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◆次郎長三国志

中井次郎長のカラー版"座長芝居"に魅了されるが……
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  浪花節でも有名な侠客・清水次郎長の魅力は、大政・小政・石松らちょいとワルな子分たちを束ねることができた器量の大きさ、すなわち義理の堅さと人情の深さにある。彼は、男から男惚れされるほどの器の持ち主だ。ある意味、ちょんまげ時代劇を野球ドラマに変えると、「ROOKIES(ルーキーズ)」の川藤幸一先生(佐藤隆太扮演)にも似ている。

  マキノ(津川)雅彦監督の叔父貴であるマキノ雅広監督が東宝で撮った白黒版「次郎長三国志」の大ファンとして今回、素直にカラー化されたことはうれしい(旧シリーズが専門チャンネルなどで放映される機会が増えた)。しかも、中井貴一演じる次郎長は、旧版の小堀明男に負けず劣らずの男っぷりで、NHK大河「武田信玄」で主役を張ったほどの"座長芝居"を魅せる。次郎長にからむ鈴木京香のお蝶、木村佳乃のお園も、それぞれ若山セツ子や越路吹雪に匹敵するあでやかさだ。

  だが、 巨匠マキノ監督(叔父の方)が提唱した映画の大切な三要素「一スジ、二ヌケ、三ドウサ(演技)」の一と二がどうも弱く、TV時代劇2、3本分を見た程度の満足感しか得られないのが残念だ。いわゆるマキノ調の"の"の字を描くような流麗な所作からかもし出される情感(エモーション)が薄いのだ。ちょんまげ時代劇に吸引力がなくて動員に四苦八苦している現在、この映画が「作られる意義」について、大多数が疑問を感じる気がする。

(佐藤睦雄)


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