摩天楼

劇場公開日:

解説

「白昼の決闘」「城砦」のキング・ヴィダーの監督作品で、製作は「黄金(1948)」のヘンリー・ブランク、「ラブ・レター(1945)」の脚本を書いたエイン・ランドが自作のベスト・セラー小説を脚色し、ロバート・バークが撮影、「月光の女」のマックス・スタイナーが音楽を担当。「サラトガ本線」のゲイリー・クーパー、「恋の乱戦」のパトリシア・ニール、「失われた心」のレイモンド・マッシーが主演し、「らせん階段(1946)」のケント・スミス、ロバート・ダグラス、「地獄への道」のヘンリー・ハル、「帰郷(1948)」のレイ・コリンズ、「失われた心」のモローニ・オルセン、「花嫁の季節」のジェローム・コウアンが助演する1949年度作品。

1949年製作/アメリカ
原題:The Fountainhead
配給:セントラル
劇場公開日:1950年12月31日

ストーリー

ハワード・ロークは建築技師として天才的な感覚をもつ理想主義者だった。彼は無意味な装飾をもっとも嫌った。そして自分の設計には妥協をゆるさなかった。ロークの天才を認めながら、彼の設計が事業家からうけいれられなかったのは、ロークの理想主義が至るところでトラブルの種となったからだった。彼の唯一の理解者だったキャメロンが死んだあと、ロークは失職の窮亡に追いこまれなければならなかった。ロークの同期生ピーター・キーティングは、これと正反対の道をあゆんで成功をおさめた。キーティングは建築家として傑出した才能はなに1つとしてもっていなかったが、世渡りの才能と顧客への妥協によって、名前だけは一流の建築家となっていた。キーティングはロークの天才を自分の仕事に利用しようとして協力を申し出たが、ロークは気に入らない仕事をするぐらいなら労働者に身を落としても喰っていくという信念を動かさなかった。「ニューヨーク・バナー」新聞の社長ゲイル・ワイナンドは建築学に造詣をもち、自己の建築批評欄を執筆している男だった。「バナー」の建築欄の婦人記者ドミニックがロークの仕事にすくなからず関心をもっているのをみると、嫉妬にかられ、機会を掴んではロークの建築案は机上の空論にすぎないと論難していた。ドミニックはロークの理想主義にうたれ、彼には無断でロジー・エンライトに推薦した。エンライトは近代的な総合アパートの設計をロークに依頼する。ロークの設計は素晴しい出来ばえであった。ワイナンドの腹心の記者トウヘイは「バナー」の編集長スカレットから特ダネ記事を書くように命じられた機会を掴んで、エンライトのアパートの設計を論難したが、ドミニックの反対と、ロークの技術には敵することがてきなかった。しかし、この記事がドミニックとロークの間に誤解を生じ、2人は愛し合いながら別れることになってしまい、ドミニックはワイナンド夫人となった。一方、実力のないキーティングは、自己の名声を保持するために大仕事を引き受けたものの、到底自信をもてず、秘かにロークの力を借りたいと申し出た。ロークは友人のために承諾し、設計変えは絶対にしないという条件で設計してやった。しかし、この約束は破られたため、ロークは建築場に行って爆破してしまった。ロークは裁判に付せられたが、ロークの理想主義はすべてを敗り、無罪になった。キーティングを支持していた「バナー」は名声を失い、ワイナンドは自分の名前を付したビルディングの設計をロークに依頼して自殺した。ドミニックは今こそロークの胸に抱かれる時がきたのだと思った。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0☆☆☆☆ 「服従するか服従させるかだ!」 冒頭のスピード感溢れる展...

2019年11月9日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆☆

「服従するか服従させるかだ!」

冒頭のスピード感溢れる展開には舌を巻いてしまう。
現在の映画ならば、優に15分くらいはかかるだろうと思えるのに。僅か90秒あるか無いかで、一気に観客を作品の世界観へと引きずり込む。この凄さ!

続けざまに、採石場で働くゲイリー・クーパーと。暇を持て遊ぶパトリシア・ニール。
このハリウッドの美男美女を、交互に捉えるショットの連続は。この後に描かれるであろうの愛の行方の予感に、ゾクゾクとさせられる。
この時に鳴り響くマックス・スタイナーの劇伴は、まさにハリウッド黄金時代に相応しい程の派手さでニヤニヤしてしまう。

映画はこの後、延々とこの2人が果たしてくっつくのか?それとも離れるのか?
最近の作品で言うと、『かぐや様は告らせたい…』を豊富とさせ。「なんじゃそれ!」状態になり、「好きだ!」と言ったもん負けだ!…的な雰囲気を漂わせるものの。お互い簡単に愛の言葉を交わし…たと思ったら、また別れてるし。もう訳分からんʅ(◞‿◟)ʃ
…と思ったら。再び「何じゃそれ!」と突っ込みたくなってくる程の時間経過と共に。旦那を交えて会話していたり( ´Д`)どうゆう事だよ本当に。

が…!

楽しいんだなあ〜!この三文恋愛描写が実に( ´∀`)ガハハ

…等と、画面をニヤ付きながら観ていたら。

「寄生する者は権力を欲しがる」

映画は突如として、現在の世界情勢をも予見していた様な批判精神溢れる台詞がポンポンと飛び出して来て。その先見性には再び舌を巻く事になる。

最後は裁判劇になるのだが。何しろ主演がゲーリー・クーパーだけに、『オペラハット』の再現か?等と思ったものの。流石にそれは無し。果たして、究極のエゴイストはどうなるのか?

アララララ〜! そりゃ〜美男美女だもんな〜!(u_u)
ちょっと気になったので、ウィキペディアでこの作品の背景をググッたのだが…。
ゲーリー・クーパーとパトリシア・ニールのこの関係。
いやいやいやいや!読んだ瞬間は思わず椅子からズッコケ落ちるかと思ったぞい!
笑わせるのも大概にせえよ(*≧∀≦*)

それはそれとして。野菜の缶詰事業は辞めておいて正解だったと思うな( ˘ω˘ )

2019年11月7日 国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール O Z U

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松井の天井直撃ホームラン

5.0摩天楼を創った男

2019年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

若かりし頃に既成観念を打ち破られ衝撃を受けた名作である。
先駆者は常に時代の守旧派に芽を摘まれ謂れなき迫害を受けてきた。建築もしかり、華美な装飾、ローマ調を廃し合理的な近代建築の創造を目指す若き建築家の道は険しい。
彼の選択が法廷で裁かれることになる。
弁護人もなく世論は冷たい、最終弁論は本人の信念、魂の声だけであった。
観終わってやはりアメリカは凄い国だと思った記憶が蘇ってきた。
愚かさも崇高さも人の本質である、時代はその鏡に過ぎない。
もっとも未だに女心は理解を越えているのだが・・。

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odeonza
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