ただ、女性は観ないだろうな（苦笑）