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◆ショーシャンクの空に
平均評価[4.4]

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作品情報


[ネタバレ!]
希望は死なない
印象:
鑑賞方法:DVD/BD、VOD
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評価:[5.0]

勝手にスティーヴン・キング特集その26!
今回は人間ドラマの名作『ショーシャンクの空に』をレビュー。
この特集は『ミスト』と本作とあと1本で締めようとずっと考えていたが……
6年かけてようやっとこの作品に辿り着けました……(かかり過ぎ)。

原作は1982年発表の中篇『刑務所のリタ・ヘイワース』。
映画化に際し、原作からは様々な追加・改変が施されている。
数名のキャラを1人にまとめたりして流れをシンプルにしている他、
レッドと老ブルックスの出所後の様子や、『フィガロの結婚』、
レッドが『希望』への警告を述べる場面、トミー青年の最後、
アンディが自殺を図るのではというサスペンスなどなど、
物語をドラマチックにする追加が多々。
リアルで泥臭い原作よりドラマチック過ぎるきらいはあるものの、
裁かれるべきでない者が裁かれ、裁かれるべき者が裁かれない世の不条理、
罪を購うということの意味、終身刑というものの持つ重みは原作以上。
そして何より、あのラストがもたらす巨大な感動は唯一無二のものだ。

...

この映画を観るまで、終身刑は死刑よりも生ぬるいものと思っていた。
しかし、考えようによっては終身刑は死刑以上のものなのだろうか。
世の中には一生刑務所から出て来なくてもいいような悪人がいると思う。
だけど、自分の犯した罪を心の底から悔いている罪人もいるとも思う。
そういう人間はきっと、来る夜も来る夜も自分を責め、
あの日に戻れることならと悔い続けるのだろう。
自分が人から奪った年月と同様、失った年月の重みを自身の身で
思い知らされることは、やはり贖罪と呼べるのかもしれない。

主人公レッドも老ブルックスも重罪人ではあったが……
赦しを乞う権利くらいはある人間だったと思う。
育てたカラスをいとおしみ、別れを告げる姿。
暗闇でハーモニカを一吹きし、失われた歳月を思う姿。
社会に、時代に取り残され、自分が何より
無価値な存在に思える苦しみと悲しみ。
赦されたいと願う人間が赦されるには、
一体どれだけの歳月と後悔が必要なのだろう。

...

レッドはアンディに「希望は危険な代物だ」と諭す。
それはきっと、希望が叶わなかった時の絶望ほどに
深く暗い場所は無いからだし、レッド自身はもう自分は
何の希望も抱けないと考えていたからだと思う。

アンディは違った。
冷たいビールを振る舞い、美しい音楽を流し、
束の間でも人間らしい心を思い出させてくれた男。
世の理不尽さに打ちのめされ、人の悪意に打ちのめされ、
絶望の淵に立たされても、人間らしくあることを貫いた男。
彼が友に宛てた手紙の言葉には、僕は何度聞いても涙してしまう。

  思い出してくれレッド、
  希望は良いものだ、
  きっとなによりも良いものだ、
  そして、良いものは決して死なない。

あれはレッドにとっての赦しだったのかも。
俺もまた希望を抱いても良いのだという赦しだったのかも。

...

不屈の男アンディ・デュフレーン。
自分の罪で投獄されたのならまだ納得はできるが、
無実の罪で終身刑というのはあまりに辛すぎる。
19年間、檻の中と檻の外の悪人たちに叩きのめされた彼は、
誰より人間性を失っていてもおかしくなかったはずなのだ。
だが彼は負けなかった。
彼を支え続けたのは石ころひと欠片の小さな希望だった。
ちっぽけなロックハンマーで穴を堀り続けてここを出るという希望。
暗い穴を抜け、“記憶のない海”でホテルを営み、舟釣りをするという希望。
(原作では「ハネムーン用のホテル」と語っている。
 理由はきっと、亡くした妻への想いだろう)

アンディは塀の中から、いつもあの途方もなく大きな青い空を夢見ていて、
レッドや他の囚人にも、空を見上げることを思い出させたかったんだと思う。
そして、アンディとレッドが青空の下で再会を果たすラストシーン――

...

ああ、これほどまでに喜びと希望に
満ち溢れた物語に出逢えることはきっと稀だ。
あんなにも大きく美しく青く澄んだ空と海を、
生涯の友と交わす一点の曇りもない微笑みを、
どうしてどうして忘れられるだろうか?

この映画は人間の最良の部分を思い出させてくれる。
どんな時でも希望を抱き続けて進むことが、
そして、人に喜びと希望を与え続けることが、
どれほどに気高いことなのかを思い出させてくれる。

「人生はふたつにひとつだ。必死に生きるか、必死に死ぬか。」

何があっても人生は続く。そして人生は、
何の前触れも理由も無しに、情け容赦なく
拳を振り上げてこちらを打ちのめそうとしてくる。
理不尽で無情な人生にどこまで抗えるかは分からないが、
そんな奴にただただ負けっ放しなんてまっぴらじゃないか。
それなら、歯を食いしばってでも人間らしく笑ってやるのだ。

高校時代に初めて観て以来、
ずっと心の中で大事な場所を占めている作品。
この映画を観ると、いつも元気と笑顔をもらえる。
それが物語の力だと思う。それが映画の力だと思う。
人間のイマジネーションが持つ、巨大な力だと思う。
映画って本当に良いものだ。

<2018.11.09鑑賞> 2018.11鑑賞
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余談:
なお、主人公レッドは赤毛のアイリッシュ系という原作設定から
アフリカ系アメリカンのモーガン・フリーマンに変わっているが……
彼の深みのある演技を一度観てしまえば、そんなことは些細な違いだろう。
最後の、消え入るほどささやかで嬉しそうな「I hope.」の響きが忘れられない。

2018/11/12 浮遊きびなごさん

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