イン・ディス・ワールド

劇場公開日:

解説

アフガン難民の少年がパキスタンからロンドンにまで亡命する旅を描いたロード・ムービー。監督は「24アワー・パーティ・ピープル」のマイケル・ウィンターボトム。脚本は「ラスベガスをやっつけろ」のトニー・グリソーニ。撮影は「24アワー・パーティ・ピープル」のマルセル・ザイスキンド。出演は難民キャンプで発見したジャマール・ウディン・トラビ、エナヤトューラ・ジュマディンほか。2003年ベルリン映画祭金熊賞、エキュメニック賞、ピースフィルム賞受賞。

2002年製作/89分/イギリス
原題:In This World
配給:東芝エンタテインメント
劇場公開日:2003年11月15日

ストーリー

パキスタンの難民キャンプで育った孤児のジャマール(ジャマール・ウディン・トラビ)は、従兄の青年エナヤット(エナヤトューラ・ジュマディン)と共に、親戚のいるロンドンへ旅立つことになった。まずはバスでクエッタに行き、そこからトラックでタフタンへ。そしてファリド(アラー・バウシュ)という怪しげなエージェントに会い、トラックでイラン国境まで。そこでイラン人のベールーズ(ホサイン・バゲイアン)と出会い、人目につかないよう新しい服を与えられる。イランからはバスでテヘランに向かおうとするが、検問所で引っ掛かり、軍人たちと共にパキスタン国境に戻されるハメに。その後、タフタンに戻った二人はファリドと再び出会い、金を払ってトラックでイランまで行く。疲れ切っていた二人だったが、やがてバスでテヘランに到着。国境の村ヤクーでは、優しいクルド人のもてなしを受ける。そしてトラックでイスタンブールへ。そこで二人は、金物工場で臨時の仕事についた。次は貨物輸送用コンテナに入り、船に積まれてイタリアのトリエステに移動。そこでジャマールは、女性のバッグを盗み出し、その金で列車に乗って、フランスのサンガト難民キャンプに向かう。そこでロンドンのレストランで働いていたユシフ(ナビル・エルアービ)と知り合う。彼と共にロンドンに向かう決心をしたジャマールは、トラックの車体の底に身を隠し、無事ロンドンに到着。カフェで皿洗いとして働くことになった彼は、神殿の前でそっと祈りを捧げるのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

4.0難民問題

2019年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 世界で1450万人の難民。そのうち500万以上がアジアに集中し、100万人がペシャワールに住んでいる。この映画は、難民問題に真摯に取り組んだ監督の勝利だ。

 実は予習無しで観てしまい、見事にだまされました。あくまでもドキュメンタリータッチにこだわった撮影のおかげで、ずっとドキュメンタリーだと思ってしまったのだ。恥ずかしながら、「ドキュメンタリーなのに人が死ぬのをだまって見過ごすのか!!」と真剣に考えてしまったり、前半部分で二人がイランからパキスタンへと引き戻された時にも映画のスタッフに怒りをも覚えたオバカさんでした。

 それにしてもこの監督は現実と虚構の微妙な空間を表現するのが上手いです。『ウェルカム・トゥ・サラエボ』では、どちらかというとその両者の架け橋のせいでイマイチのめり込めませんでしたが、今作は成功しています。この映画の唯一の弱点は、ある程度裕福な難民を扱ってるということで、実際にもっと悲惨な大多数難民を上手く取り入れれば、更に素晴らしい映画になったに違いない。ジャマール少年の寒いギャグも素晴らしい・・・

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kossy

3.5リアリティと世界と少年

2016年1月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ナレーションや地図の演出がドキュメンタリー的で、2人の旅が実際にあった話のように感じられる。
エナヤットの、少年のような純粋さと、たまに出る大人びた表情が、自然な彼の特性と、求められる特性が、入り混じっているように思える。
ラストの故郷への電話でのジャマールの表情が、もはや少年とは噛み合わない深さを感じられ、願いが叶わない残酷さを表しているようだった。
誰かが世界から取り除かれてもこの世界は、止まらない。ジャマール個人も止まることはできず、それは生きるための手段である。

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あきら

3.0初めて見る世界

2013年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

知的

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Chemy

4.5リアルな映像が全てを語る

2012年3月24日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

難しい

たくましく希望にしがみつく少年の"生"の旅に視覚的な小細工やナレーションなど必要無い。
作品はただただ2人のロンドンまでの道筋を淡々と映し出す。
「百聞は一見にしかず」、伝えたいことはドキュメンタリータッチの映像が全て語る。
フィクションでありかながらも圧倒的に事実に近い難民の現実をありのままに映すことで、この作品は映画として、伝える道具として大きな力を持つ。
自分たちに何が出来るか分からなくても、ただ知ることしか出来なくても、無関心よりはずっと意味のあることだ。

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keita