劇場公開日 2009年4月4日

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ザ・バンク 堕ちた巨像のレビュー・感想・評価

全27件中、21~27件目を表示

3.5良質な娯楽映画

2009年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

自ブログより抜粋で。(ほぼ全文)
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 『ザ・バンク 堕ちた巨像』との邦題から原題も『THE BANK』かと思いきや、いきなり『The International』とメインタイトルが映写されて目が点になった。直訳すると“国際的組織”ってことで、裏世界で暗躍する世界的メガバンクとそれに対抗する国際刑事警察機構・インターポール捜査官とを掛けているんだろう。実際に映画を観ると間違いなくこちらの方がしっくりくる。
 100年に一度といわれる今の金融不安に関連づけて世間の話題を煽りたい日本の宣伝部の陳腐な思惑が映画始まって早々にしらけさせてくれてどうなることかと別の意味での不安を煽られたが、映画自体はかなり骨太なしっかりした作りでけっこう楽しめた。
(中略)
 原題どおり捜査のために世界中を飛び回る展開は地味な内容ながらも映画的な醍醐味に満ちていて見応えたっぷり。
 普段ロケハンを仕事としている自分としては映画を観ながらそのロケーションを気にすることも少なくないのだが、本作では久々にそのロケ地選定に惚れ惚れとさせられた。
 ルクセンブルクにある巨悪の殿堂IBBC本部のガラス張りの近代建築や、緊迫の追跡シーンが繰り広げられるイタリア・ミラノの街並み、この映画一番の見せ場となる白塗りのグッゲンハイム美術館、クライマックスのトルコ・イスタンブールに建ち並ぶ屋根。
 色調的には渋いトーンで統一させながらも作品を盛り上げる陰の立て役者となっている国際色豊かなロケ地の数々に映画の背景となるロケーションの大切さを思い知らされる。

 内容自体は安直な邦題から連想されるような金融危機とはほとんど関係なく、金の力で世界を支配しようとする巨大銀行と組織内からも孤立している捜査官との対決を描いた単純明快なサスペンスで、あまりに明瞭すぎてひねりが足りない印象すら感じてしまう。
 また、敵は世界に暗躍する巨大銀行といいながら、その全貌は娯楽映画らしくわかりやすくコンパクトに整理されすぎで、結果的に“底知れぬ怖さ”もスポイルされてしまっており、一部の幹部の首根っこをつかむのに躍起になっている一捜査官という構図しか見えてこないのも物足りなさを助長していると言える。

 とはいえ、要所要所の見せ場でキモは押さえており、ある重要人物の狙撃シーンやそれまでの静かな雰囲気から一転するド派手な銃撃シーンでは小さなひねりが最大限の効果を上げていて思わず身を乗り出しそうになるほど。
 クライマックスに向けての展開も、多くは語らず、観客を信頼した大人な演出に監督の本気度が伺えて、子供だましではない本格的な映画を観た気にさせてくれる。

 観終わってみればそれなりに満足させてくれる良質な娯楽映画だったのに、結局一番ダメダメだったのは、最初に触れたように『ザ・バンク 堕ちた巨像』などという甚だ野暮ったい邦題だったと気づかされる。
 思い出してみれば、主演のクライヴ・オーウェンは、傑作近未来SF『トゥモロー・ワールド』(2006年 アルフォンソ・キュアロン監督)でも的外れな邦題で損をしていた悲しい過去の持ち主。
 こんなごまかしのタイトルで日本のファンを裏切ってばかりでは、無精髭がやたらと似合うオーウェンの渋い顔が、ますますしかめっ面になるんではなかろうかと、いらぬ心配をしてしまうではないか。
 まったく、こんな邦題しか思いつかない宣伝部にこそ“コンサルタント”が必要なんじゃなかろうか。

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かみぃ

4.5ザ・バンク 堕ちた巨像

2009年4月13日
鑑賞方法:試写会

知的

「正義か平和か」の選択だと、主人公は「正義」を取る人って印象の作品。きれいごとでは、悪を壊滅できないって感じ。シリアスでミステリアスなストーリー。なかなか見ごたえありました。人間の欲の前には、正義はなかなか太刀打ちできませんね。

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mimi0704

4.0これほどド派手じゃないにしろ、ありえそ~で怖いっ!!!

2009年4月12日
鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

国際的なメガバンク陰謀の社会派サスペンス・アクション。
このテの映画・・・好きなんですよぉ~私!!!
・・・っなのにっ
インターポールだのCIAだの・・・って色々な組織絡みで
たくさんのキャストが混ざり合うと
正直なところ、イマイチ意味が解りません(泣)
ごめんなさいっ^^;
もっと良く理解していれば
かなり面白いかもっ^^
でもアクションシーンは
(特に美術館のドンパチシーン)
めちゃめちゃ迫力満載でコーフンものでした!
ここ、大げさなくらい(笑)
それに、主役のクライヴ・オーウェンよりも
暗殺者の方が
目立ってかっこよかったのは私の気のせい???

利益のためならどんな手でも平気で使う企業・・・
闇に隠れた陰謀が
実際に起きていてもおかしくない世の中!
マジで怖い話です(>_<)

      4月9日MOVIX伊勢崎にて観賞

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ゆりこ

4.0「ザ・バンク」、人間が創った企業という欲望の塊

2009年4月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

ある銀行の不正取引きを追い掛ける
インターボールのサリンジャー捜査官(クライブ・オーエン)と
ニューヨークのエラ検事(ナオミ・ワッツ)は
追い掛ければ、追い掛ける程、
巨大な力に踏みつけられそうになる。
それに対抗するために取った最終手段とは。

銀行という組織が成長を続けるため、
他社と差異化しなければいけないのはわかる、企業戦略なのだから。
だからといって、何をしてもよいというのか?
ダーティーな戦略に手を染めた銀行と取引きをする他国籍企業も
汚れていき、悪がモタレあった社会システムが出来ていく。
そんな社会に異議を唱えたとしても
個人の力など無力なのだ、とこの映画は語る。

悪のボスですら、権力を保持できるのは組織の中だけの話しで、
個人になった時には、か弱い一個の人間になりさがり、
組織はまた他の新しいボスを作っていく。

企業という組織に入って行くと、人間の性根が変わってしまうのは、
何故だろうか。

そんな虚しさを残してこの映画は終わっていく。
そんな映画に、最高評価を与える訳にいかない。

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カサキショー

3.0時事問題を絡めたエンターメントアクション

2009年4月8日
鑑賞方法:映画館

単純

興奮

一言でいえば、期待度どおりの映画でした。
それ以上でも、それ以下でもないといったらいいのでしょうか。

美術館での銃撃戦は、確かに迫力はありましたが、
なんでこんなとこで、こんな展開になるの?
と思ってしまいました。

あまり考えず見るなら、それなりに楽しめる映画であると
いえるでしょう。
時事問題をちょっと絡めたエンターテイメント系のアクション映画
ですね。

主演のクライブ・オーウェンは、男らしいといえば
聞こえはいいけれど、ちょっとムサイ感じで、
愛嬌といったものが感じられなかったですね。

僕のフェイバリットであるナオミ・ワッツは、
それなりによかったです。(甘いですが・・・)

子供を産んですぐ出演した映画らしく、体調を気遣いながら、
与えられた役の中で、それなりに、目一杯演技しているといった
印象でした(笑)。

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xtc4241

5.0意外なところから出現したヒーロー誕生編

2009年4月7日
鑑賞方法:映画館

興奮

原題「The International」というと、以前なら社会主義思想の労働者の政治組織なのだが、ソビエトが崩壊した以降の現在に「The International」と言った場合は誰になるのか?それが邦題の「ザ・バンク」となるのだろう。国際的なメガバンクは“メガ”ゆえに、ほとんどあらゆる国の政府機関に『国際的』な影響力を持ち、通常の法律の元での言及は握りつぶされてしまう。
そんなドン詰まった所を突破する主人公の姿は、ゴッサムシティを取り締まるマスクの自警ヒーローに重なる。
「ザ・バンク 堕ちた虚像」といういかにもポリティカル・サスペンス然としたパブリック・イメージを蹴散らすように、主人公はバカみたいに強大な敵に立ち向かい、マシンガンで相手を蜂の巣にする。
そしてラスト近くの“決断”はまさに『ヒーロー』誕生の瞬間である。
近年、良くも悪くもマジメくさったアプローチで描かれるアメコミヒーローに対して、逆側から「Why So Serious?」と超然的なヒーロー像を提示してみせた傑作。

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samurai_kung_fu

4.0クライマックス近くの銃撃戦が見もの

2009年4月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2008年9月のリーマンショック以降、世界経済は低迷しているところですが、世界的な銀行の裏の姿を描いたフィクション。荒唐無稽な感じもしますし、巨大金融機関の破綻が、これだけ世界中に重大な影響を与えている事もあり、「実は裏では・・・」と勘繰りたくなる感じもします。

クライヴ・オーウェンが、ややアウトロー的雰囲気もあるインターポール捜査官を見事に演じています。で、そのインターポール捜査官と協力してIBBCの裏の顔を暴こうとしているニューヨーク検事局の捜査官(本当は検事だと思うんだけど・・・)をナオミ・ワッツが演じています。

この映画は、俳優陣の演技力と言うところよりも、そのストーリーの複雑さと、映画のクライマックスのニューヨークのグッゲンハイム美術館での銃撃戦が見物です。映画なので、当然フィクションであって、壊れたように見えるものは映画の撮影用の物品の筈なのですが、それでもあれだけ派手に銃撃戦が行われ、館内の“展示品”や“調度品”、“美術館の建物”に“弾痕”が付いたりすると、「大丈夫かなぁ」と心配になってしまいます。

物語の最後は記しませんが、スッキリとする最後では有りませんとだけ書いておきます。出演者のセリフにもあるのですが、代わりはいくらでもいて、物事の本質的解決は困難・・・と言うより、無理なのかも。でも、エンドロールには、少しは正義の希望の火が見える感じもします。

映画での、ルクセンブルグの描き方が、世界的な金融市場における同国の評判を表している感じですね。実は、ルクセンブルグは、スイス以上に銀行は秘密主義と言う話もありますから。

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勝手な評論家