クルーシブル

劇場公開日:

解説

17世紀末、米国で実際に起こった魔女狩り裁判を描いた重厚な人間ドラマ。赤狩りといわれた50年代米国のマッカーシズムへの批判として書かれた、米国の劇作家アーサー・ミラーの戯曲『坩堝』を、彼自身の手で映画用に脚色(シモーヌ・シニョレ、イヴ・モンタン主演、レイモン・ルロー監督の「サレムの魔女」に続く2度目の映画化)。監督には『回転木馬』『ミス・サイゴン』『リア王』などの舞台で知られ、映画は「英国万歳!」に続いて2作目となる英国の演出家ニコラス・ハイトナーがあたった。製作はアーサー・ミラーの長男ロバート・A・ミラーと「ステラ」のデイヴィッド・V・ピッカー。撮影は英国のTV界で活躍し、ハイトナーとは前作でも組んだアンドリュー・ダン、音楽は「大地と自由」のジョージ・フェントン、美術は「ストレンジ・デイズ 1999年12月31日」のリリー・キルバート、編集は「ボディガード」のタリク・アンクワール、衣裳は舞台畑でも活躍し、ハイトナーとは舞台も含めて6度目の顔合わせのボブ・クロウリー。主演は「父の祈りを」以来3年ぶりの出演作となるダニエル・デイ=ルイスと、「BOYS」のウィノナ・ライダー。共演は「グレイス・オブ・マイ・ハート」のブルース・デイヴィソン、「クイズ・ショウ」のポール・スコフィールド、「ニクソン」のジョーン・アレン、「エド・ウッド」のジェフリー・ジョーンズ、「ポリス・アカデミー」シリーズのジョージ・ゲインズほか。

1997年製作/124分/アメリカ
原題:The Crucible
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開日:1997年4月26日

ストーリー

1692年、マサチューセッツ州セイラム。農夫のジョン・プロクター(ダニエル・デイ=ルイス)はまじめな働き者で、仲間の信頼を集めていた。妻エリザベス(ジョーン・アレン)との間には2人の子供がいるが、清教徒の彼女はセックスに淡白だった。ジョンは召使の少女アビゲイル(ウィノナ・ライダー)の魅惑的な肉体に惑わされ情事に溺れるが、妻に知られてしまう。追い出されたアビゲイルは牧師の叔父パリス(ブルース・デイヴィソン)の元に身を寄せるが、ジョンへの思慕とエリザベスへの憎悪の念は日増しに強くなる。その頃、パリスの家で働く黒人の娘ティテュバ(チャーレイン・ウッダード)が呪術で願いを叶えてくれるという噂が少女たちの間で広まり、プロクター家のもう一人の召使メアリー(キャロン・グレイヴス)ら若い娘たちが集まり、満月の夜に踊り狂っていた。パリスがこの異様な光景を目撃すると、娘たちは逃げ帰った。パリスの娘ベティ(レイチェル・ベラ)もその中におり、家に帰ると父親の前で悲鳴と共に半狂乱状態となる。パリスはこれこそ悪魔と契約した魔女の仕業だと主張し、魔女逮捕に乗り出す。彼には町中に魔女の恐怖を植え付けて民衆を支配し、自分たちの権力の強化を図ろうという狙いがあった。ボストンからダンフォース判事(ポール・スコフィールド)がやって来て、魔女狩りが本格化する。一方、ジョンはアビゲイルの本心を確かめたくて彼女に会うが、激しく迫る彼女を拒み、愛はなかったと告げた。それ以来、アビゲイルは悪魔にとりつかれたふりをし、少女たちを煽動して狂乱の行動に駆り立てる。マインド・コントロールされた少女たちはアヒゲイルの暗示でマス・ヒステリー状態に陥ったが、彼女は魔女の呪いを受けたからだとふれ歩く。エリザベスを魔女だと告発して亡き者にし、ジョンと一緒になりたい一途な思いは、彼女をますます狂気の世界に誘う。ダンフォースは彼女たちを聖女と呼び、魔女を告発させると次々に逮捕していった。人々は疑心暗鬼で隣人を何の証拠もなく魔女だと告発、町は恐怖に覆われてパニック状態になった。エリザベスはアビゲイルの悪巧みを直観するが、彼女も魔女の容疑で逮捕されてしまう。ジョンは妻を救おうと、メアリーに全てが嘘であることを証言させる。これまでの陳述が覆されたため、法廷は動揺する。その場にいたアビゲイルは突然、悪魔につかれた恐怖に狂いだすふりをしたため少女たちも連鎖反応を起こし、法廷は騒然となった。たまりかねたジョンは、ついに恥を忍んでアビゲイルとの不倫を告白。全ての原因が彼女にあると言う。だが、エリザベスは夫の名誉を考えてそれを否定した。ジョンの立場は悪化し、しかもアビゲイルの脅しに怯えたメアリーが彼を悪魔の手先だと告発し、ついに彼も逮捕された。逮捕者は拷問を受けた末に、問答無用で絞死刑が敢行された。ある日、アビゲイルがやってジョンの牢獄に現れ、一緒に逃げてほしいと言うが、ジョンは応じなかった。ジョンはエリザベスと最後の対面をした。彼女は妊娠していたため命だけは助けられた。仲間を告発すれば助けてやるという誘いを断り、ジョンは真実に殉ずる決意をする。彼の抵抗がきっかけで多くの人が続くが、彼を含む19人が絞首刑となり、悲惨な最期を遂げた。

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映画レビュー

3.0赤狩りと魔女裁判

2020年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 睡魔との闘いだった。赤狩りを批判して作られた映画ということもよくわかるし、いい演技をしている俳優と衝撃のラストは印象に残るのだが、淡々としすぎている。

 「梁に黄色い鳥が!」と叫び、悪魔が天井にいるかのように指をさすシーンでは、観客があたかも悪魔になったようなアングルとなり、びっくりしてしまう。このシーンはよかったなぁ。

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kossy
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