魔王(1996)

劇場公開日:

解説

「ブリキの太鼓」の巨匠フォルカー・シュレンドルフがさらに壮大なスケールで再び贈る、美しく残酷な戦争叙情詩。名優ジョン・マルコヴィッチが、子供の心のまま大人になってしまった主人公アベルを熱演。ヴェネチア国際映画祭ユニセフ賞受賞作。

1996年製作/118分/ドイツ・フランス・イギリス合作
原題:Der Unhold
配給:ケイブルホーグ
劇場公開日:2001年9月8日

ストーリー

1939年、パリ郊外。教師やガキ大将の言いなりになってしまう内向的なアベルは、巨漢の親友ネスターにいつも守られていた。しかし、ふとしたいたずらから彼らの寄宿学校は火事になり、ネスターは死んでしまう。成長したアベルは自動車修理工となり、天使のような美少女マルティネと出会う。2人の間にはほのかな友情が生まれたかに見えたが、彼女の理不尽な嘘によりアベルは強姦罪で摘発されてしまった。おりしも戦時中のため、アベルは刑務所ではなく前線に送られることになる。すぐにドイツ軍の捕虜となるが、目立たない存在のアベルはこっそりと抜け出しては、森の中にある小屋で自分の世界に浸っていた……。

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映画レビュー

4.0そして、ハンターになる

2021年7月16日
Androidアプリから投稿

聖クリストフォロスの伝説を下敷にした
フランス人アベルの物語

母国ではあまり良い体験がないのだが
戦争でドイツ軍捕虜になってからの
彼の体験は 彼の目線から見ると冒険的、幻想的

将校フォレスター、ゲーリング元帥
SS将校ラオファイゼン、カルテンボーン伯爵と
彼が仕える相手は色々

フォレスターには動物との
ラオファイゼンには子供との親和性を見いだされ
活用される

特に後者の目的は少年のスカウトで
アベルの勧誘が誘惑に、そして誘拐になってゆく処が 怖い
(レーベンスボルン)

虐められた母国の学校より
規律正しく美しい軍学校に魅了されてしまうのは
凡人としては ちょっとわかる気も
現実世界にワンクッション置いたような彼の人生観が
妙にナチスとシンクロしてしまう

ゲーリングの狩猟ロッジやハンティングの様子も
残酷だが甘美
ついに魔王と呼ばれるようになった
ドーベルマンを引き連れ、馬に乗るマント姿の
アベルも幻想的
そして子供をさらう(ハンティング)

最後にユダヤ少年を担いで戦場を突破してゆきながら
クリストフォロスのことを思い出す

東プロシアの森で
善悪の境界をさまよい続けるアベルを
マルコビッチが演じていてハマリ役

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jarinkochie
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