大地震(1974)

劇場公開日:

解説

1970年、ロサンゼルスを襲った大地震をモデルにしたパニック映画。新たに開発されたセンサラウンド方式と呼ばれる、特殊なスピーカーから出る低周音波によって肉体に振動感を与えるシステムが採用されている。製作総指揮はジェニングス・ラング、製作・監督はマークロブソン、脚本は「ゴッドファーザー」のマリオ・プーゾとジョージ・フォックス、撮影はフィリップ・ラスロップ、音楽はジョン・ウィリアムス(2)、編集はドロシー・スペンサー、美術監督はアレクサンダー・ゴリッツェン、特殊装置はアルバート・ウィトロック、特殊撮影はクリフォード・スタインが各々担当。出演はチャールトン・ヘストン、エヴァ・ガードナー、ジョージ・ケネディ、ローン・グリーン、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド、リチャード・ラウンドツリー、マージョー・ゴートナー、バリー・サリヴァン、ヴィクトリア・プリンシパルなど。

1974年製作/アメリカ
原題:Earthquake
配給:ユニヴァーサル映画=CIC
劇場公開日:1974年12月14日

ストーリー

ハリウッド貯水ダムを見下ろすロサンゼルスの高級住宅地に朝が訪れる。建築会社の副社長スチュワート・グラフ(チャールトン・ヘストン)は40を越したばかりの働きざかり。一見何不自由ない暮しのように見えるがグラフには重苦しい悩みがあった。それは妻レミー(エヴァ・ガードナー)と離婚寸前の状態だったからだ。レミーは夫が出世したのは、彼女の父親サム・ロイス(ローン・グリーン)が建築会社の社長で、彼を引立てたからだと思い込み、彼を軽んじてきた。しかも最近になってグラフが、事故で殉職した同社の技師の未亡人デニス・マーシャル(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)と息子のコリーをそれとなく面倒を見ていることを知って嫉妬に狂っていた。震度3の地震が襲ったのはそんな朝だった。カルフォルニアの地震研究所では科学者たちが朝の地震についてデータを調べているうち、途方もない大地震が起こることを予測した。それは2回目の余震後、48時間以内に発生し、そのエネルギーは広島と長崎の原爆を合わせた以上の威力を持つというものだ。ストックル博士(バリー・サリヴァン)が市長に連絡したあと、2度目の余震が起こった。一方、グラフは会社でロイスから社長の座をゆずることを聞かされたが、ちょうどそこに入ってきたレミーの言葉からそれがレミーの差し金だったことに気づき、部屋を出た。レミーがあとを追ってビルの外に出たとき、予測通りの史上最大の大地震が遂にロサンゼルスを襲った。それはまさにマグニチュード8以上の激震だった。グラフは、恐怖のあまり身動きできないレミーを車の下に引きずり入れ、超高層ビルの中の自分のオフィスに駆け込んだ。すさまじい地鳴りと振動で地割れと同時にビルも住宅もみる間に崩れ、火災が発生。ロスの街は一瞬のうちに大混乱に陥った。その頃、デニスは行方不明の息子コリーを探していた。そして水の流れていない河底の砂利の上に気絶しているコリーを発見した。河底に降りたデニスはコリーを河岸の上に持ち上げようとするが手が届かない。その間も切断された高圧電線がスパークしてはねている。ふと見ると水量調節で放流されたダムの水が上流から迫ってくる。もし電流に水が触れたら母子の命はないのだ。ちょうどそのとき、近くでオートバイの曲乗りをやっていたアイルス(リチャード・ラウンドツリー)とサルがデニスの悲鳴を聞いて、かろうじて母子を救出した。放送局の全滅で市当局と市民のコミュニケーションも絶えがちだった。警官ルー・スレード(ジョージ・ケネディ)は混乱を鎮めようと必死の努力を続けていた。一方、ウィルソン・プラザの診療所ではバンス医師が運ばれてくる負傷者の処置に追われていた。コリーは快方に向かい、サム・ロイスは心臓麻痺で死んだ。さらに余震が大地をゆるがせる。さすがのウィルソン・プラザ・ビルも轟音と共に崩れ落ち、地下に収容されていた何百人かが生き埋めになった。救急診療所の出口は完全にふさがれた。ビル構造に精通するグラフは勇敢なスレードと共に早速さく岩機を使って必死の作業にとりかかった。数十分後地下室に通じる穴をあけることに成功した。その中にはデニスもコリーもいた。二人の抱擁を生存者の群れの中でレミーが見ていた。コリーとデニスがまっ先に運び出され、皆は先を競ってそれに続いた。そのとき、またも余震が起こり、ハリウッド・ダムに致命的な打撃を与えた。決潰したダムの水は洪水となってロスの下流の街をのみこんだ。家は木っ端みじんとなって流れ、何百人という人が濁流の中に消えた。ウィルソン・プラザの地下室にいた人たちは殆ど外に逃れたが、一部分の人とレミー、そしてスレードとグラフは最後の救出と脱出に懸命だった不気味な水の流れる音が脱出路の下水溝に聞こえてきた。ダムの洪水があっという間に何人かの生存者をのみこんでしまった。脱出可能なグラフは一瞬とまどいマンホールの上のデニスを見上げた。しかし、グラフはレミーのあとを追って濁流に飛び込んだ。そしてレミーの体を浮かび上がらせようとしたとき、もろくなった天井の一部が二人の頭上に落ち、二人の姿は水の中に消えた。その二人を助けるすべのないスレードは地上にない出た。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第47回 アカデミー賞(1975年)

受賞

音響賞  

ノミネート

撮影賞 フィリップ・H・ラスロップ
編集賞 ドロシー・スペンサー
美術賞  

第32回 ゴールデングローブ賞(1975年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀作曲賞 ジョン・ウィリアムズ
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写真:Album/アフロ

映画レビュー

3.0当時、将来への不安がアメリカを覆っていました それがパニック映画ブームを引き起こしたのです

2020年12月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

思ったよりもましだった
相当ダメダメだったというのが大昔の記憶
何十年振りかに観て、まあちょっとはマシな映画だなと思い直した

前兆の小さな地震は冒頭すぐあります
大地震は中盤に起こります
地震の規模は阪神大震災くらいのものです

それまではパニック映画につきものの群像劇の人物紹介です
後半はそのパニックの中でそれぞれが生き残り、救助される物語です
その物語が余震が続いて被害が拡大していく中、互いにクロスしていきます
夫婦仲の悪い建設会社の副社長、シングルマザー、熱血警官、バイクスタントマン、その妹、スーパーの男性店員、そして彼等彼女等を取り巻く周囲の人びと
脚本はさすがに上手く出来ています

肝心の大地震のシーンはなかなか良い出来です
本作前年1973年公開の日本沈没の地震シーンよりリアリティあるビルの崩壊が展開されます
逆に1980年の地震列島では本作が元ネタと思われるシーンがあります

公開当時は超低音域を特別のスーパーウーハーで響かせることで地震の振動を再現して見せたという音響を売りにしていました
今で言うところの4DXのご先祖様みたいなものです

DVDの音響は5.1 ドルビーなんとかでそれを出来る限り再現して欲しいところですが、メニューには音響のセレクトすらなく字幕の選択だけでガッカリしました
せめて我が家の安物のサラウンドシステムでもビリビリいわせて欲しかったものです

地震パニック映画の始祖といえば、ご存知1936年の「桑港」です
こちらはサンフランシスコの大震災を扱っています
本作は舞台をロスに移したリメイクかと思いきや、全く違うただのパニック映画です
それも土曜洋画劇場とかのテレビで適当に観るのがちょうどよい程度の代物です
桑港みたいなテーマ性は微塵もありません
何故この災害がこの街に、何故今おこったのか?
だから生き延びた人びとはどうこれから生きて行かねばならないのか
そんなものはどこにもありません
有るのは主人公の建設会社の副社長が「40階建てのビルなんか建てるべきではなかった」とかいう情けなさです

タワーリングインフェルノは1974年12月公開
本作は同年11月です
彼の会社は超高層ビルで上層部から炎が吹き上がって松明のようになっているのを見上げるカットはタワーリングインフェルノに先んじています
つまりそれをやりたかった
その程度の作品と言うわけです

とはいえ大震災発生後の救護施設の様子などはなかなかのスケールです

警官役のジョージ・ケネディの方がキャラが立っており、チャールトン・ヘストンを食ってます
子供が落ちた空の用水路は多分ターミネーター2でバイクで爆走するところだと思います
とか、とか、面白いところを各自見つける努力が必要です

かって1970年代、パニック映画というジャンルがあった
その中の有名な作品と言うことで、どんなものなのか一度観て見るぐらいの意味はあります

第1次オイルショックは1973年10月
ベトナム戦争の敗戦は1975年4月
将来への不安がアメリカを覆っていました
それがパニック映画ブームを引き起こしたのです

土壌は21世紀の土壌の方が遥かに肥えています
しかしパニック映画以上のことが現実化してしまった21世紀では、もはやパニック映画なんか観たくも無い時代かも知れません

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あき240

4.5人生、映画にはまった作品

2020年8月15日
Androidアプリから投稿

当時チャールトンヘストンといえばハリウッド大スター!将来ライフル大好きおじさんになるのを知らずひたすら尊敬していました!彼ほど役と実生活が反比例してる役者さんはいないでしょう!(個人の見解)作品は最高でしたよ!

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共感した! 2件)
Kayo

5.0私の映画人生の原点

2018年12月9日
Androidアプリから投稿

小学生の時に仙台東宝てセンサランド方式で観た興奮は忘れられない。
この作品で私の映画好きが始まった。

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ムーラン

4.0ただただ怖かった。

2018年5月13日
iPhoneアプリから投稿

一昨年観た「カリフォルニアダウン」(2015)などという最近のCG技術を恥ずかしげもなく濫用しまくったあげく、パニック映画の主人公としては些か場違いとも言えるドウェイン・ジョンソンを主演据えることによって「この先、どうなるか分からない」という不安や緊張感を一切排除してしまった映画とは比べ物にならぬほど怖い怖い映画だった。

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