静かなる男

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

米アカデミー賞で史上最多となる4回の監督賞を受賞し、「男の敵」「駅馬車」「怒りの葡萄」など不朽の名作の数々を残したジョン・フォード監督が、自身のルーツでもあるアイルランドの小さな村を舞台に、詩情豊かな人間関係を描き出したヒューマンラブストーリー。アメリカでボクサーとして暮らしていたシーン・ソーントンは、戦いの場から身を引き、故郷のアイルランドに戻ってくる。他人の手にわたっていた生家を買い戻し、静かに暮らそうと考えていたシーンだったが、村の大地主で乱暴者のレッドもその家を買い取ろうと計画していた。シーンは村に着いてすぐに出会った娘メリー・ケイトと恋仲になっていたが、彼女がレッドの妹であったことから、事態はさらに面倒なことになってしまう。主演はフォード作品に欠かせないジョン・ウェインとモーリン・オハラ。1952年・第25回アカデミー賞では作品賞ほか7部門にノミネート。フォードが4度目の監督賞を手にした。ジョン・フォード監督生誕120周年を記念した2014年、デジタルリマスター版でリバイバル。

1952年製作/129分/アメリカ
原題:The Quiet Man
配給:マーメイドフィルム
劇場公開日:2014年9月27日

その他の公開日:1953年3月3日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第25回 アカデミー賞(1953年)

ノミネート

作品賞  
助演男優賞 ビクター・マクラグレン
脚色賞 フランク・S・ニュージェント
美術賞(カラー)  
音響録音賞  
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映画レビュー

4.0【”アイルランド人魂。”アメリカから故郷に戻って来た哀しい過去を持つ男と、美しきアイルランド女性との恋物語。今作は悪人が一人も居ない爽やかなアイルランド人の善性溢れる物語である。】

2024年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

■静かな生活を望み、アメリカから故郷の小村インスリーへと戻ってきた元ボクサー・ショーン・ソーントン(ジョン・ウェイン)。
 荒れ果てた生家を買い戻して新たな暮らしを始めたものの、同じく家を狙っていた村の大地主・レッドの反感を買ってしまう。
 さらにレッドの妹・メアリー(モーリン・オハラ)と恋に落ちたことから騒動が勃発するが。

◆感想

・アイルランドの自然を背景にした人間の善性に溢れるストーリー展開がとても良い。
 更に、インスリーに住む人々達も、最初はショーン・ソーントンを異邦人として警戒するが、彼がインスリーで生まれ育った事を知り、受け入れていく姿。
ー 徐々に明らかになる元ボクサー・ショーン・ソーントンが、故郷に帰って来た訳。けれども、誰もそれを批判しない・・。-

・ショーン・ソーントンとメアリーが一目惚れながら、メアリーの兄スクワイア―の持参金にまつわる事で反対されつつも、最後はソーントンがスクワイアーと殴り合いをして、和解する姿。
ー スクワイアーが、結婚に反対していたのは、金目当て出なかった事が良く分かるシーンである。ー

■私は、好きな俳優は多数居るが、アイルランドの出身の方が結構いる。
 ピーター・オㇳールは別格として(彼のエピソードは、伊丹十三氏の多数あるエッセイの中でも「ヨーロッパ退屈日記」に詳細に記載されている。弱者を愛する姿勢や、アイルランドを愛する小咄満載である。)、リーアム・ニーソン父さん(物凄く好き!全作観ている)コリン・ファレル・シアーシャ・ローニャン、キリアン・マーフィ(ムッチャ好き。)ブレンダングリーソン&ドーナル・グリーソン親子。
 名優ばかりである。
 あとは忘れてはいけない世界のロックバンド「U2」である。
 初期から名盤を出し続け「WAR」「ヨシュア・ツリー」「焔」・・。「Sunday Boody Sundy」「New Yers'Day」など、千回は聞いているぞ。

ー スイマセン・・。脱線しました。-

<私が仕事関係で知っているアイルランド人は、最初は取っつきにくい。だが、酒をパブで呑んだりする中で、その関係性は解れていく。
 今作は、アイルランドの人達が外部からの人間を警戒しつつ、最初は拒む姿と一度(殴り合ったでも)心を通わせた人に対しての温かい人間性溢れる姿を描いた逸品なのである。
 アイルランドは、酒も上手いし、一度は行くと良いのではないかなと思います。(但し、酒に強い事が前提ね。)>

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NOBU

5.0ジョン・フォード監督のピクニック‼️

2023年10月15日
スマートフォンから投稿

泣ける

楽しい

興奮

この作品はわが敬愛するジョン・フォード監督の作品の中でも、最も楽しい映画だと思います‼️暗い過去を背負った男が牧歌的なアイルランドの村に降り立ち、そこでひとりの女性と恋に落ち、女性の兄との確執など、幾多の困難を乗り越えていく‼️これは "じゃじゃ馬ならし" 的なロマンチック・コメディ‼️ただジョン・フォード監督らしく、辛抱に辛抱を重ねたタフなヒーローが、ついに大爆発して活劇を繰り広げる様は、まるで西部劇を思わせるセンチメンタル・ジャーニー‼️フォード監督が自らのルーツと語るアイルランドの美しすぎる大自然‼️その神々しいまでの詩情‼️「わが谷は緑なりき」や「荒野の決闘」に連なる、その作風‼️そんな大自然の魅力に引けを取らない、ジョン・ウェインとモーリン・オハラのカップルも素晴らしいです‼️ジョン・ウェインの大きな体はアイルランドの大自然によく映えるし、モーリン・オハラの、その燃えるような赤毛と快活なキャラは情熱的に映画を彩る太陽ですね‼️ちょっと不器用な兄を演じるビクター・マクラグレンの、人がいいのにちょっと頑固、でも体格はジョン・ウェイン以上‼️そんないわゆるフォード一家の愉快な仲間たちの温かーいエネルギーが充満‼️山野を駆ける競馬レース、酒場での大合唱、そしてあまりにも有名な野を越え、山越え、川を越えての壮絶な殴り合い‼️こんなに楽しい喧嘩のシーンも他にはないでしょう‼️そんな大喧嘩の末に生まれるウェインとマクラグレンの男の友情と、ウェインとオハラの真実の愛‼️なんて気持ちの良い映画なんでしょう‼️なんて胸にグッとくる映画なんでしょう‼️所見から30年以上経つけど、何度見ても新鮮‼️それどころか自分にとってますます愛おしい映画になってる気がします‼️ありがとう、ジョン・フォード監督‼️

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活動写真愛好家

3.5アイルランドの風景に映えるモーリン・オハラ

2023年6月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

アイルランドの自然をカラーで捉えた美しい映画で、観ていて楽しい🙂
ジョン・フォード監督作であり、ジョン・ウェインとモーリン・オハラというお馴染みの二人が主演だが、モーリン・オハラがカラー映像に美しく映える。

物語は、アメリカからアイルランドに戻って来たショーン・ソーントン(ジョン・ウェイン)が故郷でメアリー・ケイト・ダナハー(モーリン・オハラ)に惚れて、相思相愛になる。しかし、アイルランドでは(この場合)兄の許可が無いと結婚できないのだが、ショーンと兄は仲違いしており……という流れ。

アメリカでボクサーをしていたショーンは試合で相手を殺してしまったのでボクシングを止めて故郷に戻ったのだが、そんな彼とダナハー兄は殴り合いして大丈夫?……などと思ってしまった。

あと、ダナハー兄が周囲の知り合いと握手する直前に、手のひらに唾をかけてから握手するのだが、「自分だったら絶対に握手したくない…」などと思ってしまった😄笑

こうした変な風景もアイルランドの習慣なのかは知らないが、アチコチで変わった雰囲気が見られるジョン・フォードの楽しい映画であった🙂

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たいちぃ

5.0馬と女とアイルランド

2022年8月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1952年。ジョン・フォード監督。幼いころにアイルランドを離れてアメリカにいった男が大人になって帰ってきた。かつて家族が住んでいた地所を買い取って昔ながらの生活をしようとする男は、羊を追う赤毛の女に一目ぼれ。近づこうとするが、その女が気の強い天邪鬼で、しかも、女の兄は男が買い取った地所をかねて欲しがっていた因縁で男を敵視して、、、という話。
強いけれども戦わないと誓った男が戦うまで。その過程で、地所と結婚と宗教とコミュニティなどをめぐって、アイルランド独自の風俗が説明的に展開している。特に、結婚持参金について、単なる金ではなく女性の主体性と関わる重大な問題となっていて、現代のジェンダー規範から見たら問題山積ではあるものの、モーリン・オハラの変わったキャラクター造形もあいまって、複雑な意味合いが表現されている。誰でも気づくように、最後の山場に向けて街中や野原を女を引きずるように歩く男の姿は、それ以前に華麗に馬を駆って走っていた男の姿と重なって見えるので、女と馬が比較対象として脳裏に浮かんでくる。浅瀬を水を蹴りたてて走る馬、浅瀬を水を蹴りたてて走る女。当然、その違いが面白いのだが。馬の映画であり、女の映画でもある。
海も川も雨も自然の水の映像がすばらしいうえに、教会前の聖水であいさつしたり、倒れた男に何度も水をかけたりなど人工的な水の扱いもすばらしい。
この作品を見ると、蓮實重彦のいう「ジョン・フォード作品と「投げること」」の意味がよくわかる。それほど、いろんものが投げられている。

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