劇場公開日 2009年1月24日

「煮えきらないテーマに考えされられる。」誰も守ってくれない りんごえんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5煮えきらないテーマに考えされられる。

2014年9月14日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

刑事(佐藤浩市)と女子中学生(志田未来)の想いが交錯するなかストーリーが進む。現代のインターネットでの情報の流出の問題や、顔が見えないインターネットならではの、痛みを感じず、まるでゲームでもしているかのような行き過ぎたイタズラに振り回される。その辺りを色濃く反映した物語。

苦汁を飲まされ続けるがじっと我慢をし、それが運命だと言わんばかりに、命令に逆らえない刑事、佐藤。志田は、兄が人殺しをし、兄が逮捕された日に母親が自殺をしてしまう。父は、兄を勉強という檻に閉じ込め、志田はそんな父のことを嫌っている。というかなり暗く重いかせを背負わされ、更には恋人にまで裏切られるストーリーは、観ている側にも重苦しさを感じさせる。

その中で、凡人の刑事とのやり取りはなにか爽快感に欠ける。が、これがリアリティなのだとも思う。スカッとはしないが、どこか現実味を帯びているストーリーは、社会にひと石を投じるのにはちょうど良いと感じた。

警察が容疑者の家族を保護することに対する考え、対応がたんたんと、中立で描かれ、何が良い、悪いの話ではない。

ラスト、志田との心の繋がりが佐藤の明るい未来を暗示させるような終わり方は好感が持てる。

欲を言えば、柳葉敏郎と石田ゆり子の夫婦をもう少し丁寧に観たかった。過去、佐藤が関わった事件で我が子を亡くし、警察や容疑者、そしてその家族に対する熾烈な感情が描かれている。だが、少ないシーンでの表現になっており、怒ったり、悟ったように冷静になったり、許したり、とちょっとせわしない感じを受けた。良い芝居なのだが、そこは今回のテーマを真正面にとらえるため、深堀するわけにはいかないのだろう。都合上必要だからせわしなく踊ってもらったのかもしれないが、じっくりと見たかった。

りんごえん