歓びの毒牙

劇場公開日:

解説

旅先で謎の連続殺人事件にまきこまれた男の冒険を描くサスペンス・スリラー。製作はサルヴァトーレ・アルジェント、監督・脚本はダリオ・アルジェント、撮影はヴィットリオ・ストラーロ、音楽はエンニオ・モリコーネ、編集はフランコ・フラティチェリが各々担当。出演は「ある戦慄」「ラスト・ラン」のトニー・ムサンテ、「密室」のスージー・ケンドール、エンリコ・マリア・サレルノ、エヴァ・レンツィなど。日本語版監修は野中重雄。テクニカラー、クロモスコープ。

1969年製作/99分/イタリア
原題:The Bird with the Crystal Plumage
配給:フォックス
劇場公開日:1971年10月26日

ストーリー

作家サム・ダルマス(T・ムサンテ)は頭を休めるため風光明媚なイタリアへやってきた。そこでありついた仕事の原稿料を受けとってアパートへ帰る途中、ある画廊で男女が格闘しているのを目撃した。女を助けようとしたサムは男をとり逃し、逆に嫌疑がかかって旅券をとり押えられた。刺された女モニカ(E・レンツィ)は画廊のラニエリ(E・M・サレルノ)の妻で、命に別条はなかったが四人目の犠牲者であった。そして不思議なことに四人ともブロンドばかりであった。疑いのはれたサムはガールフレンド、モビタ(S・ケンドール)に会い、事件の模様を話した。不審な点の多い事件が続き、サムは本格的自主捜査に入った。その間にも第5番の事件が起りサムは二度も奇妙な服装をした男に襲われた。たった一つ掴んだ手がかりは無気味な鳥の鳴声であった。帰国の予定も六番目の殺人で変更したサムは、鳥類学者ドーバーから珍らしい鳴声の鳥はローマの動物園にいる羽が水晶のように透きとおった珍鳥らしいと聞いた。この奇鳥の大きな鳥篭のすぐ後に壁があり、その向うのアパートにはラニエリ夫妻が住んでいた。乗り込んだサムは、ナイフを手に妻のモニカを殺そうとするラニエリをみた。気を失ったモニカはドーバーとモビタに救い出され、ラニエリは窓からとび降り自殺した。突然姿を消したモニカを追ったサムは無惨に殺されたドーバーとモビタを発見した。犯人はモニカだったのだ。最初の格闘はサムの見誤りだった。モニカは逮捕された。彼女は十数年前、醜悪な暴漢に襲われ、恐怖のあまり発狂し、そのあと見た女が男を殺す光景の絵に引き込まれるように、ブロンドの女を殺し始めたのだった。

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映画レビュー

3.5すでにアルジェント

2018年9月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

ダリオ・アルジェントのデビュー作。1969年の作品。
後にイタリアン・ホラーの名匠と言われるが、こちらはサスペンス。

ローマで美女ばかり狙われる殺人事件が続発。
アメリカ人作家が画廊で美女が何者かに襲われる場に遭遇。警察に疑われる中、独自に事件を調べる…。

思わぬ真犯人ではあるが、他愛ないっちゃあ他愛ない。
犯人探しより、アルジェントならではのムード。
ウィンドウガラス越しに事件を目撃する無音の導入部、シルエットの犯人…凝った画作り。
耽美的な映像や、猟奇サスペンスではあるがホラー風雰囲気など、すでにこの頃から確立されている。
話も見易くサスペンスとして普通に面白く、モリコーネの音楽も秀逸。

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近大

5.0毒牙

2011年11月9日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館、DVD/BD

怖い

興奮

知的

当時、西ドイツの映画産業は疲弊しており、作品製作をイタリアに頼りきっておりました。
そんな中、新たに白羽の矢が当たったのがダリオ・アルジェント!
とてつもない作品を引っ提げ華々しいデビューを果たしました。
その作品がこれ😂。

本作はフレドリック・ブラウンの推理小説「通り魔」がベースになっています。
この一冊の小説を譲った人物こそ同イタリア監督のベルナルド・ベルトリッチ。
自らも映画化を目論んでいたベルトリッチだったのですが、デビューの決まったアルジェントに委ねたそうです。
しかし、作品の映画化権が高価だった為、アルジェントは小説の骨格だけを利用し、本作の脚本を膨らませていきました。

こうして出来上がった本作ですが、とても小説を元に書いた脚本が主軸になっているとは思えない映像表現のオンパレードです😓

映像による情報とテクニックだけで物語を進行させる手腕は初監督の域を軽く越えています‼

特に、ガラス扉に挟まれ身動きを封じられ、為す術もない主人公が、最初の事件現場を目撃するシーンは実に映画的‼
他の表現媒体では絶対お目にかかれない代物です‼

また、撮影に対する最新技術への関心も高く、犠牲者の喉の中へカメラが入っていくショットでは医療用の胃カメラまで導入しておりました😅
かなり吃驚できるショットです(笑)

この様に映画的表現に満ち溢れた傑作なのですが、会社側は難色を示したそうです😨

「もっとヒッチコックばりにしろ❕」
と、怒鳴るプロデューサー😓

言うに事欠いて、そりゃないでしょ💦
と言いたくなる様な台詞ですよね😢

ハウダニット(いかに殺すか)に拘ったアルジェントに対して、フーダニット(誰が殺したか)に拘る作品を作れだなんて無理❕

しかし、公開して事態は一変。
地方での口コミも手伝って、映画はヒット❕
米国でもかなりの興行成績を弾き出したのです😂

こうした結果を受けて、口をつぐんだプロデューサー。

ところが、周りの映画製作者達が口々に騒ぎ始めました。
「あれと同じ作品を撮れ❕」
……😓

こうして、殺し方に拘るイタリア産ミステリー、ジャーロの骨子は出来上がったのです😅

70年代イタリアで大量生産されたジャーロが80年代のスラッシャー映画に多大な影響を与えました。

その礎にアルジェントが加担していると思うと少し複雑です😅

ともあれ、レンタル店では軒並み、中古売買の対照作品にされてしまっているので見つからないかもしれないですが、偶然眼にして、手に取る余裕のある方は一度ご覧になっては如何でしょうか。

但しミステリーファンはNGですよ😅

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かもしだ
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