パリの旅愁

劇場公開日:

解説

アメリカの小説家ハロルド・フレンダーのベストセラー小説「パリ・ブルース」を映画化したもの。パリを背景にアメリカから渡ったジャズメンたちの恋を描いている。監督は「黒い蘭」のマーティン・リット。脚色は「西部に賭ける女」のウォルター・バーンスタインほか3人。撮影のクリスチャン・マトラ、美術のアレクサンダー・トゥローナーはフランスの有名な技術者たち。音楽はジャズマンとして知られるデューク・エリントン。出演しているのはポール・ニューマン、ジョアン・ウッドワードなど。フランス俳優が多く傍役をつとめている。

1961年製作/アメリカ
原題:Paris Blues
配給:松竹セレクト国際映画
劇場公開日:1962年1月14日

ストーリー

アメリカを去ってパリに住んでいる若いジャズメン、ラム・ボーエン(ポール・ニューマン)と黒人のエディ・クック(シドニー・ポワチエ)は、セーヌ左岸の「クラブ33」で演奏しながら、毎日満ち足りた生活を送っていた。クラブはいつも満員、それに野心に燃えるラムは“パリ・ブルース”というコンチェルトを完成しようとしていたからである。晩秋のある日ラムは世界的なトランペット奏者ワイルドン・ムーア(ルイ・アームストロング)を出迎えにいった。ムーアの手を通じて、完成したばかりの“パリ・ブルース”の譜をレコード王ベルナールに、渡してもらうためである。そのプラットフォームで、彼はアメリカから2週間の休暇旅行にやって来たリリアン・マーニング(ジョアン・ウッドワード)とつれの黒人娘マニー・ランプソンと知り合った。その夜、彼らのクラブにその2人の娘がやって来た。リリアンはラムのトロンボーン・ソロに魅惑されたように心を弾ませた。一方、マニーとエディの心もいつしか静かにとけ合って行った。その日から二組のカップルは美しいパリの街を歩き回った。しかし、この二組の恋は結婚へはすぐに結びつけられなかった。ラムは音楽にすべてを打ちこんでいる。その彼に将来を求めることはできない、とリリアンは考えたのである。マニーにしてもどうしても故国へ帰ろうとしないエディと生活をともにすることはできないのだった。2人の娘はパリにいて苦しむよりはと、帰国を早めることにした。折も折、ラムは、ベルナールから例の譜面を突き返され、絶望につき落とされた。たまたまムーアからアメリカの演奏旅行の誘いをうけた彼は、何年ぶりかで故国へ帰り、リリアンと結婚しようと決心した。しかし仲間の1人がも催してくれた別れのパーティーの後で、深く反省したラムは、やはりパリに残って自分の才能をもう一度試すべきであることに気づき、やはり、リリアンをだまって送るべきだと考えるのだった。二人の娘がパリを去る朝、やはりマニーとの結婚が本当の自分の道であると知ったエディ。リリアンと別れようと決心したラム。それぞれの気持ちを抱いた二人をフォームに残して、汽車は去って行った。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第34回 アカデミー賞(1962年)

ノミネート

作曲賞(ミュージカル) デューク・エリントン
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映画レビュー

4.5ジャズを通して異なった生き方していく二人

2022年1月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

初めはパリの街並みや石畳になっているところが懐かしく、1960年代のパリで芸術が満喫できるのかと思ってみ始めたら、焦点はアメリカのジャズ・ミュージシャン、ラン ボーエン(ポール・ニューマン)とエディ・クック(シドニー・ポワチエ)の恋の物語。この二人、エディーとラムは果たして米国に戻
るのだろうかと思いながら観ていたが、結論がどうなるのか怖くなってしまって、一時停止した。
エディもラムもアメリカ人のガールフレンドを愛しはじめているから、ふたりの揺れ動く様子が目の動きなどでよくわかりハラハラした。 エディのもラムのもことなった課題のある恋愛物語。いいねえ。

ラン(ポール・ニューマン)は最初、駅で黒人女性(コリーン:リリアン・キャロル)にスーツケースを下ろすのを手伝い、その後、朝食に誘うが、断られる。無礼な言い方が気分を害したようで、ランは謝る。ランは彼女に興味があったが、彼女の方が、異人種の男を受け付けないと思えた。彼女は伝統的な黒人のようにも見えるし、米国では当時法律違反になるから無理なのかと勝手に想像した。ここで白人の男性が黒人女性を好きになったら、60年初期に製作された映画として歴史に残る大作になるとも思った。

エディ(シドニー・ポワチエ)は米国に戻りたくないという理由をいつ直接コリーン(リリアン・キャロル)に言うか私は気になった。でもこのガールフレンドは力強いが伝統的な(?)女性でHome Homeで、黒人がアメリカに留まっているからこそ、それが社会を変える原動力になると。黒人は白人と活動して米国は良くなっていくと(確かにロサ・パークのモントゴメリーバスボイコットが1955年だからね。)。しかし、米国社会を徐々に『私たち』が変えていくとも言わないし、米国に帰れば、エディは黒人のミュージシャンとして扱われ、人として扱われず差別も受けるということを本当に理解しているのか不思議だった。エディはフランス人の子供が『blackman 黒人』といっても、自分は黒人だから問題は無いという。コリーンが米国でそう言われたらと。
そして、米国から逃げているという言い方をしているがパリに住む選択をしたと言った方がいと思った。お互いに好きだから文句はないが、エディの邪魔をしないでくれ、彼にパリで自由に生きさせてあげてくれと私は思った。でも、エディの方が彼女に夢中になっていくので、どうしようもないなと思ってみていた。

映画に出ているピアニストであるアーロン・ブリジャース(Aaron Bridgers)やジェームズボードウィン(1948年から)やリチャード・ライトをはじめ、米国の黒人作家芸術家がヨーロッパで生活をしている。黒人でなくてもヘミングウェイなどもヨーロッパにいた。サッチモはあっちこっちで公演していたようで米国が定住の地だ。彼のように有名でも、米国ではジムクロー法があり、南部では自由に白人のホテルに泊まったり、レストランに行ったりできない。『グリーン・ブック』という映画でドン・シャーリーとトニーが一緒に旅をするがこの映画と同じ時代だ。でも、ひとまず、舞台の上では英雄だ。人種はことなるが、エディもラムも米国のジャズが人気があるパリでミュージシャンとして成功したいと思っている。

"Take the "A" Train' (Billy Strayhorn) - A列車で行こう/ビリー・ストレイホーン
これはデュークエリントンの曲だと思っていたが、調べたら、ビリー・ストレイホーンという人の曲だとわかった。アーロン・ブリジャースの恋人であったらしい。

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Socialjustice

3.0デューク・エリントン♪

2018年11月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 トロンボーンのポール・ニューマン、テナーサックスのシドニー・ポワチエ。ギタリストがヤク中で再生の手助けをするニューマン。クラブ歌手の女との関係も冷え切ってしまいそう。そんなときにアメリカから二人の女性がパリに旅行にやってきた。たちまち二組のカップルが誕生するが、アメリカで一緒に暮らすかどうか迷う二人。

 サッチモのゲスト出演も良かったし、デューク・エリントンのジャズが最高なのです。だけど、ストーリーがジャズを感じさせるほどミュージシャンの生活に密着してないように思う。ヤク中のギタリストジプシーだけは雰囲気があるんだけど、ポール・ニューマンのようなにやけた人間がジャズをやるように到底思えない。

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kossy
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