劇場公開日 2009年1月24日

「親が守りたかったものとは。」誰も守ってくれない ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0親が守りたかったものとは。

2009年1月31日

悲しい

怖い

難しい

この歳になるともう「誰も守ってくれない」どころか、
「誰も見向きもしてくれない」毎日であるが…^^;
その分、誰かを守らなければ。という責任の日々でもある。
今作を観ていて思ったのは、ことさら子供に対する親の責任。
厳しく育てればいいってもんじゃない。
自由にさせるのがいいってもんでもない。
最低限の社会ルールを教えると共に、自分がその手本となって
どんなに辛いことがあってもそれに耐えて生きていける強さと、
小さなことにも幸せを感じられるしなやかさを持たせることが
自分では大切だと思っている。(…できているかは別としてx)
勉強出来たところで人間はナンボ。心と身体の健康がまず第一。

だから今作のように、
加害者側も被害者側も「子供」だということは辛くて仕方がない。
マスコミや闇サイトの過剰反応も、最近では大いに問題だが、
そういう恐怖から守る以前に、もっとできたことがあっただろう?
(佐藤浩市刑事の過去ではないが、悔いても元には戻らない)
そんな事ばかりが頭でグルグルしてしまう内容であった。

昨今ではこういう事件が珍しくなくなった。
加害者宅も被害者宅も報道陣でいっぱい、TV各局が中継し、
過去の写真やビデオを流し、見ている側の怒りと哀しみを誘う。
誰がこんなに短時間で集めたんだ?と思うほどである。
その裏で、警察はこんな動きをしていたのか。勉強にはなった。
でもこれは「守る」という名目で「供述をとる」「証拠をあげる」
目的にも繋がっているわけで、べつに美談ということではない。

佐藤浩市&松田龍平は、これに先立って放送されたドラマでも
絶妙の演技を魅せており(こっちのが個人的には好きだった)
互いが抱える問題点を「背筋が凍る」と見事な表現をしていた。
でもいちばん心に残ったのは、
最後に二人が訪れるペンションのオーナー役だったギバちゃん。
我が子を失った親の哀しみを(言葉以外で)表現しつつ、
翌朝のキレる演技では、それを前面にぶちまけた。彼の後悔は
我が子を「自分(親)が守ってやれなかった」ことと
「警察がついていながら、守ってくれなかった」ことへの憤り。
加害者の妹を保護する立場の浩市刑事にぶちまけてしまうのは
理不尽だとしても、これこそは本当の親の理なんだと思った。
残念ながら、加害者側の家族には全くそれが感じられなかった。
というより、ほとんど描かれていなかったが…。

今時の中学生は、まぁ志田未来が演じてなくても^^;あれくらい
ふてぶてしく、生意気なもんだと思う。しかし自分自身を
ああやって出せているだけでも、まだ救いがあると私は思った。
「助けて」と叫んでいる兄の声に、どうして両親(せめて母親)が
気付いて守ってやれなかったのかと思うと、悔しくて涙が出た。

(いきんだら力をぬく。子供にも、いい呼吸法が必要な時代か。)

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ハチコ