もだえ

劇場公開日:

解説

「処女の泉」のイングマール・ベルイマンの原作・脚本を「令嬢ジュリー」のアルフ・シェーベルイが監督した、異常性格者の教師とその生徒が一人の女性を中心にくりひろげる葛藤を描いた作品。撮影はマルティン・ボディン、音楽はヒルディング・ローゼンベルイ。出演はスチーグ・イェレル、アルフ・チェリン、マイ・セッタリングなど。一九四六年度カンヌ国際映画祭グランプリ受賞。製作はハラルド・モランデン。

1944年製作/101分/スウェーデン
原題:Hets
配給:イタリフィルム
劇場公開日:1962年9月1日

ストーリー

ヤンエーリク(アルフ・チェリン)は八年制高校の最上級生。この学校に生徒からカリギュラと呼ばれる教師(スチーグ・イェレル)がいた。表面は謹厳だが、その眼鏡の奥には残忍な光が輝き、生徒たちは彼をサディストだと噂していた。些細な過去でヤンエーリクがカリギュラのヤリ玉に上った。学校の前に雑貨屋があり、そこにベルタという娘(マイ・セッタリング)が働いていた。その日の帰りヤンエーリクが店へ寄ると、カリギュラがいてベルタと話していた。家へ帰るとカリギュラが父に電話をかけてきていて、ヤンエーリクは散々叱られた。その夜、親友のサンドマンと映画を見ての帰途、ヤンエーリクは酒に酔ってフラフラのベルタを見つけ、彼女の住居へ送って行った。見すぼらしい部屋、酒瓶とコップがあるだけでベルタが荒んだ生活をしていることが判った。ヤンエーリクが帰ろうとすると彼女は「あの人がまた来るかもしれない、怖いわ」といって引止めた。ヤンエーリクはベルタを愛するようになった。ベルタも酒を止めた。が、彼女は依然だれかを怖れているふうだった。そしてそのだれかとはカリギュラで、彼は秘かにベルタを手に入れ、酒を飲ませ、彼女を責めさいなみ嗜虐的な欲望を満足させていたのだ。卒業試験のすんだ日、ヤンエーリククはベルタの住居を訪ねた。ベルタはカリギュラの忌わしい記憶を逃れるため再び酒を飲み始めていた。その醜体を見たヤンエーリクは絶望して逃げ帰るが、その日から彼は激しい熱病に倒れた。病気が治って学校へ出た日、彼はベルタに会うが逃げるようにして去る。が、気になって彼女の住居へ行ってみると取乱したベッドの上で彼女は死んでいた。そして廊下にカリギュラがいて「ぼくがしたんじゃない!」と口走っていた。ベルタの死因は心臓マヒと認定された。するとカリギュラは急に態度を変え、ヤンエーリクのために彼とベルタとの関係を心配して彼女に彼から手を引くようにと忠告しに行ったところ、彼女は強酒をあおってこの結果になったのだとまことしやかに述べたてた。怒ったヤンエーリクはカリギュラを殴り倒した。そのため彼は退学処分となった。そんなヤンエーリクをよそに、卒業式も終った。父の激しい失望を逃れ、今はベルタの部屋に一人住むヤンエーリクのもとへ校長が訪れ、帰宅を勧めた。ベルタとの思い出の部屋を出ようとしたところへカリギュラがきた。彼は怯えた目つきで校長が来たことをひどく気にした。ヤンエーリクが立去ろうとするとカリギュラは叫んだ。「行かないでくれ!みんなぼくを相手にしてくれないのだ!」と。その声を聞き流し、ヤンエーリクは明るい表へと出ていった。

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